いせ九条の会

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静岡県個人情報保護審査会は憲法の理念を守った/山崎孝

2007-10-30 | ご投稿
【教員氏名報告は不当と答申 君が代不起立で神奈川県】(2007年10月29日付静岡新聞)

神奈川県教育委員会が、県立高校の卒業式と入学式で君が代斉唱の際に起立しなかった教職員の氏名を校長に報告させていることについて、県個人情報保護審査会が「県個人情報保護条例が禁止する思想、信条に関する個人情報の収集に当たる」として、是正を求める答申を出したことが29日、分かった。

県教委は「答申を尊重する」として、2006、07年度の報告を破棄する方針。個人の思想、信条や宗教、犯罪歴などのいわゆる「センシティブ情報」をめぐっては、神奈川県と同様に条例で取り扱いを原則禁止している自治体もあり、影響を与えそうだ。

県教委は06年3月の卒業式から、起立しなかった教職員の氏名を報告するように校長に指示した。

これに対し、教職員23人が報告をやめるように求めたが、県教委は「起立しなかった理由を聞いておらず、集めた情報は客観的事実で思想信条に関する情報に該当しない」との決定を出し、報告を続けさせたため、23人のうち16人が不服を申し立てた。(以上)

静岡県個人情報保護審査会が「県個人情報保護条例が禁止する思想、信条に関する個人情報の収集に当たる」と考えた背景は、言うまでもなく、大日本帝国憲法もとで統帥権が天皇にあったこと、その統帥権を軍部に利用されて悲惨な戦争への道を辿ってしまったという日本の歴史があります。君が代がその天皇家を讃える歌であることを考えれば、君が代斉唱の際の起立に抵抗感をいだく人もあります。その抵抗感を抱いた人を校長が教育委員会に報告することは、憲法に則り定めた静岡県個人情報保護条例の規定違反にあたると考えるのは当然のことだと思います。「不適格な教師を再任しない」という教育行政の方針がありますからなおさらのことです。

歴史を振り返れば日本が戦争への方向に向かったとき、生徒の自主性を重んじる自由主義的傾向のある教師を教育界から放逐することが起きています。現在も軍隊を持ち海外で武力行使ができる憲法にすることを狙う自民党は、平和を愛する国民を育てるとした教育基本法を変えてしまっています。自民党の考える愛国心は時の政府に協力することが愛国心と思っています。政府の基本方針に反対する人を「反日的日本人」と呼ぶ人たちもいます。