伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

もしも猫展・京都文化博物館

2023年11月10日 | 展覧会・絵

「もしも猫展」という、江戸時代から明治にかけて流行ったらしい、
猫(や動物)を擬人化した浮世絵を集めた展覧会があり、
面白そうだと思って行きたいと思っていた。
招待券をもらったので行って来た。




開催していたのは京都市中京区、
三条高倉にある京都文化博物館だ。



京都文化博物館
https://www.bunpaku.or.jp/

https://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/20230923-1112/
もしも猫展
2023.9.23(土・祝) 〜 11.12(日)



館内は殆どの作品が写真撮影可能だった。
以前は美術館の展示作品は撮影不可が当たり前だったが、
最近の美術館は考え方が変わって来たのかもしれない。



動物を擬人化した絵画は、日本では「鳥獣人物戯画」の昔から有名だが、
鳥獣戯画の伝統が江戸時代の浮世絵にも受け継がれていたのかもしれない。




「もしも猫展」では思ったより沢山の展示作品があり、びっくりした。
浮世絵で、こんなに猫を主人公にして、
擬人化した作品が沢山あったとは思わなかった。
擬人化錦絵がよっぽど流行したのか、
猫を飼うことが(江戸時代に)一般化していたのか、
両方なのだろうと思ったが。







浮世絵師の歌川国芳は猫好きで、
自分の工房に沢山の猫を飼い、放し飼いにしていたのは有名な話で、
そのエピソードも知っていたが、
その国芳の猫作品を中心にした展示だった。


片っ端から写真に撮ったが、
あまりにも撮りすぎて誰のどの作品か分からず(>_<)
国芳以外にも擬人化した猫作品は多かった。
風刺画かもしれないが、
猫に人間の動作をさせることが単純に面白かったからのような気がする。




国芳の猫はさすがに生き生きとしていて、
人を真似た動作も自然でおかしみと面白さがある。


猫だけでなく、猫以外の動物の戯画もある。
国芳の十二支の動物を主題にした作品も滑稽味が達者な描写だ。






人の解剖図のような絵では、人の胎内に極小の人物たちが働いていて、
臓器を動かしている様子が描かれていたのが楽しい。
(作者分からず)



国芳以外の有名浮世絵師も猫を主題に描いている。



作者は分からないが、たくさんの猫たちが銭湯に入っていて、
それぞれ湯船につかったり、体を洗ったり
思い思いのポーズを取っている銭湯風景は楽しい。


明治時代の錦絵で猫の学校風景を描いたものもあった。
これも猫の先生や生徒がいて楽しい。


猫の着せ替えセットまであった。
切り抜いて遊ぶ着せ替えセットを猫で表現したもの。
裸の猫がなまめかしい笑



動物ではなく事物の擬人化として、
「百鬼夜行絵巻」が展示されていたのはうれしい。
古い釜などが付喪神という妖怪と化して行列して歩く。



擬人化ではなく、「女性と猫」というコーナーでは
猫を主題とした浮世絵も展示されていた。
女性と猫というテーマは好まれたようなのだ。
江戸時代には猫は鼠を取るというので家庭で良く飼われるようになったそうだ。


見たかったのは歌川広重の名所江戸百景より。


描かれているのは遊郭で、猫の飼い主は遊女である。
猫は営業中の主を待っている。
猫の丸い背中がかわいくて好きな絵なのだ。


月岡芳年の女性と猫を描いた作品も2点展示されていた。
芳年(よしとし)は女性もうまかった。


「うるささう」
猫とたわむれる女性の姿が艶めかしい。


「とりけしたい」はスキャンダルを新聞に暴露された芸妓が、
物憂げにその新聞を読んでいるところ。
傍らに彼女の飼い猫がいる。




国芳に戻って子供の落書きという体裁を取った役者戯画、
というのが面白かった。
まさに墨の落書きにしか見えないがすごく達者な似せ絵でもある。
ニャロメのような猫までいる…。


国芳には「みかけハこハゐが とんだいゝ人だ」という、
人が連なって一人の男の顔になる、というアルチンボルド顔負けの絵があるが、
今回も猫を素材にそのような感じのものがいくつかあった。


猫を寄せ集めて字を描く。「猫の当字」で「なまづ」
いかにも国芳らしい。



同じく猫の当て字で「たこ」
虎猫などがいる。よくこんな発想が出来るものだ。楽しい。


「かつを」もあった。
かつおを頬張っている猫がいる。



おもちゃ絵で遊べるおもちゃ絵コーナーもあった。
マグネットがついていて着せ替えが出来るのだ。
肩肘張らずに遊べるというコンセプトが良かった。


本当はもっと倍くらいの写真を撮った。
そして展示作品はさらにその倍くらいの量があった。
きりがないので印象的なものだけ取り上げた。




猫は江戸時代から飼い猫として日本人に親しい動物だった。
だからこうして多くの絵に残されているのだろう。
かわいい猫というだけでなく、化け猫や妖怪に変じた猫など、
それらも猫が身近にいたからこその擬人化だったのかもしれない。


日本という国は鳥獣戯画の時代から漫画というか、
戯画が好きな民族だったようだ。
江戸時代の戯画は間違いなく現代の漫画と何一つ変わらない。
江戸の大衆は浮世絵や草紙を娯楽として楽しんでいたのだ。

猫好きの国芳を通して、
江戸の擬人画文化というべきものを垣間見させてもらった。




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