「1914年の第一次世界大戦が終りを告げた後、平和が世界を支配するだろうという、深い確信と、ほとんど万人に共通した希望とがあった。あらゆる国民のこの心からの希望は、正しい確信に根ざした不動の信念と、理にかなった常識と思慮分別さえあれば、容易に達成されたはずである。『戦争を終わらせるための戦争』という言葉は、あらゆる人々の口の端にのぼり、それを実現させるための、種々の手段が講じられた。」
(『第二次世界大戦』)
W. S. チャーチル(Winston Leonard Spencer Churchill、1874 - 1965)
英国の政治家。英国首相(1940 - 45、1951 - 55)。貴族政治家の父ランドルフ・チャーチルと、アメリカ人資産家の娘である母ジャネットの間に生まれる。サンドハースト陸軍士官学校卒業後、第4騎兵連隊の将校に任官し、ナイル遠征やキューバ反乱鎮圧、スーダン遠征に参加するが、その後、ジャーナリストに転身。1899年ボーア戦争の従軍記者として捕虜になるが、脱走に成功。英雄としての名声を受ける。1900年総選挙に保守党から出馬して当選。1904年には自由党に入党、1910年内務大臣、1911年海軍大臣を歴任するが、第一次世界大戦でダーダネルス海峡攻撃作戦を推進するも惨敗。その責任をとり海軍大臣を辞職。1922年の総選挙では落選し下野。1924年保守党に復帰し、大蔵大臣となる。
1939年第二次世界大戦の勃発ともに、海軍大臣に再就任。1940年にはチェンバレンの後を受け、首相に就任。挙国一致内閣を率いる。第二次世界大戦を勝利に導くが、1945年7月の総選挙で保守党は大敗し、首相の座から降りる。1951年の総選挙で保守党は勝利し、再度首相の座に就く(~1955年)。
その著『第二次世界大戦回顧録』は高い評価を受け、1953年にノーベル文学賞を受賞。
本書は、『第二次世界大戦回顧録』(全6巻)から、チャーチル自身が改めて編集し直し、1945年以降の記録と所見とを収めた1巻本である。
上記引用は、本書冒頭部分。
ほとんど、第二次世界大戦後の状況と変りがない。もっとも、2006年現在までの60年間、局地戦争(朝鮮戦争、ベトナム戦争など)はあったものの、第三次世界大戦が勃発していないのが、当時とは違う点とは言えるだろうが。
一方、第一次世界大戦の終結は1918年、第二次世界大戦の勃発は1939年ということで、その間、21年の「平和」(とは言え、エチオピア侵略、日中戦争、スペイン内戦などはあったのだが)が続いた。
その差は、どの辺にあるのか。
国際連盟と国際連合との差なのか、それとも、第一次世界大戦の教訓から、第二次世界大戦後は、敗者へ極端な賠償を要求しなかったからなのか。
一つだけ確実に言えるのは、人類が進歩したからではない、ということである。
第二次世界大戦後の人類が予測したのは、次の世界大戦は核兵器を主要な武器とするであろう、ということと、そうなった場合には、ほぼ全人類が絶滅するであろうということとである。
したがって、今後とも、地域と武器とを限定した戦争が起こらないという保証は、どこにもないのである。
今、われわれが歴史から学ぶものは、何なのであろうか。
参考資料 W. S. チャーチル著、佐藤亮一訳『第二次世界大戦』(河出書房)
(『第二次世界大戦』)
W. S. チャーチル(Winston Leonard Spencer Churchill、1874 - 1965)
英国の政治家。英国首相(1940 - 45、1951 - 55)。貴族政治家の父ランドルフ・チャーチルと、アメリカ人資産家の娘である母ジャネットの間に生まれる。サンドハースト陸軍士官学校卒業後、第4騎兵連隊の将校に任官し、ナイル遠征やキューバ反乱鎮圧、スーダン遠征に参加するが、その後、ジャーナリストに転身。1899年ボーア戦争の従軍記者として捕虜になるが、脱走に成功。英雄としての名声を受ける。1900年総選挙に保守党から出馬して当選。1904年には自由党に入党、1910年内務大臣、1911年海軍大臣を歴任するが、第一次世界大戦でダーダネルス海峡攻撃作戦を推進するも惨敗。その責任をとり海軍大臣を辞職。1922年の総選挙では落選し下野。1924年保守党に復帰し、大蔵大臣となる。
1939年第二次世界大戦の勃発ともに、海軍大臣に再就任。1940年にはチェンバレンの後を受け、首相に就任。挙国一致内閣を率いる。第二次世界大戦を勝利に導くが、1945年7月の総選挙で保守党は大敗し、首相の座から降りる。1951年の総選挙で保守党は勝利し、再度首相の座に就く(~1955年)。
その著『第二次世界大戦回顧録』は高い評価を受け、1953年にノーベル文学賞を受賞。
本書は、『第二次世界大戦回顧録』(全6巻)から、チャーチル自身が改めて編集し直し、1945年以降の記録と所見とを収めた1巻本である。
上記引用は、本書冒頭部分。
ほとんど、第二次世界大戦後の状況と変りがない。もっとも、2006年現在までの60年間、局地戦争(朝鮮戦争、ベトナム戦争など)はあったものの、第三次世界大戦が勃発していないのが、当時とは違う点とは言えるだろうが。
一方、第一次世界大戦の終結は1918年、第二次世界大戦の勃発は1939年ということで、その間、21年の「平和」(とは言え、エチオピア侵略、日中戦争、スペイン内戦などはあったのだが)が続いた。
その差は、どの辺にあるのか。
国際連盟と国際連合との差なのか、それとも、第一次世界大戦の教訓から、第二次世界大戦後は、敗者へ極端な賠償を要求しなかったからなのか。
一つだけ確実に言えるのは、人類が進歩したからではない、ということである。
第二次世界大戦後の人類が予測したのは、次の世界大戦は核兵器を主要な武器とするであろう、ということと、そうなった場合には、ほぼ全人類が絶滅するであろうということとである。
したがって、今後とも、地域と武器とを限定した戦争が起こらないという保証は、どこにもないのである。
今、われわれが歴史から学ぶものは、何なのであろうか。
参考資料 W. S. チャーチル著、佐藤亮一訳『第二次世界大戦』(河出書房)