河原町ルヴォワール (講談社文庫) | |
円居 挽 | |
講談社 |
【内容紹介】
賀茂川と高野川が合流する鴨川デルタ。瓶賀流(みかがみつる)が目撃したのは、濁流に呑み込まれる友人、龍樹落花(たつきらっか)の姿だった。下流で発見された落花の遺体。その死を信じることのできない妹の撫子。だが、落花殺しの罪で双龍会(そうりゅうえ)に連れ出されたのは、兄の大和だった。同門対決の掟を破った禁断の双龍会が始まる。
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さてみなさん、またお会いしましたねー。
今日、ご紹介する京都本は、京大ミステリ研ご出身の円居挽(まどいばん)センセがお書きになった、「ルヴォワールシリーズ」4作目の最終巻です。
冒頭、このシリーズでかなりメイン処のキャラ、龍樹落花ちゃんが鴨川デルタで濁流にのみ込まれて、あっけなく亡くなってしまうんですねえ。怖い、怖い、濁流は怖いですねえ。
まさか、まさか、まさか、あの落花姉さんが死ぬなんて……傷心する妹の撫子ちゃん。
なんと実の兄、龍樹大和くんが濁流事故を装って、落花姉さんを殺したらしいんです。
それがわかって、さあ大変。持った湯呑をバッタと落とし、ドンデン返しに次ぐドンデン返し。
先の展開が読めないんで、ページをめくるスピードが速くなる、速くなる。
ところが……不思議と「着地点」がおぼろげながら見えてくるんですねえ。
最終巻ですし、既刊3作がアンハッピーに終わっていないことを考えますと、「最後にはこうなるんじゃないかな」というのが段々わかってくるんです。
そうなったら、さめざめ興ざめですねえ。
わたくしには、シリーズ最終巻にして、シリーズ中ワクワク感が最もなかった作品だったように思いますけれど……最終ページまで飽きなく読み切らせる面白さは十二分ありました。
それではみなさん、さよなら、さよなら、オ・ルヴォワール。
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