今回は三連休ということで(小生のような自由業には関係がないんですけどね。言い訳、言い訳)、いつもの「人間のストーリー/プロット変換機能について」はお休み。
書評路線に一度戻ります。
表題作『地には平和を』は、小松左京初期の代表作。
「1961年、早川書房主催の第1回空想科学小説コンテスト(SFコンテストの前身)で選外努力賞受賞。1963年には『お茶漬けの味』と併せて第50回直木賞候補」
といった、小松左京の名を世に知らしめた作品です。
内容は、結構ハードなのね(といっても「ハードSF」という時のハードではない)。
8月15日に終戦にならなかった世界。
その世界で、昭和20年当時の小松左京と同年齢の旧制中学生が、本土決戦の中で決死隊に参加して……。
というパラレル・ワールドを描いたものです。
実にシビアーな世界。
でも、沖縄では実際に起きたことなのね。
傑作ですから、ぜひお読みください、とお約束どおり言っておいて、雑談をば。
タイトルの「地には平和を」は、『新約聖書』ルカ伝の、イエス・キリストが生まれた時に、天使たちが祝福して言ったことばから採ったもの。
「いと高き処には栄光、神にあれ、
地には平和、主の悦び給ふ人にあれ」
*ラテン語で、
Gloria in excelsis Deo,
et in terra pax hominibus bonae voluntatis
(ちなみに英語では、
Glory to God in the highest,
and on the earth peace, good will toward men)。
ただし、この小説の内容に「主の喜び給ふ人にあれ」という部分はそぐいますまい(いや、小松左京の皮肉が効かせてあるのかな)。
また、小生「いと高き処」には、天体が運行していると、まず思ってしまう。
しかも、その天体は、精密に造られた懐中時計のようなイメージで、宇宙の「ぜんまい」が、キリキリカリカリという音を立てて歯車を回し、星々や太陽・月を動かしている(「宇宙観」ではなく、イメージね)。
ですから、仮に人知を越えた「神」なる存在を感じたとしても、それはきっと「機械じかけの神」Deus ex machinaでありましょう(笑)。
小松左京
『地には平和を』
新風舎文庫
定価:本体830円+税
ISBN4797490721
書評路線に一度戻ります。
表題作『地には平和を』は、小松左京初期の代表作。
「1961年、早川書房主催の第1回空想科学小説コンテスト(SFコンテストの前身)で選外努力賞受賞。1963年には『お茶漬けの味』と併せて第50回直木賞候補」
といった、小松左京の名を世に知らしめた作品です。
内容は、結構ハードなのね(といっても「ハードSF」という時のハードではない)。
8月15日に終戦にならなかった世界。
その世界で、昭和20年当時の小松左京と同年齢の旧制中学生が、本土決戦の中で決死隊に参加して……。
というパラレル・ワールドを描いたものです。
実にシビアーな世界。
でも、沖縄では実際に起きたことなのね。
傑作ですから、ぜひお読みください、とお約束どおり言っておいて、雑談をば。
タイトルの「地には平和を」は、『新約聖書』ルカ伝の、イエス・キリストが生まれた時に、天使たちが祝福して言ったことばから採ったもの。
「いと高き処には栄光、神にあれ、
地には平和、主の悦び給ふ人にあれ」
*ラテン語で、
Gloria in excelsis Deo,
et in terra pax hominibus bonae voluntatis
(ちなみに英語では、
Glory to God in the highest,
and on the earth peace, good will toward men)。
ただし、この小説の内容に「主の喜び給ふ人にあれ」という部分はそぐいますまい(いや、小松左京の皮肉が効かせてあるのかな)。
また、小生「いと高き処」には、天体が運行していると、まず思ってしまう。
しかも、その天体は、精密に造られた懐中時計のようなイメージで、宇宙の「ぜんまい」が、キリキリカリカリという音を立てて歯車を回し、星々や太陽・月を動かしている(「宇宙観」ではなく、イメージね)。
ですから、仮に人知を越えた「神」なる存在を感じたとしても、それはきっと「機械じかけの神」Deus ex machinaでありましょう(笑)。
小松左京
『地には平和を』
新風舎文庫
定価:本体830円+税
ISBN4797490721