いせ九条の会

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母親の教えと学校教育が矛盾する時代にしてはならない/山崎孝

2006-08-04 | ご投稿
2006年8月3日朝日新聞「声」欄に載っていた投稿文を紹介します。「子供に伝える戦争の悲惨さ」投稿者 岐阜県の主婦 小野久美子さん

 夏休みに入ってすぐ、新聞にレバノンで負傷した市民の姿が載っていた。男性が頭から血を流し、戦争の悲惨さをストレートに伝える写真だった。

 小学校4年になる息子が、その新聞を持ってきて「これ何なの?」と聞いてきた。世界では、まだ戦争が起きていること、多くの人が苦しんでいることなどを話した。

「戦争が起きたら、ボクも弾が当たって死ぬんだね」と言う。息子にとって戦争で戦うことは考えられず、すぐ死に結びつくのだろうか。

子どもに教えなければならないことは多い。平和は努力しなければ維持できないこと、歴史や民族など様々な問題を戦いではなく、話し合いで解決しなければならないことなどだ。

平和は緊張の上に成り立ち、平和にあぐらをかいてはいけないことも教えなければならない。

将来、子どもたちが平和な世界で生きていくことが出来るように、出来るだけ丁寧に教え続けたいと思っている。(以上)

 この女性が戦争を否定することを教えても、教育基本法が変えられ、愛国心教育や扶桑社の教科書で日本の戦争の歴史を肯定し、戦死者を慰霊より賛美するような傾向の学校教育が行われた場合、個人の命の大切さより、国家の使命が大切と教えられた場合、母親の教えと学校教育に矛盾が生まれ、子どもは戸惑うことになると思います。

そして、憲法が変えられたら、安倍晋三氏のような「われわれの新たな責任は、日米安保条約を堂々たる双務性にしていくことだ」「軍事同盟とは“血の同盟”だ」と思うような政治家が政権を握っていたら、日本は海外で武力行使を行い、シンディシーハンさんらのような悲劇が起こることを想定しなければなりません。

戦時中のことを描いた映画で、大学教授だった父親が子どもに日本の戦争のことを批判するような話をすると、子どもは父親に激しく反発する場面があったことを私は憶えています。戦時中のように母親は息子や夫が戦死しても靖国神社に祀られることを喜ばなくてはなりません。

話題は変わりますが、レバノンを攻撃するイスラエルは、パレスチナで占領地を拡大したことを棚に上げて、それに反発するヒズボラの抵抗を無くすために、その組織の武装解除の目的を優先させて停戦を行いません。人命よりも国家の目的を優先しています。このようなイスラエルを米国は強力に支援しています。

自らの行為を棚に上げたことといえば、イラクで日本人3人が人質になった時、日本政府は米国を支援するためイラクに自衛隊を派遣して反米勢力の標的にされる政策を行った。政府はこの政策を棚に上げて、外務省が渡航を禁止しているような所に言ったことが悪いと、3人の自己責任を猛烈に糾弾しました。原因や問題のすり替えを行ないました。その時日本人の一定部分は政府の宣伝に乗せられて、一般的常識の思考で「自己責任」を咎めました。物事の本質を掴むことが大切だと思います。