一風斎の趣味的生活/もっと活字を!

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エジプトの古典音楽を聴く。

2007-08-23 07:40:15 | CD Review

world music library
Classical Music of Egypt
(KING)


前回はリュート音楽のご紹介をしましたので、今回は、そのご先祖とでもいうべきウードの演奏を。

エジプトの古典音楽なのですが、さすがにピラミッドが建造された頃の音楽ではありません。
イスラム文化が入ってきてからの音楽なのね。

さて、ウードとは
「アラブ古典音楽で用いられる木製の撥弦楽器。その歴史は古く、ササン朝ペルシャの楽器バルバトがその前身とされる。またウードは、ヨーロッパのリュートの直接の祖先でもある。」(HP "arab-music.com/instruments" より)
そうで、形はジャケット写真にあるとおりです(リュートやギターとは異なりフレットがありません)。

音楽を聴く限りは、アラブ音楽の一種なのでしょうが、このCDでの演奏はいささか哀愁を含んだ旋律で、かなり凝った演奏なのではないでしょうか。
興味深いのは、その手の中に、スペイン風のギターによくあるものが使われていることです("Maqam Kurd" という曲)。
簡単に考えると、イベリア半島がかつてイスラム文化圏だったことの証拠のようにも思えますが、逆に、近年になってからギター演奏の技法がエジプトのウードにも影響を与えた、とも考えられます。
これはどちらなのかは、小生には判断が付きません。

また、このCDには、カーヌーンというチターによく似た楽器による作品が2曲("Maqam Nahawand" "Maqam Hijazkar") とナイという葦笛による作品が1曲("Maqam Saba") 含まれています。

涼しい曲かといえば、必ずしもそうとは言い切れませんが、ともかくエキゾティックな情緒が味わえることは間違いがありません(通俗的なエジプト・イメージではないし、サン-サーンスの『ピアノ協奏曲第5番〈エジプト風〉』のエジプト・イメージでもないけどね)。

悠久のナイルの流れに思いを馳せて、お聴きください。

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