創作日記&作品集

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「わたしなりの枕草子」#298

2012-01-27 07:37:41 | 読書
【本文】
二百五十七段
大蔵卿ばかり
大蔵卿ばかり、耳とき人はなし。まことに、蚊の睫(まつげ)の落つるをも聞きつけ給ひつべうこそありしか。

職の御曹司の西面に住みしころ、大殿の新中将(=成信)宿直にて、ものなど言ひしに、そばにある人の、「この中将に、扇の絵のこと言へ」とささめけば、「今、かの君の立ち給ひなむにを」と、いとみそかに言ひ入るるを、その人だにえ聞きつけで、「何とか、何とか」と耳をかたぶけ来るに、遠くゐて、「にくし。さのたまはば、今日は立たじ」とのたまひしこそ、いかで聞きつけ給ふらむとあさましかりしか。

【読書ノート】
大蔵卿=藤原正光。四十代の初老。「今、かの君の立ち給ひなむにを」=(清少納言が)かの君(藤原正光)が席を立たれるので、(成信様(二十才))に頼もう。その人=女房。あさまし=驚きあきれる。


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