いせ九条の会

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イラク戦争開始から4年を経て/山崎孝

2007-03-20 | ご投稿
【強まる米軍撤退要求 イラク開戦から4年】(3月19日付中日新聞ニュース)

【ワシントン19日共同】ブッシュ米大統領が、国際社会の強い反対を押し切りイラク開戦を強行してから20日(イラク時間)で4年。宗派対立の激化でイラクが内戦状態に陥る中、3200人を超える米兵の死者を前に米国民の政権不信はピークに達し、米軍撤退要求が強まっている。ともに開戦に踏み切った盟友ブレア英首相の英軍一部撤退表明などイラクの安定や復興に協力する「有志連合」にもほころびが見られ、国内外での孤立化が深まっている。

残り任期が2年を切った大統領は「勝利なき撤退」を強く否定、3万人近い増派に最後の望みをかけるが、イラク安定化への道筋は見えていない。

イラク戦争を最大の争点にした昨年11月の中間選挙では、野党民主党が勝利し、議会多数派を奪還した。国民から不信任を突き付けられた大統領は、ネオコン(新保守主義)と歩調を合わせて戦争を主導した強硬派のラムズフェルド国防長官を解任。これをきっかけに政策が軟化の方向を見せ、今月10日には、イラク安定化国際会議で米代表が敵対するイラン、シリアと同席した。

【イラク戦争やめろ 国防総省へデモ行進】(3月18日付中日新聞ニュース)

【ワシントン18日共同】2003年3月のイラク戦争開始から丸4年を前に、米軍の撤退を求める大規模な反戦抗議行動が17日、首都ワシントン周辺で行われた。参加者はベトナム戦争の戦没者記念碑付近から郊外の国防総省前までデモ行進し「戦争をやめろ」などとブッシュ政権批判を展開。AP通信によると、1万-2万人が参加した。

APによると、抗議行動は同日、ロサンゼルスなど全米各地であった。また、スペインのマドリードで数万人規模の反戦デモが行われたのをはじめ、イラク時間20日の開戦4年を控え、世界各地で米国のイラク政策に反対の声が上がった。大きな混乱はなかった。

ワシントンの反戦デモでは「ストップ・イラク戦争」「大統領に弾劾を」などと書かれたプラカードを掲げ、ブッシュ大統領に仮装した参加者らが行進。曇り空で冷え込む中、ポトマック川を渡りワシントン郊外の国防総省前で集会を開いた。

【イラクでの空自輸送活動/7、8割が多国籍軍支援】(3月13日付「しんぶん赤旗」ニュース)

航空自衛隊がイラクで実施している輸送活動のうち、多国籍軍への支援を目的にしたものが七、八割に達することが、防衛省の国会への報告で分かりました。これまで政府は、空自のイラク派兵継続を正当化するため国連支援を強調していましたが、実態は米軍を中核とする多国籍軍への支援が大半を占めていることを示すものです。

防衛省の報告によると、空自は、クウェートのアリ・アルサレム航空基地を拠点に、イラク国内のアリ(別名タリル)、バグダッド、エルビルの各航空基地・飛行場へ、多国籍軍や国連の人員・物資をC130輸送機で輸送しています。

国連支援は昨年九月に初めて実施。それ以降の輸送実績は月あたり十七―二十回程度で、うち四、五便が国連支援となっています。

日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の質問に対し久間章生防衛相は、空自の輸送活動では「国連(支援)以外の分野については多国籍軍を運んでいる」と答弁しており、残りの十二―十六回程度は多国籍軍支援となり、全体のおよそ七、八割に当たることになります。

また、週あたりの運航は四、五便程度。行き先別では(1)バグダッドへの運航(昨年七月三十一日開始、多国籍軍兵士を輸送)が週一便程度(2)バグダッド経由のエルビルへの運航(昨年九月六日開始、国連の職員・物資を輸送)が週一便程度(3)そのほかがアリへの運航―となっています。米軍の拠点基地であるバグダッドとアリへの運航((1)と(2))は、多国籍軍支援が中心とみられます。

空自の活動は、罪のない多くの民間人を殺傷し、イラクの「内戦状態」を招いた米軍の「掃討作戦」を支援するのが狙いです。イラク戦争とその後の占領支配の破たんにもかかわらず、ブッシュ米大統領はバグダッドを中心に二万五千人を超える米軍増派を発表しています。空自の活動は、米国内でも反対が多数の米軍増派に直接加担し、これを支えることにもなります。(以上)

朝日新聞2006年12月10日付に「イラク派遣空自の輸送4年目に/危険度増した新任務」小松基地「無事なのは幸運」と題した記事があります。その中に、小牧基地幹部によると、多国籍軍などから事前に寄せられた「脅威情報」をもとに、空自の飛行を取りやめたケースもある。「今まで何もなかったのがラッキーだったという面は否めない。慎重に判断して、キャンセルしたからこそ危険は避けられた」と明かす。イラク特措法の改正が伴う4度目の延長はあるのか。基地幹部は「終わりが見えれば、家族も隊員もホッとするだろうが…」と話す、とあります。

これが自衛隊員の本音です。しかし、隊員や家族が願う終わりは見えていません。政府は「イラク特措法」の延長を企図しています。それも国民に正面から問えず、地方選や参院選に影響を及ぼさない時期に延長法案の国会通過をさせようと考えています。これは政策に大義がないことを政権与党自らが認識していることを物語ります。

イラク戦争を支持した国の国民は、国連決議に基づかない米国を中軸とした有志連合型のイラク戦争その占領政策とその支援活動を否定的に捉えています。3月15日付朝日新聞は、日本はイラク特措法の延長反対が69%。英国は英軍のイラクからの即時撤退を求めるが60%、豪州は豪軍イラク派遣を「価値がない」が71%になっていることを報道しています。

これは事実が明確になっているからです。改憲も現在の政府の政策や政治化の言説から判断していけば、論理的には将来の同じ政党の政府の行動は予測できます。北朝鮮の核実験を背景にした国会審議、2006年10月11日の参院予算委員会で、安倍首相は、米国が他国に軍事介入して公海上で米軍艦が攻撃された場合や、イラクで英豪軍が攻撃された場合を挙げ、「(集団的自衛権の行使を可能にするよう)しっかりと研究していくことが、われわれの責任だ」と答弁して、改憲の本音を露出しています。このことを国民に宣伝していかなければならないと思います。そうすれば、イラク特措法の延長反対が69%となったように、国民も改憲の本質を認識し国民投票で多数を獲得できると思います。