いせ九条の会

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ガバナンスの言葉に表れた本音/山崎孝

2006-11-02 | ご投稿
【教委と学枚の機能に問題 いじめ自殺で官房長官】(共同通信電子版より)

塩埼恭久官房長官は10月31日の衆院教育基本法特別委員会で、いじめを苦にした自殺が各地で相次いでいる問題に関連し「教育委員会の使命が果たされていたのか、学校現場でのガバナンス(統治)が利いていたのか非常に心配だ。機能が十分果たされていない」と述べ、学校や教育委員会の対応を批判した。

官房長官は「実際には教育再生会議でこれから議論することになる」と指摘し、具体的な検討は政府の「教育再生会議」に委ねる考えを示した。

伊吹文明文部科学相は、東京都教育委員会が教職員に国旗国歌を強制したのは違憲とした9月の東京地裁判決に関連し「学菅指導要領は法律の一部であり、これに従って学校現堀の管理指導をするのは当然だ」と述べ、教職員には入学式や卒業式で国旗掲揚や国歌斉唱をする職務上の義務があるとの認識を示した。

民主党案の提出者である藤村修氏も答弁に立ち「公立の小中高校での国旗掲揚、国歌斉唱について、当然のことながら教職員は従う必要がある」と述べた.自民党の稲田朋美氏への答弁。(以上)

9月21日、入学式や卒業式で日の丸に向かって起立や君が代の斉唱を強要するのは不当だとして、東京都立の高校や養護学校などの教職員が都教委などを相手に、起立や斉唱義務がないことの確認を求めた訴訟の判決を東京地裁は行っています。

難波孝一裁判長は、違反者を処分するとした都教委の通達や職務命令は「少数者の思想信条・良心の自由を侵害する」として違憲・違法と判断。起立、斉唱義務がないことを確認し、違反者の処分を禁止しています。

法律を制定時には小渕首相も、国旗・国歌を強制するものではないとの趣旨が述べられ、1999年7月、国旗・国歌法の国会審議で、政府は「起立する自由も起立しない自由もある。斉唱する自由もあればしない自由もある。この法制化はそれを画一にしようとしているわけではない(野中広務内閣官房長官)と答弁しています。

伊吹文明文部科学相は、国旗・国歌法を勝手に解釈して、法律的には正当な根拠がないことを主張しています。

塩埼恭久官房長官は、「学校現場でのガバナンス(統治)が利いていたのか非常に心配だ」と述べています。本来の教育は、自覚的で自発的な日本人を育てることにあります。統治を利かすとは、教育を国家の意思に従う子どもを育てたいとする意図に通じる言葉です。自民党政治家の本音を露呈しています。

生徒によるいじめは、受験競争などから生まれるストレスが大きな原因だと言われています。これを見れば安倍首相の提唱するバウチャー制度の導入は、さらに学校間の競争が起き、生徒はその競争に巻き込まれます。

★★韓国政府 閣僚を刷新

韓国政府の宥和政策が原因で北朝鮮が核実験をするに至ったのではなく、米朝の対立からこのような事態になったはずなのに、韓国の盧武鉉内閣の宥和政策への批判が起こりました。盧武鉉大統領は11月1日、それをかわすために辞任して空席になっていた外交通商相、統一相、国防相を任命しました。しかし、人事は現内閣の北朝鮮への宥和政策を推進する考えの人物を任命しました。

この韓国の動きを見て改めて思うことは、安倍晋三氏は自分と同じ歴史認識を持つ人たちを自らの政権に幹部として取り込みました。しかし、自分の歴史認識が公式の場では通用しないことが判り封印をせざるをえなくなりました。しかし、政権内ではかつての自分の歴史認識や意見を代弁する人が絶えず、その都度国民から厳しい批判を受けております。

このような人物には、本来ならば安倍首相が断固として非核三原則を守り、歴代の政府の歴史認識を引き継ぐとする立場であるならば、政権の方針に反する人物に対しては厳しい態度で臨まなければならないはずです。特にその発言は内政問題ではなく日本の国際的な信用にかかわる事柄です。安倍首相の態度が国際的に試されていることを認識してほしいと思います。