伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

やりきれない思い、でも

2018年02月19日 | 羽生結弦

*羽生結弦の平昌五輪*


呆けていて、時間も取れないこともあり、
何も手がつかなかったが…


日は変わり、世間は小平選手の金メダルに沸き、
京都マラソンには無事に山中教授が出場した。

*****



「日本オリンピック委員会(JOC) 羽生結弦選手会見」
で明らかになったことも含めて、
かなり衝撃を受けている。


ひとつは足の状態が、我々が思っていたより以上に
深刻だったこと、
もしかしたら選手生命にかかわるほどの怪我で、
今も思わしくない状態であるかもしれないことだった。



しかしその前に…
羽生結弦選手のフリー演技のレビューをこころみたい。


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フリー「SEIMEI」の、演技の、もっとも印象的で
もっとも強く記憶に残ったのが、
最後のジャンプ3ルッツだった。


体勢を崩してきちんと着氷できず、こらえてこらえて、
何とか手をつかず、転倒をまぬかれた、
痛めた右足で何とかこらえた。

演技としては、ジャンプとしては、満足なものではなく、
流れが失われた。
けれどもセンチメンタルなファンの目で見て、
それが彼の、最後の意地のような気がして、
もっとも演技の中で心に残った。


そのあとのスピンはレベル4、
そしてコレオに入ってゆく、
それは気魄というよりは、鬼気迫るものだったように思う。

最後のトラベリングキャメルもレベル4
(スピンはオールレベル4)、
(ステップだけはレベル3だった)、

このフリーが、
これから先、冬季オリンピックになるたびに
繰り返されるであろう演技となるのだろう。

そのリピートに恥じない演技であったと私は
ファンとして思う。


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会見で、思ったより右足の状態が深刻なものであることが
明かされた。


「実際にここまでくるにあたって、
4回転ループが跳べたのが(平昌に)移動する前日。
4回転ルッツに関してはまったくやらず、
3回転ルッツが跳べたのも本当にギリギリだったので、
痛みとの戦いの中、何とか……
何とか跳べるようになったジャンプだったので。」


「本当に痛み止めを飲んで、
注射を打てれば本当は良かったですけれど、
注射が打てないような部位であって、痛み止めを何とか飲んで、
という感じだったので。
はっきり言って今、(足首の)状態がちょっと分からないです。
ただ、はっきりと言えることは、
痛み止めを飲まない状態では到底ジャンプを下りれる状態でもないし、
跳べる状態ではないということは分かっています。
なので治療の期間がほしいとは思います。」





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痛み止めを強いものにして飲みながら演技していたことは、
次の日の新聞で知った。
(念のため痛み止めはドーピングにはならない)

おそらく右足にテーピングをぐるぐる巻きにして、
ガチガチに固定させて、臨んでいただろうとも推測する。


しかしそれを微塵も感じさせない、
ショートのバラード1だった。



フリーは、4ルッツどころではない、ループさえ
入れようにも入れられない状況だったのだろう。

だが初めの4S、4Tは加点3の満点、
後半の4S-3も2.7の高い加点。


だがそこでおそらく体力というよりは、
足の状態がもう精一杯だったのだろう。

次の4-1-3の予定が4Tのリピートになり、
足の具合が限界だったのかもしれない。

しかしその直後の3A-2の予定を3A-1-3にリカバーし、
加点2をもらう。


本人も言っているように、
「最後の最後に支えてくれたのは、トリプルアクセル」だった。

「やはりアクセルジャンプにかけてきた思い、
時間、練習、質も量もすべてがどのジャンプよりも多いですし。」


彼の高い技術が、怪我が治っていなくても、
その技術力が、最後まで彼の気力を支えたのだと思う。


そして結果、2位を10点以上離しての優勝だった。





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トウループ、サルコウという点数の低い2つの4回転だけで
臨んだ五輪、
やむなくそうせざるを得なかったが、加点満点を得られる
ジャンプで臨めば、
若手がどれだけより高難度のジャンプを何度回数を飛んでも
彼にはかなわない、

だから若手はどんなに不十分で美しくない4回転でも
回数を飛ばざるを得ない、
羽生選手に勝とうと思えば、
不十分な4回転をたくさん飛ばなければ勝てない。
その結果、4回転が不十分なままミスを誘発してしまう。




ネイサンはフリーで215.08点で羽生を大きく上回った。
(羽生はフリー206.17)


だが、そのフリーの点数も、
羽生選手が初めて総合で300越えを果たした
2015年のNHK杯のフリーの得点216.07に及ばなかった。



この時の羽生選手の演技構成もやはり4Sと4Tのみ、
ネイサンが4回転6回飛んで5回成功(ひとつはミスらしい)
(すみません、まだネイサンの演技を見ていない)

羽生選手よりはるかに多い回数と、高難度4回転を飛んでも、
2015年の2種3回の羽生選手に届かなかった。



いかに羽生選手のジャンプの質がよいか、
すべてのジャンプに2点以上の加点がもらえ、
そして彼の誇る3Aでも満点に近い点数(4回転と同等の)
がもらえる、

それが羽生選手の強みであり、
そしてスピンでもステップでも大きく加点がもらえる
それが彼の強さの秘訣であった。




ネイサンがもしショートでミスしなかったら、
彼が優勝していた。

だがそれはタラレバ、
タラレバは何度も言うが無意味だ。


ミスすることはどこか故障があるのかと思っていたが、
フリーが良かったことを思うと、心理的な重圧だったかもしれない。


ミスするということはまだ下手だということ。
(by羽生結弦)


タラレバを言うなら、もしネイサンがショートで良い出来であっても、
もしかしたらフリーで大ミスをしたかもしれない。
メンタルの面に問題があったとしたら。

しかしそれもタラレバ、
もう終わった結果がすべて。


ショート、フリーともクオリティの高い演技で
揃えられた、

どれだけ難度の低い構成で挑まざるを得なくても、
羽生は勝った。10点以上離して。
それがすべて。

記憶にも残り、記録(五輪2連覇)にも残った。




彼は万全の状態ではなかった。

むしろ怪我は全然治っていなかった。
痛み止めが必要で、それがなければジャンプも飛べない状態。




外野が診断書を出せと、うるさくケチをつけていた。

出せるはずもなかったのだろう。
まったく治る見込みもなかったのだから。
今ですら治っていないのだ。


それでも彼は4回転を2度、満点の加点で飛んだ。
それが彼の実力だ。
診断書など必要もない。
彼が規格外だということを、理解できていないようだ。


満身創痍でも、もう後がないとしても…
彼は優勝した。


ルッツをこらえた時、転倒せず手をつかず、
必死に傷んだ右足でこらえた。

そして演技後勝ったと彼は叫んだ。
「自分に負けた」と言ったソチオリンピック、
それを踏まえて勝ったと彼は叫んだ。
自分に勝ったと思ったと。

あのルッツが、不完全でマイナスされたルッツが、
転倒せず手をつかず…、
それが自分に勝った瞬間だった。




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ここに至るまで、羽生ファンは様々なことに傷つき、
つらい思いをして来た。


今さらつらつらと上げても仕方がないが、
ひとつだけ上げるとするならば
私にとってはNHKの番組だった。

ほとんどNHKしか見ない私にとっては衝撃的な内容だった。




今まで我々…いや、私は傍観者にしかすぎないが、
熱心な羽生ファンが、心ない人々のいやがらせや、煽りや、
無責任な発言にどれだけ傷つき、つらい思いをして来たことか、

すべての羽生選手を応援していたファンの方々の、
悔しい思いを、私は思い至る。


それ以上に本人がどれだけの思いをして来たか、
会見のインタビューで少しだけ、伺われる。



「本当に本当の気持ちは、嫌われたくないってすごく思うし、
いろいろな方に見られれば見られるほど、
いろいろなことを話せば話すほど嫌われるし(苦笑)、
いろいろなことを書かれるし、
うそみたいな記事がこれからもっともっと出てくるんだろうなと
思います。」





羽生選手本人が、例えばネット記事や、
ネット上の誹謗中傷や、えげつない言葉の数々、
無責任なスポーツ紙などを無視すればいいと思うのだが、
もしかしたら彼は江戸川乱歩と同じく、
「自分集め」が好きな人なのかもしれない。

そして彼に群がる記者たちの中には、好意的とは思えない人たちも
いるのかもしれない。

それを思うと、彼の心情を慮り、心が痛むばかりである。


それが有名になった者の宿命、有名税であるとは
赤の他人の自分は軽く思うものの。


メディアの花形になるに連れ、
その苦労も計り知れないものがあるだろう。
タレントであるならともかく、
彼はアスリートなのだから…。


だが彼は、上記の発言のすぐあとこうも言った。

「ただ、僕が話したこと、僕が作ってきた歴史、
それは何ひとつ変わらないですし、自分の中で今回は誇りを持って、
本当に誇りを持って五輪の金メダリストになれたと思っているので、
これからの人生、五輪の金メダリストとして、
しっかりまっとうしたいと思います。ありがとうございました。」





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彼の怪我の本当の具合はどうなのか分からない。

治るのか、完治するのか、もしかして深刻なものなのか。
けれども4Aを飛びたいとも発言した。

それをモチベーションにして、怪我の回復をきっと
目指すと信じる。
彼なら克服するだろう。
そう信じてもよい気がする。



すべてを捨てて、スケートだけに捧げ、
スケートだけを愛して、スケートに費やしてきた若い青春。



彼の誇り。

私は高いプライドを持つ人が好きだ。


プライドを持つからこそ自分に自信もある。
自分の信じた道をゆくことも出来る。



誇りのない人は他の何かに引きずられ、
自己自身を見失う。
他に依拠して依存することでそれを拠り所とする。


確固たる変わることのない強い意志で、
その誇りを貫き通した羽生結弦を
私は、もう何もかもジョークを言うことも忘れて
彼を眩しくはるか上の人として下方から見つめ続けたい。

見つめ続けさせてくれると信じてる。


センチメンタルになってます…
ごめんなさい


羽生くん

沢山たくさんのファンがいて、あなたを応援し
愛しています、

もっともっと幸せになってください
幸せな時間が長く続くように祈っています
何度でも幸せな時が来るよう願っています♪

そして大好きなスケートを続けられるように…


会見全文
https://pyeongchang.yahoo.co.jp/column/detail/201802180003-spnavi

会見動画
https://www.youtube.com/watch?v=-iqPKgAOLpg






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