いせ九条の会

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日韓両首脳の日本 国憲法の理解度を比較/山崎孝

2006-03-02 | ご投稿
盧武鉉大統領の言葉は「3・1独立運動」の記念式典の演説より

哲学的言葉の比較

盧武鉉大統領

国家の指導者の言葉と行動の意味は、自らの釈明ではなく、人類普遍の良心と歴史の経験に照らして適当かどうか評価されるべきである。

小泉首相

「感動した」「常識」とか短い言葉の言葉は話すが、深い意味合いを持つ言葉を私は寡聞して聞かない。民間と政府 の役割や特質に深い考察を欠いた「民営化」を推し進めた結果として、道路公団の民営化をすれば採算の合わない道路は作らないと思っていたようだが、最近道路族に直轄方式という政府 がすべて負担する新方式を考え出されて採算の合わない道路を全て作られることになってしまった。郵政公社、更に民営化した結果として民間会社は利益を生み出す方法として、集配所の統合を計画して当該区域の住民は早速不便な目 に会う。

たまには難解な禅問答のような言葉を話すことがある。イラクの非戦闘地域は何処かと問われて「自衛隊が居るところが非戦闘地域だ」答えた。とても深い悟りを開かないとわからない。

日本 国憲法の理解度について

盧武鉉大統領

世界の指導国家となろうとするならば、法を変え、軍備を強化するのではなく、人類の良心と道理にあわせて行動し、国際社会の信頼を得なければならない。

日本 人のように憲法の前文と第9条の理念を良く理解している。

小泉首相

小泉首相は自衛隊イラク派遣の説明で、憲法前文の一部分のみを都合よく引用した。

憲法前文が前段で述べている、

「政府 の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」の政府 の心構えを忘れ、「平和を愛する諸国民の公正と信義」を踏みにじる、米国のイラク戦争を支持しておきながら、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」の文言を引用して自衛隊のイラク派遣を説明した。

米国は当初から米軍用の飲み水の供給、米軍に物資の輸送を日本 に依頼してきていた。国民に説明出来なくて人道復興支援に名目 を変えて、イラク人に飲み水供給は切り替え、物資と兵員を航空自衛隊で行なうことにした。陸よりは空の方が危険が少ないという判断をしたようだ。

本 来憲法は国家の理想を掲げるものであるが、小泉首相は、日本 の現実に憲法を合わすという逆の発想をした。やはり哲学的ではなかった。

関連ニュース 毎日新聞電子版

安倍 晋三官房長官は3月1日午後の紀者会見で、韓国の盧武鉉大統領が日本 の憲法改正の動きを軍備強化と結びつけて反対したことについて、「各政党で憲法改正に向けた議論が行われているが、平和主義の基本 理念は国民から広く支持されており、根本 からくつがえす論議はまつたくされていない」と強調したうえで、「わが国の憲法だから、日本 人自身の手によって(改正議論を)進めていく.まさに内政問題だ」と強い不快感を示した。(以上)

安倍 晋三官房長官は、平和主義の基本 理念を根本 からくつがえす議論が行なわれていないと述べていますが、それではなぜ憲法前文を全部削除したのでしょうか。

「政府 の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」の言葉を削除したことは、戦争をする国に戻すと考えられてもいたしかたがないと思います。

「平和を愛する諸国民の公正と信義」を、基本 に置かない考えは、軍事による紛争の解決を視野に入れていることを否定できません。

自民党の新憲法草案で、なぜ、自衛軍という軍隊を持って、専守防衛の規定を取り払い、海外で武力行使を出来るようにしたのでしょうか。日本 の近代は初めに日本 が攻撃を受けた受身の戦争ではなく、外国に軍隊を派遣して戦争を起こしています。

自民党の政治は、自衛隊の守備範囲を世界的な規模に拡大して、自衛隊と米軍の一体化を進めています。この一体化させた軍事組織の法的な制約を解除してしまうのが、改憲の目 的であることを私たちは知っています。

日本 国憲法は、大変な迷惑をかけたアジア諸国と関連して捉えられています。「映画 日本 国憲法」の中で、チャルマーズ・ジョンソンさんは「憲法9条は日本 が起こした戦争に対する謝罪の意味を持つ。憲法9条を破棄することは、アジア諸国への謝罪を破棄すること」と語っている。また、鶴見俊輔さんも同様の言葉を述べています。

このことを見れば、他国の人が憲法改定の問題に言及しても、内政干渉と一概にはねつけるわけにはいかないと思います。ましてや日本 の植民地を受けた歴史があり、さらにその抵抗運動のシンボ ル日「3・1独立運動」の記念式典の演説での大統領の言葉です。

朝鮮の文化に深い理解を示した柳宗悦は「3・1独立運動」が起こった後で次のような言葉を述べています。

「日本 の同胞よ、剣にて起つ者は剣にて亡びるのだ。軍国主義早く放棄せよ。(中略)他人を蔑み卑 み虐げる事に少しでも時を送ってくれるな弱者に対する優越の快感は動物に一任せよ。吾々は人間らしく活きようではないか。自らの自由を尊重し、他人の自由をも尊重しょうではないか。若しもこの自明な人倫を踏みつけるなら、世界は日本 の敵となるだろう。そうなるならば亡びるのは朝鮮ではなく、日本 の国だ。」

この柳宗悦の言葉と盧武鉉大統領の言葉、「世界の指導国家となろうとするならば、法を変え、軍備を強化するのではなく、人類の良心と道理にあわせて行動し、国際社会の信頼を得なければならない」を読み比べて見ると、同様の事柄が指摘されていることに気づきます。

また、盧武鉉大統領は述べていませんが、他国の人を蔑み卑 しめること、弱者に対する優越の快感は、今日のテレビメディアの北朝鮮関係の報道に感じませんか。

私たち日本 人は歴史と向かい合い、日本 の未来を考えなければといけない特別な時代に差しかかっていると思います。