たてもの怪談 | |
加門 七海 | |
エクスナレッジ |
【内容紹介】
「建物」にまつわる怪の話を集めた、加門七海待望の怪談実話集。
幻の連載『引越物語』に加えて、本書のために新たに4編を書き下ろし。自らの引っ越しにまつわる不思議な出来事や、自宅での恐怖体験、訪れた文化財で出会った“この世ならざるモノ"、東京の最新風水事情考察など、妖しくも興味深い実話怪談が満載!
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道具・器物も100年経てば、精霊が宿って付喪神(つくもがみ)という物の怪になるという。妖怪好きな貴君ならご存知だすやろ?
▼ 付喪神が描かれた絵巻物で最も有名なのは、我らが京都、大徳寺塔頭真珠庵に所蔵されている「百鬼夜行絵巻」だす。
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さて今回、オイラが最も熟読したのが、古い器物が物の怪になるのなら、古い建築物も物の怪になって不思議はないという加門説が披露された『幽霊文化財』という一編だす。
「当時、私はしょっちゅう京都に出向いていた。(中略)古都には名建築も沢山あるため、私は社寺巡りと共に歴史的建造物も訪れていた。冬の一日(いちじつ)に訪れたのは、比叡山山麓にある宮内庁管轄の名園だ」
加門センセは名園の名前を書いてはらへんのだすが、京都検定で学んだオイラには「修○院離宮」やってことがすぐわかりましたがな。
中離宮の客殿に「何かがいはる」という話なんだすが、20年以上前の話なので、今行っても気配を感じることができますやろか?
まあ、見学には事前予約が必要なんで、面倒くさがり屋のオイラは遠慮しときますけど。
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個人的には、既刊『怪のはなし』で初出されていたひとつ目の男の話が怖かっただすなあ。
修学〇離宮を訪れた際、中宮の客殿ではないのですが、茶室風の建物室内をデジカメで撮影したところ、直径が人の背丈ほどの特大のオーブが写ったため、気味が悪く思え、すぐにその場を離れて写真を消しました。
外から建物室内を撮った写真はたくさんあるのですが、オーブが写っていたのはあそこだけなので、不思議です。。。
軽く京都検定のテキストで調べてみましたら、中離宮の建物は、かつて同地にあった林丘寺(りんきゅうじ)が明治19年(1886)に移転し、楽只軒(らくしけん)・客殿などが同地に残されたので離宮に取り込んだと書かれてました。
もともとお寺さんの物件やったんですねえ。
あの辺り、都から見ると鬼門の方角ですから、「感じる」人が行けば楽しめる(?)スポットがたくさんありそうですよ。赤山禅院、鷺森神社……。