いせ九条の会

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橋下徹・次期大阪府知事の発言に思う/山崎孝

2008-02-04 | ご投稿
【防衛政策 住民投票で異議挟むな/橋下氏発言、学者ら反論】(2008年2月3日付朝日新聞)

 米空母艦載機移転をめぐり06年春に山口県岩国市が実施した住民投票に対する橋下徹・次期大阪府知事の発言に、憲法学者や政治学者らが首をかしげている。弁護士でもある橋下氏は、反論した前岩国市長の井原勝介氏を「憲法を勉強して」と痛烈に批判したが、「橋下さんこそ不勉強では」との指摘も出ている。

 橋下氏の発言が飛び出したのは1月31日。3日告示の岩国市長選で艦載機移転容認派が推す前自民党衆院議員の福田良彦氏を応援するビデオ撮影に応じた後、「防衛政策に自治体が異議を差し挟むべきではない」「間接代表制をとる日本の法制度上、直接民主制の住民投票の対象には制限がある」と持論を展開した。

 小林良彰・慶大教授(政治学).は「この種の住民投票には法的拘束力がない。住民の意思の確認・表明なのだから、それを憲法が制限することはあり得ない」と指摘。「基地問題は地元住民にとって生活問題だから、意見を言う資格がある。憲法が認めた言論の自由だ」と述べ、「橋下さんこそ憲法を勉強した方がいいんじゃないか」と皮肉った。

小林節・慶大教授(憲法)は「地域の問題について住民の声を直接聞いて、その結果を地方自治体の意向として国に示して実現を図っていい、というのが憲法の考え方だ」と言う。

 奥平康弘・東大名誉教授(憲法)は「弁護士が『憲法』と言えば、いかにも説得力があるように聞こえるが、政治家として政治的な発言をしたまで。人びとの注目を集め、目的を達成したんじゃないのかな」と冷ややかに語った。

【学者ら批判に橋下氏が反論/政治の現場知らぬ】(2008年2月4日付朝日新聞)

 米空母艦載機移転をめぐり、06年春に山口県岩国市が実施した住民投票に関し、「住民投票の対象には制限がある」などとした橋下徹・次期大阪府知事の発言を憲法学者らが批判していることについて、橋下氏は3日、福岡市内で報道陣の質問に答え「机上の憲法論しか知らない学者にとやかく言われたくない。学者に生の政治の現場が分かるわけがない」と反論。「住民投票に法的拘束力がないなら、経費的にもなおさらそういう手段は取るべきではない」と話した。(以上)

橋下徹氏は大阪府知事選挙のとき、大阪府が赤字を膨らました政治を批判しました。しかし、その赤字を膨らました前知事の政策を推進してきたのが地元の自民党、公明党でした。この両党の支援を受けながらも徹底した政党隠しを行ない、当選すると真っ先に両党の府議団を訪問しています。

非常に欺瞞に満ちた政治行動です。選挙戦の演説は短い言葉を何回も繰り返す一種の催眠術のような手法を用いています。

橋下徹氏は「学者に生の政治の現場が分かるわけがない」と反論していますが、御自身も政治の現場の経験はありません。タレント活動で名を知られるようになっただけです。府知事に当選しても政治の現場を体験するのはこれからで、現時点では学者と同じ体験でこのような批判をすることは出来ません。大阪府の政治の現場=これまでの首長と政党との関係を認識していないから、矛盾に満ちた政治行動をするのです。大阪府の選挙民の多くがこれを見抜けなかったのは残念です。

2006年の岩国市が実施した住民投票は、健康で文化的な生活を営む権利を守る市民運動でした。憲法12条は、憲法が保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により保持しなければならないと規定してあります。岩国市民の住民投票運動はこの規定を認識した行動と言えます。橋下さんこそ憲法を勉強した方がいいんじゃないかといわれても仕方がありません。