いせ九条の会

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姜尚中さんの講演会に関連して/山崎孝

2007-10-31 | ご投稿
【朝鮮半島の平和協定締結は4者で 米中韓外交官】(2007年10月27日付朝日新聞)

バーシュボウ駐韓米国大使は26日、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に移行する「平和体制協譲」について「直接的な当事者は、南北朝鮮と中国、米国の4者だ。この4者が平和体制協議に参加しなければならない」と語った。同席した韓国の千英字(チヨン・ヨンウ)・朝鮮半島平和交渉本部長、寧賦魁・駐韓中国大使も同調した。

バーシュボウ大使は、平和体制協議の開始時期について「北朝鮮が既存の核施設を無能力化した後に始めるのが良い」と主張。そのうえで「平和協定の署名よりも、非核化が先行しなければならない。北朝鮮が完全で検証可能な核と核計画の放棄をするまでは、終戦宣言に署名することはできない」と強調した。(以上)

【核無能力化「来月1日に着手」 6カ国作業部会で北朝鮮が表明】(2007年10月30日付中日新聞)

【ソウル=福田要】北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の「経済・エネルギー支援」作業部会が二十九日、板門店の韓国側にある「平和の家」で始まった。韓国外交通商省によると、北朝鮮は十一月一日から核施設の「無能力化」措置に着手すると表明し、核放棄に向けた「次の段階」の措置を着実に進める姿勢を示した。

北朝鮮は一方で、六カ国協議の合意に基づく見返りの確実な提供を求め、重油以外に希望する支援として、発電所などの改修に必要な数百点の資機材リストを示した。

韓国と中国に続く北朝鮮への重油支援については、供与を準備中の米国に次いでロシアが提供の意向を表明。残る日本は拉致問題での前進がない限り支援は困難との立場をあらためて示した。

六カ国協議は今月、年内に北朝鮮核施設の「無能力化」とすべての核計画の申告を実施することで合意。作業部会は三十日も開かれ、北朝鮮の資機材リストを分析し、今後の支援の具体的な進め方を協議する。(以上)

バーシュボウ大使は、「平和協定の署名よりも、非核化が先行しなければならない。北朝鮮が完全で検証可能な核と核計画の放棄をするまでは、終戦宣言に署名することはできない」と強調しました。これは6者協議の行動対行動の原則を踏まえたものでした。その北朝鮮核施設の無能力化も具体的な形で進み始めています。これにより「朝鮮半島の平和協定締結」に向けても明るい見通しが出来たといえます。

姜尚中さんの講演会が11月3日に三重大学で行われます。姜尚中さんは、2006年2月22日に発行された「姜尚中の政治学入門」(集英社新書)の中で、2005年の6者協議の共同声明が出されたことを受けて、《…アメリカを加えた世界に例の見ない多国間ネットワークが、今後、構築される糸口が出来上がりました。さらに、現時点で考えられうる理想的な展開を書き連ねると、以下のようなものになるでしょう。6者協議を継続的に催しながら、朝鮮半島の非核化を推進する。同時に、朝鮮戦争終結時の休戦協定を平和協定に切り替える。6カ国による軍縮、軍備管理とセットで朝鮮半島の「中立化」を実現する》と述べています。

このうちの「朝鮮戦争終結時の休戦協定を平和協定に切り替える」課題は扉を開くところまで進展することが出来たと思います。

姜尚中さんは、見通しを立てるのには、10年間のスパンで歴史を見れば、人も社会も、その変化の度合いを読み取ることが出来る。時間の点で見れば、まったく新しいように見えたものが、以外に旧かったり、違った衣装を纏って立ち現われてきただけだったりと、いろいろ発見する機会が多くなった。そう思えるのも、私のバックグランドに、政治思想史という「干物」(姜尚中さんはその時々の事件は「生もの」と表現している)の知見があるからなのです、と述べて、政治思想史という学問の大切さを述べています。

現在、日本の将来を選択する二つの道が提起されています。一つは改憲をして二国間同盟である日米同盟を双務性にし軍事的抑止力を強化して日本の安全保障を図る道です。もう一つは現行憲法の理念を踏まえ徹底した対話・外交努力によって平和な環境を構築していく道です。どちらが合理的な選択肢でしょうか。粘り強く話し合い進める6者協議には、東アジアの平和と安定を図る作業部会が出来ています。