週刊 ふるさと百名山 23号 武奈ヶ岳・比叡山 | |
クリエーター情報なし | |
集英社 |
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京都に伝わる有名な昔話(だそうです)。
むかしむかし、比叡山と愛宕山は背の高さを競い合っていました。
比叡山は愛宕山の背を低くしてやろうと思い、愛宕山の頭をゴツンと叩きました。
すると愛宕山の頭にコブができてしまい、比叡山よりも愛宕山の背の方が高くなってしまいましたとさ。
市内の小学生なら誰でも知っている話だという。(・υ・)``ホォー
比叡山の標高848.3m。愛宕山の標高924m。事実、愛宕山の山頂はコブ状の形をしておるし、あながちマジなお話かもしれぬぞ。
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比叡山のズルさは現代でも続いておるぞい。愛宕山は徒歩以外山頂に行く方法がないというのに(ホントか?)、比叡山にはドライブウェイ、ケーブルカー、ロープウェイが完備されておるのだ。そこまでして人を呼びたいのか、比叡山よ!
そんなズルい比叡山に久しぶりに登りたくなってきた。
昔から信仰のお山だけに登山道も多いけれど、ざっくり大きく分けて2つ。滋賀側から登るのか、京都側から登るのか。
京都側から登る推奨ルートに雲母坂(きららざか)コースがあり、多くの登山本で紹介されている。オイラはまだこのルートを歩いたことがないのだが、噂ではかなりの険路のようだが行ってみたい。
雲母坂というネーミングが男のロマンをかき立てる。福山雅治氏がまた歌を作りそうではないかいな。
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と、まあ軽い気持ちで 9月25日(日) に行ってみたのだが……。
7:45 叡山電車・修学院駅に降り立つ。ただ今「えいでん!×けいおん! トレイン」という車両が走っているようなのだが、残念ながらオイラが乗った車両はノーマル・タイプだった。
修学院駅から雲母坂をめざすのだが、その前に森見登美彦氏の聖地巡礼、鷺森神社(さぎのもりじんじゃ)へ行ってみた。
住宅街の中に鎮座する、広い敷地の神社である。綺麗なお庭の写真を撮ろうとしたら、ム、ム、ム……。デジカメに「バッテリーを交換してください」の表示が出てデジカメがまったく使えない! 家を出る前にバッテリーをフル充電しているので、こんなことはありえないのである。
立つ位置を変えてデジカメを起動させると正常に動作するし、フル充電の表示もされている。
もう一度さっきの位置に戻ってデジカメ起動させるとまたダメ。なんだかピンポイントでパワー・スポットが存在しているようだ。恐るべし鷺森神社!
天気は曇っていたのだが、にわかに雨が降り始める。「雨が止みますように」と神サマにお願いしてみた。
▼ 本殿前に立つとセンサーが反応して御神体に明かりがつくという粋な計らい。
神社の敷地を出る頃には雨が止んでしまった。恐るべき即効力。鷺森神社の神サマは、ただ者じゃありまへんぞ(゜ε゜;)。
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▼ 神社から進路を北へ。音羽川に突き当たる。
▼ 川の上流方向に歩いていくと、きららはし。
▼ 橋を渡って道なりに舗装路を登っていくと、すぐに雲母坂の登山口。
8:20 いよいよ比叡山へ登ります。
▼ 入り口はこんな感じ。
▼ 高度を上げていくと次第に溝のような道に。
▼ 途中、修学院離宮の金網越しに京都市内を展望できるポイントあり。
▼ しかし、前半のほとんどが切り立った崖の下を歩く溝の道なのだ。
左右からの圧迫感があるし、もし今、花折断層が動いたら圧死してしまうのではないかと思ってしまうと、自然に歩くスピードが速くなるのだった。
▼ 10分ほどでほぼ平坦な尾根道に出る。
▼ 8:48 京都一周トレイル・東山コース「標識No.69」、水飲対陣跡碑に到着。
先行していたボーイスカウト3人組を追い抜かし、しばらくトレイルコースを進んだ。
▼ 浄刹結界跡。
前回来たとき、この結界跡を過ぎたあたりで足がこむら返りになったのだが、今回もなってしまった(T_T)。比叡山は京都の鬼門方向であるし、どうもオイラと相性が悪いようだ。
今日はトレッキングポールで歩いているので、ダメージ少なくまだまだ歩ける。
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そこに奴らが待ちかまえていた。
周囲の木々が突然ざわつきはじめた。
猿の群れだ。オイラに気付いたようで「キキー」と仲間に警告を発している。
▼ ここは速やかに小走りで通り抜けようと思っていたら、前方の道の真ん中にお猿さんがいるではないか。(手ブレスマソ)
猿にあったら目を合わすなと言うが、もうすでにアイコンタクトは充分に取れていたのだった。「そこどいてくれ」と言うと、人語を理解しているのかお猿さんは立ち上がり……どこかへ逃げるのかと思いきや、え、え、オイラの方に近付いてきたぞ!
咄嗟にトレッキングポールをヤリのように持ち替えると、お猿さんは「ギョエー」と叫びながら木の上に登っていった。比叡山のお猿さんは神使であるし、もしかしたらオイラと友好の握手を交わそうと近付いてきてくれたかもしれず、ちょっと罪悪感である。
彼(または彼女)のトラウマにならないことを祈りながら猿エリアを抜け、さっき追い抜いたボーイスカウト3人組が気になり無事登ってくるのをしばらく待つことにする。
ボーイスカウトが来る前に、頭にタオルを巻いた若い兄ちゃんが通り過ぎていった。
さらに待つこと数分、ボーイスカウトがやってきた。「お猿さんに会えへんかった?」と一人に訊ねると、「会いませんでした」と返答。どうやらオイラが先陣を切ってお猿さんたちを追っ払ってしまったらしい。「お猿さんがおるねんてー」と嬉々として彼らは来た道を戻っていった。やれやれ。
ボーイスカウトと別れ、道を登っていくと、さっき通り過ぎた兄ちゃんが立ち止まっている。「どうしたんですか?」と訊きながら前を見ると、またもやお猿が道の真ん中にいる。まだ猿エリアは続いていたようだ。青い栗の実を懸命に食べている。今度は大人二人の気配に気が引けたのか、お猿さんたちは道を譲ってくれた。人慣れしているようで遠くへは逃げない。
しばらく、兄ちゃんと二人で喋りながら登っていく。京都在住の方でよく愛宕山に登っていると言う。比叡山に登るのは今日が初めてだったらしい。猿の多さに驚いていた。オイラも驚いていた。また来年、千日詣りで会いましょう。
▼ トレイルコースを行く兄ちゃんとは「標識No.73-3」で別れた。
▼ 10:00 ガーデンミュージアム比叡前の駐車場に到着。
▼ しばし、スゥッ・・・(ーoー)y゜゜ とした後、大比叡(おおびえ)を目指した。
▼ 10:08 大比叡攻略。
2年前来たときは三角点の周りが木で覆われていて探しにくかったが、今回、その木々が伐採されていてすぐに三角点の場所がわかった。
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さて、後は下山するのみだが、来た道を戻るのは面白くない。それにまたお猿に遭遇するのは勘弁したいので、県境を越え滋賀県側に行くことにした。
▼ 在阪テレビ局の中継基地の横を抜けていく。
▼ 木々のむこうにシカ発見! 地デジカなのか?
しっかりアイコンタクトをとったのに近寄ってきてはくれず、「キキーン」と警戒の声を上げながら森の中に消えていってしまった。
真っ直ぐ東に進んでいくと、どこかで道をまちがえてしまったらしく、道が途切れてしまった。しかたなく急斜面をトラバースして着いたところが墓地だった。
▼ 墓地から琵琶湖の景色がよく見える。
▼ 比叡山ドライブウェイを横切り、赤い鳥居をくぐって階段を下りていく。
▼ 10:35 坂本ケーブルのケーブル延暦寺駅に到着。
▼ 待合室で買っておいたおにぎりを食べ、少しばかりのエネルギー補給。
▼ 駅舎の2階が展望テラスになっていて、琵琶湖・大津市方面の街並みがよく見えた。
さっきまで晴れてたのに、また曇りだしてきた。雨が降ってきてもおかしくないぞ。早く大阪へ帰ろう。
▼ 11:00 駅舎の横の石鳥居をくぐり無動寺坂を下る。
整備された参道で非常に歩きやすい。
▼ 弁天堂への鳥居をくぐり、無動寺坂から東海自然歩道へと進む。
▼ さすが修行の比叡山。打たれている人はいなかったけれど水行場がありました。
▼ 弁天堂エリアを抜けると、ゆるいアップダウンが続く静かな山道。
▼ 11:50 桜茶屋跡路傍休憩地に到着。石鳥居以外何もないところ。
▼ 鳥居をくぐって程なく進むと、比叡山ドライブウェイをくぐるトンネル前に出る。
このトンネルをくぐって真っ直ぐ西進すれば、京都一周トレイルの「標識No.67」にたどり着き、安易に帰路へたどり着けるのであるが、冒険野郎のオイラは夢見が丘方向に進むのであった。
▼ スズメバチに追われながら比叡山ドライブウェイの料金所横を駆け抜ける。
▼ ドライブウェイを横切り、フレンチスタイルのレストラン&ホテルのロテル・ド・比叡を左に見ながら歩道を歩く。
▼ すぐに登仙台と呼ばれる展望スポット&駐車場に到着。今頃こんな看板を見ても遅いよね?
▼ 12:00 京都市街と大津市街を見下ろしながら スゥッ・・・(ーoー)y゜゜。
であるが、時よりスズメバチがブォーンと横を通り過ぎたりするので気が気ではない。この辺りが奴らの生息地なのか、はたまた活動時間帯であるのかは知らぬが、ここへ来て遭遇する確率が非常に高まってきたぞい。(>_<)早く家に帰りたい!
▼ 登仙台駐車場の片隅にある一本杉の横を抜ける。
▼ 京都精華大学表現研究機構・叡山閣の横を抜ける。
▼ NHK中継施設へと進む。
▼ 橋の上から望む比叡山は美しい。左のコブが四明岳、右のコブが大比叡。
▼ 橋を渡ってNHK中継施設前へ。
▼ 行き止まりかと思いきや、ゲートの右側に細い道があるのだった。
12:13 NHK中継施設を迂回すると平坦で歩きやすい尾根道に出た。そのまま道なりに西進。
このまま真っ直ぐ進んでいけば、京都一周トレイルの「標識No.67」にたどり着き、安易に帰路へたどり着けるのであるが、冒険野郎のオイラは途中の分岐で南西方向へと進路をとり、比叡アルプスと呼ばれる深い樹林に囲まれた尾根道があるというので行ってみることにした。
しかしここまで踏み跡ははっきりした道であるのだが、道標がまったく見当たらないのだ。単にオイラが見落としているだけなのか?
比叡山は人気の山だけに、付近に誰か観光者か登山者がいたのだが、このルートはまだまだマイナーなようで人の気配がまったくない。またしても人外魔境である。地図とコンパスを頼りに進むしかあるまい。
▼ 12:22 それっぽい岩が見受けられるようになってきた。ここら辺が比叡アルプスなのか?
▼ 12:25 先達のブログ写真で見た尾根筋とヤシャブシの木。ここが比叡アルプスなのだ、間違いない!
▼ 行けども行けども同じような風景の、アップダウンが多い尾根筋が続く。
部分部分で花崗岩がむき出しになっている尾根筋を歩かなきゃならんので、もし滑って左右の裾根に落ちてしまうとはい上がってくるのにかなりな労力がかかってしまいそうな危険なエリアでもある。気軽に来るところではないなあ。
前方をホバリングしているスズメバチで何度も足止めを食い、木々の間に張った蜘蛛の巣を何度もくぐり抜けて、ひたすら歩く。果たして無事に帰還できるのか、段々不安になってくるのだった。
そうこうして歩いているうち、比叡アルプスで初めて前方から歩いてくる登山者のオッチャンに遭遇。「このまま進めば北白川へ行けますか?」と訊ねると「行けますよ」と答えてくださったので、がんばって歩き続ける。
▼ 簡易の道標のようでもあるが、何が書いてあるのかよくわからない。オイラは「山中ごえ」から来たのか?
▼ 関西電力の鉄塔。こんな山奥によくぞ建てましたな。
しばし人間の気配を感じたものの、やはりあてどない尾根筋はまだまだ続くのであった。
何か所か分岐はあったのだが道標がない。踏み跡がはっきりした尾根筋を突き進む。
▼ 磐座(いわくら)のようにも見える大きな岩もあったよ。
予定では地蔵谷の渓谷に下り、瓜生山を越えて京都市街地へ出るつもりだったのだが、どこかの分岐で道をまちがえてしまったようだ。
尾根筋は終わり、眼前には道なき急斜面が待ちかまえていた。蜘蛛の巣だらけの急斜面を強行に下りて行くべきなのか? それとも戻って正規ルートを探すべきなのか思案していると、スズメバチがホバリングしながら近付いてくるのを発見! すぐそばで川のせせらぎ音と共に、道路を走る車の音が聞こえてくる。懐かしの人間界まで、もう数百メートルのところまで来ているというのに……。
我慢しきれず一か八かで急斜面をトラバースして下りてみることにした。なんとか蜘蛛の巣を回避しようと慎重に進路を見極めていたのだが、滑る滑る、蜘蛛の巣に突っ込む突っ込む。滑落していくのを止めようと、足に力が入りすぎて呼吸が止まりそうな痛みと共にこむら返りが~ぁ! (>_<) 斜面に植わっている木をつかみながらうずくまり、巨大な蜘蛛と対面しての数分間。地獄を垣間見るオイラであった。
▼ 道路まで目と鼻の先の距離なのに、この状況は悲惨すぎるではあるまいか!
▼ 足の痛みがなんとか治まったので、ゆっくり斜面を下りていくと道路の前に行く手を阻む白川の渓流。
おあつらえ向きな渡り橋などないので白川の中へ突入突破電撃作戦開始。ガードレールを手すりにして道路側へ這い登る。
▼ 14:09 作戦成功なり。無事、人間界へたどり着く。足元はびしょ濡れだが致し方ない。
府道30号(山中越え)を京都方面に進行。
▼ 14:13 北白川天然ラジウム温泉がある地蔵谷へ到着。
▼ なんて種類のチョウチョでしょう?
▼ 森見登美彦氏の聖地、北白川仕伏町付近でネコを捕捉。
▼ 目の前に愛宕山が見えるよ~。オイラはやっぱり比叡山より愛宕山が大スキだよ。浮気して悪かった。
▼ さりげなく森見登美彦氏&つじあやのさんの聖地巡礼、北白川別当のKFC。
▼ 白川通を下がってガケ書房へ寄ってみた。
この本屋さんも恵文社一乗寺店同様、アートでオシャレな本と雑貨のお店でオイラにピッタリですな。
▼ ゴメン、大文字山が一番大々好きだよ☆
▼ さりげなく森見登美彦氏の聖地巡礼、進々堂 京大北門前。
▼ さりげなく森見登美彦氏&けいおん!の聖地巡礼、鴨川デルタ。
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今日の旅は辛く長い道のりでした。(+_+)
今回の歩行距離=29.1km。