一風斎の趣味的生活/もっと活字を!

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「遅れてきたロマン派たち」―アレンスキー、タネーエフ、カトワール

2007-04-16 06:54:07 | CD Review

Treasures of
Russian Chamber Music
Arensky - Taneyev - Catoire - Shostakovic
The Amsterdam Chamber Music Society
(BRILLIANT CLASSICS 93018)

ロシアには知られていない作曲家たちが、まだまだたくさんいるようです。
特に、ここで取り上げようとする作曲家たちは、旧ソヴィエト政権によって「無価値」との烙印を押されたことが大きいようです(また、当局が社会主義リアリズムを標榜するようになってからは、ロシア革命前後のアヴァンギャルドたちの音楽が、「非民衆的」であるとしてシャット・アウトされた)。

つまりは、時代から取り残された「遅れてきたロマン派」音楽の作曲家たちなのね。

アントン・アレンスキー(1861 - 1906) は、リムスキー-コルサコフの弟子で、その門下生にはラフマニノフ、グリエール、スクリャービンなどがいます。

また、セルゲイ・タネーエフ(1856 - 1915) は、アレンスキーと同世代で、こちらはチャイコフスキーの弟子。ピアニストとして嘱望され、チャイコフスキーの『ピアノ協奏曲第1番』のモスクワ初演、同『第2番』の世界初演でピアノを弾いています。彼の弟子には、グラズノフ、プロコフィエフ、メトネルなどがいますから、名前を聞いたことのある方もいらっしゃるでしょう。

一番知られていないのが、彼ら二人と同世代のゲオルギー・カトワール(1861 - 1926)。リャードフの弟子筋に当たるようですが、むしろミャコフスキーやカバレフスキーの師としての方が知られているのかもしれない。
また、作品の上では、最近になってピアノ曲がマルク-アンドレ・アムランの演奏で、やっとCDで聴けるようになりました(hyperion)。

この3人の間に親交もあったようですが、いずれにしても、ロシア音楽における一種の「ミッシング・リンク」といったところが、共通した位置づけになりそうです。

一口で「遅れてきたロマン派たち」と言っても、やはり個性がありますが、曲の印象については、また別の機会に。
ここでは、このようなCDがあるという、御紹介に留めておきますが、ロシア音楽(特に室内楽曲)にご興味のある方には、お勧めのセットではないでしょうか。

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