ただの偶然なのですか

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小説 「REVERSE リバース」 石田衣良著 の感想

2007年12月12日 | 読書
これは奇妙な恋愛小説です。いや、恋愛小説と言えるかどうかも分からなくらい、読んでいるうちに感覚が混乱してきました。

ネットの世界で出会い、メールの交換を通して心を通わせていく男女。
しかし、そのメールのやりとりの中では、男性は女性になりすまし、女性は男性になりすましているのです。
二人はお互いに、相手は同性だと信じています。
やがて二人は、お互いに相手に恋愛感情にも似た奇妙な感情を抱くようになります。
自分が同性愛者なのではと、とまどう二人の動揺と混乱…。

それにしても、相手が同性だと思っていても、その文章だけで恋に落ちることってあるのかしら…。
それは性別を超えた、魂と魂の恋愛。
ほんとうにそんなことがあったら、その出会いはまさに奇跡でしょう…。
ネットの世界では、メッセージがストレートに心に届く感じがあって、より刺激的で強いつながりを感じるときもあります。
でもそれは、そこに自分勝手な妄想も入っているからかもしれませんし…。

この小説では、意図的かどうかは分かりませんが、二人のメールの内容はほんの一部分しか載っていなくて、それほど心を揺さぶられるものでもないと思います。私が読んで感じた印象としては、その内容にリアリティが感じられないのです。
しかしその一方で、二人が現実世界で直面している恋愛のトラブルの描写はとてもリアルで、感情の動きやセリフに共感できる部分が多いです。
恋愛至上主義を否定しているところもありますが、それでいて二人は恋愛を渇望しているのです。

しかし、ネットの中だけの世界で進展していく恋には限界があります。
そしてこの二人も、現実の世界でもお互いに会いたくなってしまい・・・。

う~ん、これは新しい恋の形なんでしょうかね…。
現実の世界では二人の恋に未来はあるのでしょうか…。

私は自分の性別を偽ってメールを送るなんて想像できませんが…。
ブログにコメントするときなどは、相手が男性だとトキメキを感じるときもありますが…。
若い頃は男性と気軽に会話することもできませんでしたが、ネットのおかげで世界が変わりました。

性別を超えた魂と魂の恋愛…そんなことが可能なんでしょうかね…。
それはまさに私が憧れているプラトニックな究極の恋愛かしら…。




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