猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

民主前原代表「政令市県議は不要」―また発言の軽さ露呈

2006-03-15 08:39:17 | 政界・政治全般
 民主党の前原誠司代表が政令市選出の道府県議について「ほとんど仕事が無い」と、不要論と受け取れる発言をして物議をかもしている。「神奈川県議会の半分以上が横浜、川崎から選ばれているのはおかしい」「仕事のない議員さんが神奈川県議会を構成している」などと神奈川県議会を名指しして講演などで繰り返し述べた。これには当然神奈川県議会側、それも身内である民主党系会派が猛反発している。前原氏によれば京都市から選出された京都府議としての経験では「府立高校、府警、一級河川。私に与えられた仕事は三つだけだった」ので、政令市の地域から選出する県議の必要性に疑問があるそうだ。
 確かに、都道府県自体の存在が中途半端で道州制の導入も含めた改革が必要との議論はあるし、それはそれで傾聴すべきである。しかし、前原氏の論はそれとは全く訳が異なる。県議会議員を政令指定都市選出とそれ以外に分けて、政令指定都市選出の分が不要であるかのうようなことを言っているのが一番の筋違いではないか。どこの選出であれ、都道府県議会議員は都道府県のために奉仕する存在である。全く同じ選出法の議員を二種類に分けて片方を削減するのはどう考えても理不尽である。そして、都道府県に独自の役割があることは言うまでも無い。政令指定都市に都道府県に準じた権限があるという点が彼の頭にはあるのかもしれないが、それでも論理的に考えておかしな話である。あくまでも例として申し上げるのだが、都道府県議会議員は各市町村の代表として人口に関係なく各市町村同数の議員を選出することとして、都道府県は各市町村間の相互調整機能の性格を強めるといった制度改革を打ち出すのならば話は分かる。確固とした理屈や青写真に基づいて発言すべきなのである。もしも彼が地方制度の改革に関して何らかの案を持っているとすれば(実際彼はこういう問題にも一家言があると聞く)、ますますそんな軽率な発言をすべきでない。それを「仕事のない議員さんが神奈川県議会を構成している」などと、喧嘩を吹っかけているような調子の、思い付きとしか受け取れない発言をするのは、前原氏の発言の軽さがまた露呈したとしかいいようがない。前原氏のためにも惜しむものである。


(参考記事)
<前原代表>“政令市県議は不要”発言が波紋、賛同の声も
 民主党の前原誠司代表が政令市選出の道府県議について「ほとんど仕事がない。神奈川県議会の半分以上が横浜、川崎から選ばれているのはおかしい」などと不要論ともとれる主張を展開、時ならぬ論争に発展している。名指しされた神奈川県議会の「民主党・かながわクラブ」(田中肇団長)は13日「党再生が求められる中、不用意な発言は誠に遺憾。資質を疑問視せざるを得ない」と抗議申し入れを発表するなど、猛反発。一方で前原氏も同日、東京都内の講演で「仕事のない議員さんが神奈川県議会を構成している」と発言、譲らぬ姿勢を示した。
 発端は今月6日、横浜市で開かれた党県連代表の会合。前原氏は京都市選出の府議だった自らの経験から「府立高校、府警、一級河川。私に与えられた仕事は三つだけだった」と述べ、政令市の地域から選出する県議の必要性に強い疑問を投げかけた。
 神奈川県議会は定数107で横浜、川崎の両政令市選出県議が過半数の56人。同クラブは申し入れ書で「県も介護老人保健施設の開設許可など多くの事務権限があり、政令市選出県議の役割は、枚挙にいとまがない」と反論。田中団長は「民主党の屋台骨は、政令市県議が支えている。来春の統一地方選を控え、地方の事情が分かっているのか」と当惑。松沢成文知事も「前原代表は京都府議として、何にも仕事していない方だったのでは」と皮肉る。
 一方、神奈川8区選出の江田憲司衆院議員(無所属)は「前原代表の言う通り。政令市県議は仕事がないのだから、削減すべきだ。今の半数でいい」と前原氏の主張に全面的に賛同しており、「存在をかけた」議論が続きそうだ。【足立旬子】
(毎日新聞) - 3月13日21時46分更新


☆ぜひとも、Blog●Rankingをクリックして、ランキングに投票して応援してくださいm(__)m


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (総理大人)
2006-03-15 21:02:06
>神奈川県議会は定数107で横浜、川崎の両政令市選出県議が過半数の56人



これは、ちょっと驚きの数字です。そうですね、十分ありそうな数字ですけど。

基礎自治体を重視したいなあと思う私なので、都道府県の権限の多くを基礎自治体に移行すること前提に、師匠の例のような議席配分があった方がいいような気がします。

「言い回し」と「代案」ですよね。原典に当たれば、代案らしきものも言ってるのかもしれませんが、いずれにしても言い回し・脇の甘さ・説明責任という私の最近のヒットな言葉たちに収斂される事なんだろうと思います。

恒三爺プレゼントのあの「起きない人形」の映像を見ると、前原さんに同情したくなりました。笑 あれはミラクルだ~。たとえ他のニュースの時間を削って放送してでも、日本中を笑顔にする効果のある貴重なニュースでした。
返信する
コメントありがとうございます (猫研究員。(高峰康修))
2006-03-16 01:54:00
>総理大人様

喧嘩腰というのは、小泉首相の郵政民営化の手法を見習いたかったのかもしれませんが、野党の求心力の落ちてる党首ですからね。全然ちがいますよ。しかも言ってることが理屈にあってない。

私も地方分権は基礎自治体重視で構想するのがよいと思います。その上に相互調整機能中心の広域自治体(都道府県がよいのかもっと大きい規模の方がよいのか検討の余地はあると思いますが)ですね。道州制ありきでデザインすると「霞ヶ関」を何ヶ所も作るだけに終わりかねないので、小から積み上げる形で構想するのがよいでしょう。「補完性の原理」って言葉聞いたことないですか?

起き上がらない『起き上がりこぼし』には、同情しつつウケましたが、おもりかなんかを抜いて自虐ネタとして披露したなんてことは?ないか…。
返信する