兵庫県尼崎市は、兵庫県尼崎市内の牛乳配達業男性(79歳)から固定資産税と都市計画税を、2010年度(平成22年度)までの36年間に亘り、過大徴収していたと発表しました。
尼崎市は、最高裁判所の判例をもとに、過去20年分についてのみ、加算金を含む約275万円を返還するとのことです。
尼崎市に拠ると、1974年(昭和49年)に牛乳配達業男性(79歳)が自宅を新築した際に、宅地約150㎡のうち半分の用地認定を、税額が高い非住宅用地と誤って登録し、1975年度(昭和50年度)から過大に課税・徴収してきたと言うことです。
2011年(平成23年)3月に、尼崎市の現地調査により、この誤った登録が判明し、尼崎市は、尼崎市の要綱で課税台帳の保存期限としている過去10年分の約112万円を還付していました。
しかし、牛乳配達業男性(79歳)が尼崎市に対して36年間分全額の返還を求めたため、尼崎市は、納税者は最長20年分を国家賠償請求できるとした2010年(平成22年)6月3日の最高裁判所の判例などをもとに、最終的に20年分の返還を決めた模様です。
※地方税法による時効消滅(第18条)
5年
第二款 消滅時効
(地方税の消滅時効)
第18条 地方団体の徴収金の徴収を目的とする地方団体の権利(以下本款において「地方税の徴収権」という。)は、法定納期限(次の各号に掲げる地方団体の徴収金については、それぞれ当該各号に掲げる日)の翌日から起算して5年間行使しないことによつて、時効により消滅する。
第五款 固定資産の評価及び価格の決定
(固定資産の実地調査)
第408条 市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。
第六款 固定資産の価格に係る不服審査
(固定資産課税台帳に登録された価格に関する審査の申出)
第432条 固定資産税の納税者は、その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格(第389条第1項、第417条第2項又は第743条第1項若しくは第2項の規定によつて道府県知事又は総務大臣が決定し、又は修正し市町村長に通知したものを除く。)について不服がある場合においては、第411条第2項の規定による公示の日から納税通知書の交付を受けた日後60日まで若しくは第419条第3項の規定による公示の日から同日後60日(第420条の更正に基づく納税通知書の交付を受けた者にあつては、当該納税通知書の交付を受けた日後60日)までの間において、又は第417条第1項の通知を受けた日から60日以内に、文書をもつて、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。ただし、当該固定資産のうち第411条第3項の規定によつて土地課税台帳等又は家屋課税台帳等に登録されたものとみなされる土地又は家屋の価格については、当該土地又は家屋について第349条第2項第1号に掲げる事情があるため同条同項ただし書、第3項ただし書又は第5項ただし書の規定の適用を受けるべきものであることを申し立てる場合を除いては、審査の申出をすることができない。
※最高裁判所の判例(平成22年6月3日:最高裁判所第一小法廷・宮川光治裁判長)
主文
原判決を破棄する。
本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
理由
上告代理人河内尚明ほかの上告受理申立て理由について
以下に摘示する地方税法及び固定資産評価基準(昭和38年自治省告示代158号。以下「評価基準」という。)の規定ないし定めは,特に断りのない限り現行のものをいう。なお,昭和62年1月1日から平成18年12月31日までの間に施行された地方税法及び評価基準の改正の経緯については,説示に影響しないことから,その記述を省略する。
(-途中省略-)
したがって,たとい固定資産の価格の決定及びこれに基づく固定資産税等の賦課決定に無効事由が認められない場合であっても,公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは,これによって損害を被った当該納税者は,地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得るものと解すべきである。