猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

防衛庁の「省」昇格関連法案を閣議決定

2006-06-10 23:04:01 | 安全保障・自衛隊
 政府は9日午前の閣議で、防衛庁の省昇格関連法案を決定し、衆院に提出した。秋の臨時国会での成立を目指す。防衛庁の省昇格に関しては、これまでも何度か決まりかけたが、いずれも国会対策上の都合などで流れてきた。今度こそ「防衛省」誕生が実現するものと、強く期待したい。  防衛庁が「防衛省」に変わるのは名前とか面子の問題だけではないかと誤解されている向きも多いと思うので、少し解説しておきたい。現在の防衛庁の . . . 本文を読む

ODA初の武器供与、テロ対策でインドネシアに巡視船

2006-06-04 03:08:37 | 安全保障・自衛隊
 いうまでもなく、我が国は海洋国家であり、シーレーンの確保は死活的に重要な国益である。とりわけ、マラッカ海峡は原油産出地域である中東と我が国を結ぶのみならず、年間約5万隻もの世界各国の大型タンカーや貨物船などが通航する海上交通の要衝である。そして、この海域は従前から海賊の横行する地域として大きな問題となっていた。しかも最近では、単なる海賊ではなくて国際テロ組織も紛れ込んでいる。沿岸の国々からは、し . . . 本文を読む

中期防、米軍再編の財源確保で正面装備など削減へ―安易な兵力削減を危惧する

2006-05-23 23:07:55 | 安全保障・自衛隊
 先日決着をみた在日米軍再編では、我が国の負担は2兆円程度にはなりそうである。米国のローレス国防次官が3兆円という具体的な数字を言って撤回したが、沖縄をはじめとする地域振興策を含めれば、兆の単位になることは間違いないだろう。そこで、日本政府は、在日米軍再編関連経費の財源を確保するため、現行の中期防衛力整備計画(2005~09年度、総額24兆2400億円)を見直し、正面装備の予算などを削減することに . . . 本文を読む

イラクで空自が国連の人員・物資輸送―政府検討

2006-05-17 23:19:06 | 安全保障・自衛隊
 イラク復興支援ための自衛隊派遣といえば、なんといってもサマワ駐留の陸自が有名だが、実は空自もイラク特措法に基づいて輸送業務についている。現在のところの主な任務は、クウェートにあるアリ・アル・サーレム空軍基地を拠点に、陸上自衛隊や多国籍軍の人員・物資を陸自が活動するサマワ近郊のタリルとバスラに輸送するというものである。  しかし、陸自の撤退が現実的な政治日程に上がってきているので、空自の陸自支援と . . . 本文を読む

中国機へのスクランブル回数、過去最高を記録

2006-04-21 12:43:09 | 安全保障・自衛隊
 防衛庁の統合幕僚監部が発表したところによれば、領空侵犯の可能性のある国籍不明機に対するスクランブルの2005年度における実施状況は、総回数が前年度より6割以上増えて229回、そのうち中国機が対象だった例が前年比8倍以上の107回となり、過去最高となった。  直接の原因は、中国側がガス田開発を進めている日中中間線付近での飛行を活発化させているためである。関係者によれば、レーダーや通信関係のデータな . . . 本文を読む

自衛隊、統合幕僚監部を設置―本格的統合運用へ、統幕長は認証官にせよ

2006-03-31 01:08:23 | 安全保障・自衛隊
 自衛隊は、さる3月27日に、陸海空の3自衛隊を1人の指揮官が束ねて作戦行動を遂行する統合幕僚監部を設置した。この件につき、制度の概観と統合運用の必要性につき簡単にまとめておきたい。  まず、統合幕僚監部を設置することに伴う自衛隊の運用形態の変更。今までは、自衛隊の運用は、陸海空各自衛隊ごとの運用が基本であり、陸海空の各幕僚長が各自衛隊の運用に関して直接に長官を補佐していた。また、各自衛隊に対する . . . 本文を読む

宇宙利用法案を次期国会に提出―自衛目的での宇宙空間利用を可能に

2006-03-29 00:58:15 | 安全保障・自衛隊
 これまで、日本政府は『月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約』(通称、宇宙条約)を解釈するに当たって、「宇宙空間の利用を非軍事に限る」という厳しい平和利用原則を課してきた。国会は1969年に「宇宙の平和利用決議」を決議しており、その内容にしたがっているわけである。その結果、自衛隊が自前の偵察衛星を開発できないなど、宇宙での活動が厳しく制限されてきた。9 . . . 本文を読む

情報流出、陸海空自衛隊全てに拡大―軍法会議も必要だ

2006-03-08 21:28:19 | 安全保障・自衛隊
 2月24日に書いた『海自「秘」情報流出、CDで持ち出し』の続き。海自だけでなく陸自空自でも全く同様にファイル交換ソフトWinnyを通じて情報流出が相次いでいた。関連記事を資料としてまとめておく。事実関係はそれらを参照していただくとして、今更ようやく「私用パソコンの業務利用や、私物の記憶媒体の職場への持ち込みも全面禁止する」という決定がなされたという、情報管理に対する危機意識のなさに驚かされた。お . . . 本文を読む

海自「秘」情報流出、CDで持ち出し

2006-02-24 09:07:15 | 安全保障・自衛隊
 海自の「秘」情報が個人のパソコンからファイル交換ソフトWinnyを通じて流出するという、唖然とするような事件が明るみになった。流出させた通信員の海曹長(41)は、艦内の電信室内にあるパソコンのデータを無許可でCD―R(書き込み可能CD)などに移し、「自分のパソコンで仕事をするため」艦外に持ち出していたという。もはや論評のしようがない。これから自衛隊のIT化をさらに進めて米軍との統合を高めようとい . . . 本文を読む

川崎の精密大手、核関連機器を不正輸出疑惑―君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩(さと)る

2006-02-12 20:05:06 | 安全保障・自衛隊
 1月24日に書いた『ヤマハ発動機、中国向けに無人ヘリ不正輸出疑惑』、1月28日に書いた『陸自の最新型ミサイルデータ、総連団体に流出』に引き続いて、今度は川崎市の大手精密機器メーカーが核関連機器を中国とタイに無許可で輸出していた疑惑という、またしても我が国の軍事機密情報管理に関する体制の甘さを露呈する事件が起きた。週明けにも警視庁公安部が外為法違反容疑で強制捜査に乗り出すと伝えられている。これだけ . . . 本文を読む

防衛施設庁を防衛庁に統合―来年通常国会に法案提出

2006-02-01 23:33:57 | 安全保障・自衛隊
1月26日に書いた『防衛庁と施設庁の統合検討―額賀防衛長官が表明』の続報。防衛施設庁を防衛庁に統合する方針が固まった。それに関する法案は来年の通常国会に提出される見込みである。防衛施設庁は第2次大戦後の占領期に駐留米軍が必要とする施設や物資などの調達・管理を実施した特別調達庁が前身であり、米軍基地周辺対策などを主に管轄している。そういう性格の役所であってみれば、米軍再編とそれに関連する自衛隊の基 . . . 本文を読む

陸自の最新型ミサイルデータ、総連団体に流出―”諜報コミュニティ”を確立せよ

2006-01-28 05:56:06 | 安全保障・自衛隊
 24日に紹介した『ヤマハ発動機、中国向けに無人ヘリ不正輸出疑惑』と同様の、いや、それをはるかに上回る、我が国の情報安全保障を脅かす事態が勃発していることが明らかになった。陸自の最新型ミサイルデータが朝鮮総連団体に流出していたという事件である。  まず、産経の報道に基づいて事実関係を要約しておくと次の通りである。データが流出したシステムは「03式中距離地対空誘導弾システム」(中SAM)で、陸上自衛 . . . 本文を読む

防衛庁と施設庁の統合検討―額賀防衛長官が表明

2006-01-26 23:55:37 | 安全保障・自衛隊
 我が国の防衛政策を管轄するのは言うまでもなく防衛庁、その外局として自衛隊および在日米軍が使用する施設の取得、工事、管理、周辺対策などを所管すべく防衛施設庁が置かれている。現在のとこと防衛庁は内閣府の外局という位置づけである。これを「省」に昇格するに当たっては、防衛施設庁を統合してしまうのがよいのではないかという議論がある。基本的には間違っていないと思う。  額賀防衛庁長官は、25日午前の参議院本 . . . 本文を読む

ヤマハ発動機、中国向けに無人ヘリ不正輸出疑惑

2006-01-24 02:47:49 | 安全保障・自衛隊
 このところ世間を騒がせている耐震構造計算書偽造問題や、ライブドアの株式不正取引はいずれも企業倫理が厳しく問われている問題である。それらに隠れる形であまり注目されていないが、ヤマハ発動機が中国向けに無人ヘリを不正輸出しようとした疑惑で捜査を受けている件も企業倫理が厳しく問われ、かつ安全保障にも関わる問題である。私には、堀江容疑者らの株取引に関わる不正よりも重大なことのように思われる。  ヤマハ発動 . . . 本文を読む

防衛予算、今年度当初比0・9%減―財務当局は過剰介入を戒めよ

2005-12-23 02:32:26 | 安全保障・自衛隊
 総額80兆円未満国債発行額30兆円未満という比較的緊縮財政である2006年度予算の財務省原案において、防衛予算も今年度当初予算とくらべて0.9%ではあるが減額された。  防衛予算に関する議論としては、何といっても昨年の新防衛大綱策定をにらんだ、陸自編制定数(要するに陸自の兵員数)に関する財務省と防衛庁の綱引きが想起される。これは、冷戦期のような大規模な本土侵攻の可能性が低下したのだから陸自の編制 . . . 本文を読む