いせ九条の会

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米国にとっては現実的と歓迎されても、国民世論にとっては非現実的/山崎孝

2008-07-20 | ご投稿
7月19日付・読売社説は、「民主党代表選 財源と安保の論争を聞きたい」という中で、次のように述べています。

現実的で具体的な安全保障政策を打ち出すことも大切である。

民主党は参院選公約で、自衛隊のイラク派遣の「終了」を主張した。海上自衛隊のインド洋派遣を「憲法違反」と言い切り、反対した。しかも、昨年末に提出した新テロ対策特別措置法案の対案は事実上「何もしない」案だった。

自衛隊をイラクとインド洋から撤退させるなら、代わりに一体何をするのか。国民に分かりやすく説明すべきだ。

民主党内では、自衛隊の海外派遣や消費税率引き上げなどについて積極論と慎重論がある。論議を深めれば、足並みの乱れが露呈する、との懸念があるのだろう。

しかし、そのハードルを乗り越えて、国民の納得できる政策を策定、提示しなければ、政権担当能力を示すことはできない。(以上)

改憲を主張する読売新聞は民主党が打ち出すものとして次のようなものを望んでいると思われます。

2001年にテロ対策特別措置法の審議過程で発足し、2003年に集団的自衛権の解釈見直しなどを政府に求める緊急声明をまとめ、2008年4月23日に活動を再開した自民、公明、民主3党の超党派議員による「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」が打ち出した新活動方針案は、(1)日米(軍事)同盟をより効果的なものとする集団的自衛権の議論はじめ領域警備、秘密保護など防衛法制の見直し(2)自衛隊の海外派兵を迅速に展開する一般法(恒久法)の制定(3)国家安全保障会議(日本版NSC)の創設――の三つの柱を中心に活動を進めるとしています。

朝日新聞の7月17日の報道によると、これとは異なる立場で民主党の一つのグループは次のような提案しています。以下は報道の内容です。

【国際協力隊など民主議員が提言 リベラルの会】

民主党の中堅・若手議員による政策勉強会「リベラルの会」(代表世話人・平岡秀夫衆院議員ら)が16日、政策提言「『思いやりの国・日本』を目指して」を発表した。代表選に立候補する小沢代表らに示して賛同を求める。提言は安全保障をめぐり、自衛隊とは別に「国際協力隊」を新設し、自衛隊に代わって海外での平和維持活動にあたる▽集団的自衛権の不行使原則を盛り込んだ「平和基本法」を制定する▽普天間基地の閉鎖と海外への移転を目指すとした。医療保険制度の一元化や、消費税の逆進性対策としての「戻し税」導入の検討にも言及した。

同会は2004年、イラク邦人人質事件で自衛隊の撤退を求めた議員らを中心に発足。憲法9条堅持や集団的自衛権の行使反対を主張している。(以上)

「リベラルの会」の主張した普天間基地の閉鎖と海外への移転は、7月18日に沖縄県議会は賛成多数で決議をしています。これが安保条約の実態を一番よく体験し認識している沖縄の多くの人たちの願望だと思います。また、本年11月16日投開票の那覇市長選で、社民党県連、共産党県委、民主党県連、社大党が推薦したで平良長政氏と推薦政党は憲法9条を守ることを協定しています。

福田政権は、アフガニスタン本土への自衛隊派遣を諦めました。現在のパターンの活動を続けられる法案を出す予定です。理由はアフガニスタン本土への自衛隊派遣が出来る秋の臨時国会に法案を提出しても、国民世論を考慮した与党内に残る反対論と野党の攻勢で立ち往生する懸念からでした。自衛隊をアフガニスタンへ送り犠牲者が出たら政権にとって打撃が受けると言う判断もあると言われています。

読売の社説が主張する「現実的で具体的な安全保障政策」は、米国にとっては「現実的」と歓迎されても、国民の多数の支持を得られない非現実的な政策です。