猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

自民党新憲法前文原案について

2005-10-08 20:30:56 | 憲法
 自民党が立党五十年記念大会で報告する新憲法草案の前文原案は以下の通り。

【自民党新憲法前文原案】
 日本国民はアジアの東、太平洋と日本海の波洗う美しい島々に、天皇を国民統合の象徴として戴(いただ)き、和を尊び、多様な思想や生活信条をおおらかに認め合いつつ、独自の伝統と文化を作り伝え多くの試練を乗り越えて発展してきた。
 日本国は国民が主権を持つ民主主義国家であり、国政は国民の信任に基づき国民の代表が担当し、その成果は国民が受ける。
 日本国は自由、民主、人権、平和、国際協調を国の基本として堅持し、国を愛する国民の努力によって国の独立を守る。
 日本国民は正義と秩序による国際平和を誠実に願い、他国と共にその実現の為(ため)協力し合う。国際社会に於(お)いて圧制や人権の不法な侵害を絶滅させる為の不断の努力を行う。
 日本国民は自由と共に公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実をはかり教育の振興と文化の創造と地方自治の発展を重視する。自然との共生を信条に豊かな地球環境を護(まも)るため力を尽くす。
 日本国民は大日本帝国憲法及び日本国憲法の果たした歴史的意味を深く認識し現在の国民とその子孫が世界の諸国民と共に更に正義と平和と繁栄の時代を内外に創(つく)ることを願い、日本国の根本規範として自ら日本国民の名に於いて、この憲法を制定する。


猫のコメント:第一段落と終わりの二段落以外は、現行憲法の前文と同工異曲といってもよいであろう。有り体に言えば、分かりやすい日本語に「翻訳」したということであろう。別に悪い話だとは思わない。意外に思われるかもしれないが、私は第一段落が不満である。文学的に過ぎるからである。「太平洋と日本海の波洗う美しい島々」などと憲法典に書き込むような事柄であろうか。はじめは「太平洋」だけだったのだが、日本海側の選出議員からクレームがついて「日本海」も含めたなどという笑い話にしかならないようなエピソードまであるぐらいである。憲法は法的内容を以って国の歴史と伝統を含めた「国体」を表すべきものである。何でもかんでも憲法に書けば、歴史でも伝統でも大事にされるようになると考えるのは、憲法万能主義に過ぎるのではないか。私なら、第一段落と第二段落をまとめて「わが国は、国の統合の象徴として天皇を戴き、数多くの守るべき伝統的な価値を継承し、発展させてきた。そのもとで、わが国は、将来にわたって、自由を愛する民主国家として繁栄していくことを決意する。」とでもする。これでも文学的にすぎると思うが…。「国民主権」という言葉は排したい。その理由は天皇との関連というよりも、ルソーの「一般意思」につながる国民主権なる概念に疑問があるからである。これは独裁を導きうる危険な概念である。ただし、統治の形態として民主制をとることに全く異存がないことは、誤解のないように改めて表明しておきたい。終わりの二段落は、なかなかよいと思う。特に最終段落は、歴史的継続性を重視しており、現行憲法に関する「八月革命説」なる謬説に鉄槌を喰らわす意味合いも含んでいると認識するので、大いに歓迎したい。




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