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「父親たちの星条旗」クリント・イーストウッド監督の感想

2006年11月28日 | 映画
これほどまでに誠実に正直に戦争を語った映画を、私はこれまで見たことがありませんでした。クリント・イーストウッド監督の誠意と崇高な精神に感服しました。
戦闘シーンは真に迫るほどの臨場感がありましたが、それ以上に、作りものではない、ありのままの出来事と思われるほどの戦争の真の姿が語られていました。戦争には英雄はいない。この映画にもヒーローはいない。そして、淡々と語られているからこそ、個人としての人間の戦争に対する虚無感がリアルに感じられました。この映画を見て、戦争について理解したなどとは思いません。それは、実際に体験した者にしか分からないことであり、この映画でもその点の虚しさが語られていました。でも、クリント・イーストウッドは戦争というものを理解したうえで、客観的に描ききっていると思います。
感動したわけではなく、悲しくなったわけでもないのに、魂が揺さぶられたように涙が止まりませんでした。
『硫黄島からの手紙』も、覚悟して見に行きます。

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