猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

英BBC改革案―受信料制10年維持、監督機関の設置

2006-03-18 01:00:56 | 通信・郵政・交通
 NHKの改革について「通信・放送の在り方に関する懇談会」(座長・松原聡東洋大教授)などで色々と議論されるようになってきたが、同様の公共放送である英国放送協会(BBC)の改革が参考になると思うのでご紹介する。
 14日に英国政府が議会に提出した案では次の通りである。まず、現在の受信料制度は二〇一六年まで維持する。ただし、二〇一七年からの免許更新では、スクランブル放送の導入などにより番組自体の有料化を図る方向性である。スクランブル放送というのは、これまでにも何度か紹介している通り、受信料を払った者だけが視聴できるようなシステムである。大変合理的なシステムであって、NHK改革でもしばしば俎上に上るが、NHKは受信料制度の維持に強くこだわり抵抗している。
 一方、経営の透明性を高めるために、理事会を廃止し、執行部門と新設の「トラスト」と呼ぶ監督組織を設ける。ことになっている。BBCが受信料に見合ったサービスを提供しているかどうか監督するとともに、受信料のあり方自体を見直すという強い権限を持った、この「トラスト」は注目すべき存在であり、大いに参考になるのではなはないか。NHKでも、経営の透明性向上は大きな課題である。現在、NHKの経営方針などを決議する最高機関は「経営委員会」と呼ばれる機関である。これは、国会の同意を得て内閣総理大臣より選任された12人の委員で構成されている。そのうち8人は各地域を代表する者から選ばれる。会長を選任するのも同機関の役割なのだが、最近は4代続けてNHK出身者を会長に選んでいる点に象徴されるように、透明性や強い監督機能からは程遠いと思われる。NHKも受信料制度の維持を主張するならば、そういう公平中立で強い監督機関の監督に進んで服するべきである。
 ところで、話は若干変わるが、13日に行われた「通信・放送の在り方に関する懇談会」では、NHKの中川潤一理事が「(海外での)受信環境の改善には多額の経費がかかる。国内の視聴者の受信料を充てていくのは難しい」として「国などが受信料と異なる財源で環境整備するのが、国際放送の充実強化に最も効率的で効果的だ」と主張した。要するに現在はラジオ事業向けに限られている国費投入を増額せよと言っているのである。NHKはしばしば「皆様の受信料だけで運営しており国費は1円たりともいただいておりません」などと言うが、それは不正確な主張であることが納得していただけると思う。私も国際放送の充実強化に国が積極的に関与すべきだとしばしば主張してきたが、現行のNHKにそういう意図で国費投入を増額するのは大反対である。最大限業務をスリム化し、経営を透明化した上でなされるべきことである。いっそのこと、大部分を民営化してしまった上で、国際放送関連を中心に国営でやるのも一案かと思う。もちろん、強力な監督機関の存在が大前提である。


(参考記事)
[英BBC 受信料制10年維持]
 【ロンドン=蔭山実】英国放送協会(BBC)の公共放送の免許(特許状)が今年末に更新されるのを前に、BBCの改革を検討してきた英政府は十四日、現在の受信料制度は二〇一六年まで維持する一方、経営の透明性を高めるために理事会を廃止し、執行部門と、新たに「トラスト」と呼ぶ監督組織を設けることなどを柱とする改革案をまとめ、議会に提出した。議会承認を経て、新免許が発効する来年一月から実施される。
 廃止論もあった受信料制度については、向こう十年間は変更しない。ただ、二〇一七年からの免許更新では、スクランブル放送の導入など番組自体の有料化を図る方向で、五年後に本格的な見直し作業に入る見通し。
 現在の受信料収入は年間三十億ポンドで、英政府は将来のデジタル化やインターネット番組配信など新サービスへの投資に安定した財源が不可欠と判断したとみられる。
 番組づくりでは、娯楽性も持った質の高い番組を制作し、教育に役立ち、創造力を刺激する一方、英国と世界の橋渡し役やデジタル放送の確立を果たすとしている。
 また、新たに設置する「トラスト」はBBCの経営とは切り離し、受信料に見合ったサービスをBBCが提供できているかどうかを監督する。受信料のあり方を見直す権限を持ち、公共放送としての信頼性を維持する強い役割を担うという。
(産経新聞) - 3月16日3時7分更新


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