いせ九条の会

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安倍氏の政権構想を考える/山崎孝

2006-09-02 | ご投稿
(共同通信電子版)安倍晋三官房長官(51)は9月1日夕、広島市内で紀者会見し、自民党総裁選出馬を正式に表明し、新憲法の制定や教育の抜本改革などを柱とする政権構想を発表した。官邸主導の政治のリーダーシップ確立と中央省庁の再々縮も明紀.外交では「世界とアジアのための日米同盟」とともに、「開かれたアジアにおける強固な連帯の確立」に向けた中韓両国との信頼関係の強化を掲げた。総裁選は安倍氏、麻生太郎外相(65)、谷垣禎一財務相(61)の3人の争いになるが、安倍氏が自民党国会議員の7割を超える支持を集めており、優位は動かない情勢だ。

安倍氏は会見で「改革の炎を燃やし続け、日本をチャンスと活力、優しさに満ちあふれる国にしたい」と表明。(以上)

【声明1年めどに再開へ努力 6カ国協儀で中国次官】

(北京9月1日共同通信発信)北朝鮮核間麓をめぐる6カ国協議の議長を務める中国の武大偉外務次官は1日、訪中した自民党の山崎拓前副総裁と北京で会談し、中断している同協議について、北朝鮮による核放棄確約を明記した共同声明の採択から1年になる今月19日を「一つのめど」に再開実現へ努力する考えを明らかにした。

 武次官は、米朝対立の影響で北朝鮮の核放棄実現に向けた対話が進んでいないことに強い懸念を示し、「北朝鮮の協議復帰に全力を尽くしたい」と説明した。

 北朝鮮の地下核実験準備やミサイル発射に関する問題も6カ国協護で取り上げる考えを示した上で「凍結措置について協議し、成果を挙げたい」と強調した。(以上)

安倍氏が政権構想として掲げた「開かれたアジアにおける強固な連帯の確立に向けた中韓両国との信頼関係の強化」を実りあるものにするためには、歴史の事実に忠実な歴史観を「自虐史観」と捉えるような歴史観を是正し、自虐史観と同じ立場に立つ靖国神社の参拝を行なわないようにしなければいけないと思います。そして、外交姿勢を是正することだと思います。

「日経新聞」報道「『ロシアを取り込んでみせる。中国が拒否権を使えば、孤立するだけだ』。強硬路線を引っ張った日本政府高官は当初、周辺にこう語っていた」と指摘。7月15日夜の段階でも、麻生太郎外相が「中国が拒否権を発動しても全く構わない。日本からは(先に)降りない」と語った。

 「朝日新聞」報道「複数の政府関係者は『中国が拒否権を使うのなら仕方ない』と強気を崩さなかった。中国が拒否権を行使した場合に備え、中国のいない主要国首脳会議(G8サミット)で支持を訴える構想を語る関係者もいた」。

「毎日新聞」報道「外務省は当初から非難決議への譲歩を想定していたが、『安倍長官がネジを巻いた』(首相官邸筋)結果、麻生外相、谷内正太郎事務次官らが集まった7月7日の幹部協議で『中国に拒否権を行使させてもいい』と正面突破を図る方針を確認した」と報道。

この強硬外交方針を主導したのが、安倍晋三官房長官と麻生外相だったことは、各紙が一致して述べています。

中国は6カ国協議の議長国として北朝鮮の軍事的核の問題を解決することは、東アジアの平和と安定につながる重要な問題と認識して、北朝鮮のミサイル発射実験を止めさせる努力はしましたが、失敗をしました。しかし、9月1日共同通信が報道するように『北朝鮮による核放棄確約を明記した共同声明の採択』を重要と位置付けて外交努力を行っています。

この様な中国と対決した外交、『国際加盟国が北朝鮮ミサイル発射実験で一致した声明を出すのが効果的』と考えて努力する流れと逆行するような外交姿勢を改めなければ政権構想に掲げた「開かれたアジアにおける強固な連帯の確立に向けた中韓両国との信頼関係の強化」は実現できないと思います。

「新憲法の制定や教育の抜本改革などを柱とする」方針の政権構想は、戦後の自由と民主主義、平和主義の方向を転換させることです。日本が海外で武力行使を再び行う、日米同盟で集団的自衛権行使を目的とする憲法改定の方針と「開かれたアジアにおける強固な連帯の確立に向けた中韓両国との信頼関係の強化」とは、論理的な矛盾があり、両立はとても困難です。

「開かれたアジアにおける強固な連帯の確立に向けた中韓両国との信頼関係の強化」には、中韓両国に安心感と信頼感を与えることが必要です。平和憲法に守り生かす道こそ、中韓両国に安心感と信頼感を与え、実現出来ると思います。

「優しさに満ちあふれる国」とは、強者の立場に立つ新自由経済の経済政策ではなく、弱者に立つ経済政策です。個人の尊厳より、国家の権威を上位におくような国家ではありません。