いせ九条の会

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テロリストと外国軍隊に反発の抵抗勢力を区分して対処しなければ/山崎孝

2008-10-13 | ご投稿
【タリバーンとの和平論が急浮上】(朝日新聞10月11日のHPより)

【イスラマバード=四倉幹木】反政府武装勢力タリバーンとの戦闘が激化しているアフガニスタンで、タリバーンとの和平論が急浮上している。カルザイ大統領はタリバーン指導者オマール師に政権参加を呼びかけ、米英でも政治的解決を支持する声が広がり始めた。7日で丸7年を迎えた米軍を中心とする軍事介入が行き詰まりつつある現状を反映した形だ。

 「数日前、私はオマール師に『同胞を殺すのをやめ、国の平和と国民の福祉のために共に働こう』と呼びかけた」

 カルザイ大統領は1日の記者会見でこう述べ、タリバーンに政権参加を求め、サウジアラビアに仲介を依頼していることも明らかにした。

 和平機運の裏には、出口の見えない戦闘の泥沼化がある。駐アフガン英軍司令官のスミス准将は5日付の英サンデー・タイムズ紙で「タリバーンに対する軍事的な完全勝利はありえない」と断言した。

 アフガンでは、01年の米英軍の攻撃によるタリバーン政権崩壊後も治安の改善がみられず、今年に入ってテロや戦闘が一層激化。ワルダク国防相は先月末、「敵はかつてないほど強く洗練されている。冬の到来前に攻勢が強まる可能性がある」と述べた。

 米軍を中心とする駐留外国軍の今年の死者数も9月末までに昨年1年間の死者数を上回ったとされる。また国連によると、8月末までのテロや戦闘による民間人の犠牲者は昨年同時期より約4割増えた。

 カルザイ氏は来年の大統領選で再選を目指しており、治安の改善は政権維持のための最優先課題となっている。

 タリバーン掃討を主導する国を取り巻く環境も厳しさを増している。米ブッシュ政権はアフガンへの兵力増派を決めたが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国や日本に対する増派や経費負担の要求が、金融危機に巻き込まれた各国に受け入れられるかは不透明だ。また、アフガンからパキスタン側への米軍の越境攻撃をめぐり、パキスタンの強い反発も招いている。(以上)

 米国がアフガニスタンへの報復戦争を開始して七年。アフガン情勢がますます混迷を深める中、軍事力で問題は解決できないとする見方が国連や地上軍を派遣している国ぐににも広がっています。

【相次ぐ政治解決をの声】(しんぶん赤旗HPより抜粋)

 実際、軍事力で解決するという戦略には、当の米軍内からさえ異論が出ています。マレン米統合参謀本部議長は九月、アフガンで「勝利するとは確信できない」と述べました。NATO(北大西洋条約機構)諸国軍などで構成するISAF(国際治安支援部隊)のマッカーナン司令官(米陸軍大将)は、「究極的には政治的に解決されるものであって、軍事的にではない」と述べました。

 米国と一体で作戦を担ってきたイギリスでは、政治解決こそ必要だとの認識が表面化しています。

 アフガンで半年にわたる作戦を終えたばかりの英軍部隊のカールトンスミス司令官は「この戦争に勝利はない」と明言しました。タリバン側が政治解決のテーブルにつくことが問題解決につながるのであり、「紛争の解決は銃ではなく交渉による、と議論の枠組みを変えたい」と強調しました。

 アフガン駐在のクーパーコールズ英大使は非公式に、米戦略は失敗であり、外国軍の存在そのものが問題だとの認識を示したと報じられています。英各紙は、こうした見方が軍と政府に広がっていることを伝えています。

 エイデ国連事務総長特別代表も六日、軍事勝利はありえないとし、「政治手段によるべきだ」と述べて、紛争当事者間の交渉の重要性を強調しました。

【コメント】日本の与党も民主党も、アフガンにおけるテロとの戦いは軍事的な支援を主体に考えています。しかし、以上のような報道を見れば的を射た政策ではありません。

日本国憲法の規定 国際紛争は武力で解決しないとしたとした精神に基づいて、日本はテロリストを生み出している土壌の解消に努め、根っからのテロリストと外国軍隊に反発している抵抗勢力を区分して対処しなければならないと思います。

今年のノーベル平和賞を受けたマルティ・アハティサーリ元フィンランド大統領は「今後10年間で世界で10億人の若者が職にあぶれる。希望を失うとテロリストになってしまう」と語り、中東や北アフリカに職を与える活動を行なうと言います。このような状況認識はアフガニスタンにも当てはまると思います。

米国への追従外交を止めて、日本国憲法の9条の精神、憲法前文に謳われた、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う」の精神を活かすことが出来れば、マルティ・アハティサーリ氏のように輝かしい国際紛争の調停者になれると思います。