なのにオイラは京都へゆくの?

大阪の中年男が、京都の山に登った際の赤裸々(?)な公式日記帳やねん。
のはずが……京都・自己満足ブログとなりにけれ。

参加することにこそ意義がある by ピエール・ド・クーベルタン

2012-07-30 06:53:31 | 雑記

 27日の朝、職場にいる偏愛京都主義者から「明日、みたらし祭りに行くんです」と言われた。

 毎年、彼は「山鉾巡行」と「みたらし祭り」に出かけているのだという。

 京都の行事は、ハマると毎年行きたくなってしまうという中毒性があるのだ。ふむふむ。

 土用の丑(うし)の日前後に下鴨神社で行われている「みたらし祭り」は、平安時代の貴族たちが疫病を防ぐために始めた禊(みそ)ぎが起源とされているが、実は油照りの京都盆地の夏をやり過ごすための貴族の納涼行事ではなかったのか? とオイラは推測する。御手洗(みたらし)池の水はスゴく冷たいらしい。

 いつの頃からか、その風習が健康を願う庶民にも広まった。
 「足つけ神事」とも呼ばれ、灯明用ロウソクお供え料200円を支払い境内の御手洗池に入った参拝者は、受け取ったロウソクに火をつけ、ロウソクを台の上にお供えする。参拝後は池の湧き水である「ご神水」を飲み、健康を願うという行事なのである。

 山歩きをするオイラは、みたらし祭りの期間(今年は7/26~7/29)だけに授与されるという「みたらし健脚お守り」が気になって気になって、いつか祭に行きたいと思っていたのだが、今年も参加できまへんでしたな。(29日の日曜日、昼間は暑いから夜に行こうと思ってひと寝入りしたら、寝過ごしてしまったのだったorz)

 ▼ 今年6月の御手洗池。あまりにも水量が少ない。水量調節できるの?

 さて、オイラがハマりまくっている愛宕神社の千日詣り

 この行事は愛宕山登山中汗まみれになるのだが、山上の神社に着けば地上との温度差で、濡れたシャツを着ていると寒いくらいになる。ある意味、都人たちの涼を求める行事とも言えるであろう。(ちがう?)

 いよいよ明日に迫ってまいりましたが、今年は平日なので仕事の休みが取れず、オイラは参加を断念せざるを得なかったのである。月末は仕事量がハンパないので休みづらいのだ。(;´_`;)

 カレンダーを紐解くと、2013、14、15年とずっと平日ではないか! 2016年まで千日詣りに行けないなんて、どげんかせんといかん。来年、かくなる上は強制的に有○休○取得作戦でいってみようか?

 ▼ 東京の愛宕神社は街中にあって行きやすそうやね。

 オリンピック、がんがれニッポン!


祇園祭・山鉾巡行へまた行ってしまった、あるいはギオンバヤシ イズ ノットデッド

2012-07-18 06:32:30 | 祭り

 7月17日(火)

 今年もまた、祇園祭の山鉾巡行を見に行きましたよ。

 今年のオイラのテーマは新町通に潜入し、厄除けの御守りになるという縁起物の柳の枝をゲットすることなのだ!

 ▼ 7:44 四条河原町の交差点。

 早く現地に着きすぎてしまったのだが、見物客がまだ少ない。今年は平日やし人でごったがえす事もなかろう、とこの時は思っていたのである。
 ▼ 四条通ぞいに幽霊画で有名な円山応挙の宅跡を見つける余裕すらあった。

 ▼ KBS京都テレビが生放送するので放送席をしばし見学。

 司会の梶原誠アナウンサー(右)、佛教大学教授の八木透先生(左)の間に、フリーアナウンサーの雨宮塔子さんが見えます。もう一人のゲスト、神戸蘭子さんの姿は見えず。
 ▼ 四条堺町のくじ改めの場所も、まだ閑散としている。

 ▼ 四条烏丸までブラブラ歩く。スタンバってる長刀鉾。

 ▼ 山鉾巡行の邪魔にならぬよう、信号機を90度回転させ内側へ収納する作業が行われていた。

 ▼ アーケードの上にもカメラマン。見物客も増えてきてますやん。(沿道の人出は約16万人(午後1時、京都府警調べ))

 ▼ 再度、KBS京都テレビの放送席前を通過。放送5分前の梶原アナ。

 ▼ 8:41 四条麩屋町に戻る。注連縄の準備中。

 ▼ マスコミ向け注連縄切り写真撮影位置を示す白テープが四条通に貼られた。

 このテープより内側には入れないというマスコミ結界テープである。
 ▼ 9:22 無事、長刀鉾の稚児さんによる注連縄切りが終了。

 ▼ 稚児のお母さんのインタビュー前の遠藤奈美アナ。

 ▼ 今年も四条麩屋町下ルでしばしスゥッ・・・(ーoー)y゜゜

 ▼ 四条堺町のくじ改めへ移動。

 ▼ 今年もくじ改めリポートの海平和アナは、粽をもらって笑顔。

 いかん、いかん。このままでは去年と同じブログ内容になってしまう。
 なごみんに別れを告げ、オイラは四条通を西進するのだった。

 ▼ スタンバってる船鉾の下で休憩中のおじさん。道路に立つと日陰がないので大変だ。

 ▼ 2014年をメドに鉾再建中の大船鉾。今年からの特別参加です。

 ▼ 10:50 規制もなく、簡単に新町通へ潜入できたぞ。

 ▼ 新町通姉小路下ルにある京都きもの工房さんの店先で待機。

 イチゴor抹茶スムージーとアイスコーヒーを販売されていたので、オイラはアイスコーヒーを買った。
 店の人がお客さんと喋っているのを聞いていると、「長刀鉾は矛先が八坂神社と御所に向かないようにしている」とか「新町通に入ってきたら囃子が『帰ってきたよver』になる」など、京都検定教科書には載っていないツウな情報がゲットできたぜ。
 ▼ 11:32 長刀鉾が新町御池に到着。

 ▼ 11:40 辻回しが成功し、長刀鉾がゆっくり新町通へ入ってきた。

 ▼ 近付いてキタ━━━(ノ゜∀゜)ノ ┫:。・:*:・゜'★,。・:*:♪・゜'☆━━━!!!

 ▼ 目の前をギシギシ軋んだ音をたてながら通り過ぎていく。

 ダイナミック!

 エキサイティング!

 オー、グレート!

 ビューティフル!

 ▼ ワイルドだろぉ~! 蟷螂山。

 ▼ 素人目には電柱が山鉾の通行に邪魔なような気がするが、電柱でバランスを整えたりしているので、やっぱりあった方がいいのかな?

 新町通は直線じゃありません。新町御池~新町姉小路と新町姉小路~三条新町ではやや道がずれていて、ゆるいクランクになっていたのだ。屋根の上の人がバランスを崩し落ちかけるシーンも見られた。命がけの難所のようである。(゜ε゜;)
 ▼ 電柱の防御ネット。

 ▼ 三条新町のデイリーヤマザキでスゥッ・・・(ーoー)y゜゜してたら鶏鉾がやって来た。










 今日はコンデジの連写機能を使っていたのだが、バッテリーの消耗が早いのに気付く。もうすぐ切れる赤ランプが点灯。
 ▼ 船鉾は船の形をしているので素人でもすぐわかる。

 山や鉾の先頭を、名称を示すのぼりを持った人が歩くのだが、漢字にルビがふってあり「蟷螂山(かまきりやま)」「函谷鉾(かんこくほこ)」となっていた。「とうろうやま」「かんこほこ」と思っていたのだが、どちらが正式名称なんだろうか?
 ▼ 新町御池で辻回しを見学。

 ▼ 祇園祭山鉾連合会理事長の吉田孝次郎氏を背後から盗撮。ボランティア女子に見つかっちゃった~。

 ▼ 14:15 ラストの南観音山が新町通へ入っていくのを見とどける。

 新町御池から新町通への通行は規制されていたが、釜座通や室町通を使う迂回ルートなら至極簡単に新町通に入れるのであった。
 柳をゲットするために再度山鉾町への彷徨開始。
 ▼ 最近、オイラの両親も病気がちなもので、橋弁慶山で心身健康にもご利益がある粽を購入。 

 ▼ 解体作業中の黒主山。

 ▼ 解体作業中の山伏山。

 ▼ 解体作業中の菊水鉾。

 ▼ 南観音山で柳の枝をゲットだぜ! 30度を超える真夏日なのでしおれてしまっている。

 ▼ 御池通の有料観覧席も撤去され、祭りのあとの淋しさが嫌でもやってくるのであるなあ。

 炎天下の中、祭りの担い手の人たちは大変であるが、見物客も汗だくで大変なのである。GPSを持参していなかったのであるが、結構歩き回りましたよ。
 山鉾巡行は「注連縄切り」「くじ改め」「辻回し」「柳の枝」「女子アナ」とか、テーマを一つにしぼって堪能したらすぐに帰った方がいい。欲張って全部をタンノしようとすると、愛宕山に登ったぐらいに疲労困憊、汗まみれ。ああ疲れた~。

 来年は神幸祭へ行きたい!

 ▼ 「ロックンロール」を「祇園囃子」に置き換えても意味が通じるぜ。強引すぎかい、ベイビー?


法伝寺

2012-07-13 12:02:38 | 魔界めぐり?

 何なんだ!?

 ▼ 真如堂(真正極楽寺)の山門。

 その山門の左に見えし法伝寺は元は真正極楽寺の稲荷堂で、現在は塔頭の嘘偽りない「寺」なのだが、入り口には立派な鳥居が立っているのだった。知らぬ人は「神社」と勘違いするであろうぞ。

 神仏混淆の名残を現代に残す、「神」と「仏」の架け橋的なお寺さんであるなあ。

 「法伝寺」と刻んだオベリスクはなく(確かなかったハズだ……)、その代わりに「吒枳尼天(だきにてん)」と大きい文字が刻んである。

 このお寺、入江敦彦氏・著の『怖いこわい京都』にも載っていて、以前からオイラも一度行きたいなとは思っていたのだが……ただ本尊の「ダキニ天」(←ユニコード表記できない環境の場合、文字化けするようなのでカタカナ表記にしてみました)という神サマがただ者ではないので今まで躊躇していたのだった。

 さてここからは物知り顔での聞きかじりですぅ。

 もともと「ダキニ天」は、インダス文明の女神で豊穣の大地母神ヤクシーであったが、ヒンドゥー教に取り入れられたときには魔女ダーキニーと呼ばれるようになった。血肉を喰らう鬼女・夜叉女である。(女神が夜叉女に大変換されたのはナゼか? 昔は清楚な黒髪の乙女が、年月を経て猛々しいおばちゃんに変化するのと同じ論理なのかな?)
 仏教(密教)に取り入れられたときにはダキニと呼ばれ改心し、仏道を守護するようになった。
 平安期、空海が密教を日本へ持ち込んだとき、ダキニはダキニ天として伝わった。
 ジャッカルを眷属にすると経典にはあったが、 日本にはジャッカルがいないので代用として似ているキツネが眷属となった。
 キツネといえばお稲荷さん。どちらも豊穣の農業神であったので稲荷とダキニ天は空海によって習合されてしまった。

 密教には「ダキニ天法」という呪術が存在する。

 ダキニ天法は外法であり、自分の心臓をダキニ天に捧げるという密約をすると、ダキニ天がその人の願いを何でも叶えてくれると言われ、徳川家康はその外法によって天下を取ったという俗説がある。そのため家康は大坂夏の陣で戦死したが、双子の弟が影武者となって家康として生きたという俗説もある事もつけ加えておこう。

 ▼ 本堂で真言を唱えながらお願い事をすると、命を取られてしまう怖い神サマなのである。

 オンダキニサバハラギャティソワカ

 ▼ 本堂の裏に回ると、キツネの出入り口(?)もある。

 ▼ 奉納舞台を改造した休憩所には三十六歌仙の額が飾られている。

 最近、左胸に妙な圧迫感があるのは気のせいか……?


お久しぶりの大文字山、もしくは夏への扉

2012-07-09 10:59:59 | 大文字山&周辺

 7月8日(日)たりだったり。

 ゴールデン・ウィークから今日まで、まったく山歩きをしていなかったので、鈍った身体に活を入れようと、早朝、お手軽登山の大文字山へ向かったのでありました。

 百万遍交差点北西角にて。
 ▼ 京大生御用達の本屋さんとして名高いレブン書房のシャッターに何やら張り紙が……。

 ▼ おまいら京大生が本を買わんから閉店しちまったではないか、ごら!

 オイラもたまに立ち読みしたり買ったりして立ち寄っていた本屋さんなのである。
 先月も蛍を見に行った帰りに寄ったとき、「店、仕舞いますねん」と店主さんが馴染み客に言っていたのを小耳にはさんでいたのであるが……。

 オイラも、いつの日にかこの場所での復活を期待したいです。

 ▼ 7:23 白川通今出川交差点に到着。


 ▼ 大文字山上空に飛来しているこれは何だ!? 超高速で飛んでいる鳥? もしやUFO?

 こんな写真を撮っているなんて露知らず、オイラは銀閣寺コースを進むのであった。
 ▼ 先週の雨で道がところどころぬかるんでおり、沢状態になっている箇所もありました。

 ▼ 半年ぶりに来ると、湧き水場まわりの木がなくなって、奥へと続く山道が露わになっていた。

 ▼ その道を100mばかり進んでみた。中尾城跡ルートにつながっているのだろうか?

 本来なら冒険してみたいところなのだが、今日は鈍った身体を取り戻すための試運転山登りが目的なので、無茶な深追いは自重。銀閣寺ルートに戻る。
 ▼ 送り火の薪木を運ぶケーブルの発着所あたりにも中尾城跡ルートに行ける道があるという情報を得たので、下調べ。

 またもや銀閣寺ルートに戻る。
 ▼ 千人塚の200mほど手前に林野庁の看板が立っていた。半年前にはなかったよ。

 ▼ 151段の誰が呼んだか「いこい」階段の前後に、新たな階段が新設されていた。

 半年ぶりに来ると微妙に以前と変わっている所があって、それを発見していくのは面白いですな。
 ▼ いこい階段の横にも脇道がある。ここもいつか探検しよう。探検メモに〆(°°)カキカキ..

 ▼ 8:14 火床に到着。

 ▼ まずは弘法大師堂にお参り。まだお札が貼ってある。すぐに剥がれそうなセロハンテープなのだが、なかなか丈夫であるなあ。



 ▼ 美女と火床と京の街。

 ▼ 当初、三角点まで行くことを目論んでいたのだが、日が照ってきて暑そうだから、大の字の右払いから下山。

 ▼ 霊鑑寺コースで下山していると、木に何やら見たことがない物がくくり付けられていた。

 ▼ 何だろうか?


 ▼ 8:48 無事、人里へ下山。

 法然院の墓場の水道で顔を洗い、しばし休憩していると、
 ▼ 「ホーさん」と呼ばれている托鉢中の雲水の人たちが「ホォーォ、ホォーォ」言いながら通り過ぎていった。

 5人ほどの雲水が100m間隔で通り過ぎていく。一人一人音程が違うのは個人差なのか? それとも意図的なものなのか? 5人揃えばハモレンジャーでアカペラ僧になると思う。
 ▼ 9:24 法伝寺に寄り道。

 ▼ 9:31 陽成(ようぜい)天皇陵前を通過。

 ▼ 9:56 近衛通を西進し、鴨川の荒神橋東詰で振り返る。

 ▼ 京都府立医科大学付属病院に寄ってトイレ拝借&ローソンで食料を買い込む。

 ▼ ふたたび鴨川へ戻り、ドラマロケで名取裕子・石黒賢両氏が座っていたベンチを陣取ってお食事休憩タイム。

 ▼ 二人にはこんな風景が見えていたのだなあ。

 ▼ 上流からドンブラコドンブラコとサッカーボールが流れてくる。

 少年サッカーチームが練習していたのだ。勢い余って川面までシュートしてしまったらしい。生け簀で活魚を捕まえる大きな網を持って、ボールを取りに行く大人は大変だ。
 ▼ 賀茂大橋にて、またしても古代の大文字山を幻視してみました。巨大すぎるぜ!

 ▼ 先週の雨で鴨川増水中。勢いも強い。これではさすがに飛び石は使えまへん。

 ▼ 今日も元気な賀茂大橋ネコ。近付いたら逃げちゃった。(;´_`;) また会おう。

 本日の歩行距離=15.7km

 今日、大阪市内でセミの鳴き声を確認。諸君、梅雨明けは近いぞ! 「夏への扉」は開きはじめている。


『宵山万華鏡』 森見登美彦

2012-07-07 07:07:07 | 
宵山万華鏡 (集英社文庫 も 29-1)
森見 登美彦
集英社

 久しぶりの読書。一気呵成に読み終えたなり。

 祇園祭需要を考えてか、出版元の集英社さんもこの時期に発売するなんざ、粋な計らいでござる。

 【カバー裏・内容紹介文】
 一風変わった友人と祇園祭に出かけた「俺」は”宵山法度違反”を犯し、屈強な男たちに捕らわれてしまう。次々と現れる異形の者たちが崇める「宵山様」とは?(「宵山金魚」)
 目が覚めると、また宵山の朝。男はこの繰り返しから抜け出せるのか?(「宵山迷宮」)
 祇園祭宵山の一日を舞台に不思議な事件が交差する。幻想と現実が入り乱れる森見ワールドの真骨頂、万華鏡のように多彩な連作短編集。

 ネタバレになるので詳しくは書けませんがね、この六話の短編集は最初の「宵山姉妹」から順番に読んでいきましょう。最終話「宵山万華鏡」にたどり着き、たとえ訳がわからぬままにエンディングを迎えたとしても、作中人物と同じように貴君も宵山の既視感に襲われているハズ? (森見作品の多くは構成の妙のアイデア勝負が多いんドス)

 諸君、ランダムに読む事なかれ!

 その内の二話ずつに、連星のような強固な関連性があるのですが、すべての話は相互にリンクが張られているので、注意深く読むことをお薦めします。(森見愛読者には嬉しい既刊『太陽の塔』と『夜は短し歩けよ乙女』にもリンクしているぞよ)

 諸君、読み飛ばしする事なかれ!

 今の時期、京都市内の観光案内所や主要駅などには「祇園祭」のパンフレットが置いてあると思うので、山鉾位置を示す地図を傍らに読むならば、土地勘のない人でも楽しめる事、必定。

 ただ、この本を読んでしまうと「怖いので宵山へは行きたくない」と思う方もおられましょうが、そんな貴君の判断は非常に正しい!
 宵山なんざ、人海の塵芥なので人塵なのである。リンリン・ランランでは決してない。混雑極まりない人波に押しつぶされ、もみくちゃにされながら精気を吸い取られた挙げ句、たどり着いた先が薄暗く淋しい細い路地(ろーじ)だったりしたら目も当てられない。宵山に生じたアンヴァランスなエアポケットに入り込んでしまって、いつ果てることなく宵山迷宮を永遠に歩くことになるやもしれぬのだ。

 『宵山万華鏡』は、既刊『きつねのはなし』で語られた<この街の中枢にある、とても暗くて神秘的な場所に通じている>し、森見氏の源流をさかのぼれば、おそらく押井守が描いた「うる星やつら」の不条理ワールドにも通じているように思う。もっとさかのぼれば「ねじ式」にまでたどり着くのではないだろうか?

 作中で、宵山から逃れるために鞍馬まで逃げた人物が語られている。そう、あえて山鉾町の雑踏に踏み込む必要はまったくないのだ。
 けれど本拠地の八坂神社周辺はどんな感じなのだろう? やはり人の波なのだろうか? ちょいと覗いてみたい気もするが……どうせ疲れるだけだろうから、オイラは宵山へは行かないよ……たぶん。