憲法施行75周年にあたって
2022年5月3日 日本共産党書記局長 小池 晃
一、今年の憲法記念日は、ロシアのウクライナ侵略に対して、世界が厳しい批判の声をあげ、戦争か平和かが問われる中で迎えた。日本共産党は、ロシアの野蛮な侵略を断固糾弾し、「国連憲章を守れ」の一点で世界が団結することをよびかける。この危機に乗じて、改憲勢力が「9条で平和が守れるか」などとの大合唱を行っていることは重大である。「軍事対軍事」の悪循環こそ、平和に逆行し、国民の生命と安全を危険にさらすことになる。戦争を起こさせないために、9条を生かした外交に力を尽くし、平和な東アジアをつくることこそ政治の責任である。9条破壊を許さないために、平和を希求する広範な方々とともに力を合わせる決意である。
一、このときとばかりに、日本を「戦争する国」につくりかえる動きが露骨になっている。自公政権や維新の会などは、「敵基地攻撃能力」などと叫び、自民党は「反撃能力」の名で、「敵基地」にとどまらず、「指揮統制機能等」まで攻撃する能力の保有と、5年以内に軍事費をGDP2%以上にする大軍拡を提言した。「敵基地攻撃」は、集団的自衛権を容認した安保法制のもとで、日本が攻撃されていなくても自衛隊が米軍の相手国中枢に攻め込むもので、相手国からの猛反撃を呼び込む全面戦争への道となる。「専守防衛」を投げ捨て、自衛隊を変質させ、大手を振って「戦争する国」に変える、この道を推進するための9条改憲に断固として反対する。
一、日本共産党は、9条を生かして、ASEAN(東南アジア諸国連合)との連携を強化しながら東アジアを平和の地域にしていくという「外交ビジョン」を提案している。ASEANは、東南アジア友好協力条約(TAC)を締結し、あらゆる問題を平和的な話し合いで解決する枠組みを粘り強くつくってきた。そして、日本、米国、中国、ロシアなども参加する東アジアサミットを平和の枠組みとして強化し、東アジア規模での友好協力条約を展望するという大構想を示している。これは、既存の枠組みを活用し、発展させるという実現可能な道である。軍事同盟のように外部に仮想敵をつくる排他的アプローチでなく、包括的なアプローチで、東アジアを平和と協力の地域にしていく外交が日本政府に求められている。
一、プーチン大統領が核兵器の先制使用を言明しているもとで、核兵器の使用を許さないという声を世界中からあげていくことが求められている。そのために日本政府が力をつくすことは被爆国政府としての責任である。
安倍元首相や維新の会が「核共有」を主張していることは被爆国の政党、政治家にあるまじきことである。核大国の指導者が核兵器の先制使用を言明するもとで、「核抑止」はいよいよ無力であり、「核共有」などという議論は、際限ない核軍拡と核戦争の危険を増大させるだけである。核兵器の使用を止める唯一の保障は全世界から核兵器を廃絶することしかない。
憲法9条は、日本が再び侵略戦争を起こさないという決意とともに、広島、長崎の言語に絶する悲惨な体験をふまえて人類を破滅に追いやるような戦争を再び起こさないという決意が込められたものである。唯一の戦争被爆国である日本政府が核兵器禁止条約に参加することを強く求める。
一、日本共産党は、9条に示された平和主義を守るとともに、「幸福追求権」(13条)、「生存権」(25条)、「財産権」(29条)など、憲法が国民に保障した豊かな権利を全面的に実現する政治、憲法を生かした政治を実現するために力をつくす決意である。
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