変更:最後のピンクの2行、追記しました。
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画面右下の「カテゴリー」を整理しました。関連資料の探索にご活用ください。
読んでいただきたい順番は、
「生産財のマーケティングと営業」:B2B営業の本当の攻めどころが分かります。
「『理詰めの営業』そのコンセプト」から「自社を客観的に分析する」までの各論:自分なりの営業手法を確立できます。
「会議設計」から「質問設計」:営業ステップを前進させる「会議の仕切り方」をマスターできます。
「スチーブ・ジョブスの営業」~「だからどうなの」:コラム系の記事は息抜きに!
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さて、『理詰めの営業』に戻ります。「え、戻る?」
昨年の10月3日にサービス業への『理詰めの営業』の適用事例を始めました。適用業種はビル管理業。ビルの空調や電気の管理、清掃、警備などを扱う業種で、会社務めの方には理解しやすい業種です。
『理詰めの営業』のコンセプト(10月3日)から始め、「営業ステップの定義」(10月11日)、「顧客基礎情報の収集・分析」(10月25日)と進めてきました。
営業ステップの最初に「顧客V社と打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)」があったため、11月1日から『会議設計』に進み、本年の3月7日まで解説しました。
そしてようやく『理詰めの営業』の流れに戻り、「顧客基礎情報分析」の次の「問題・課題・ニーズ分析」となった次第です。
「問題・課題・ニーズ分析」シートは、顧客の投資の背景となる問題・課題・ニーズを整理・分析するツールです。顧客の抱えている問題や課題が複数ある場合は、顧客の中での優先順位を想定し、ソリューションを準備します。
顧客と良好な関係が築けている場合は、顧客から問題や課題を聞き出すことは容易でしょう。信頼されていれば、むしろ顧客の方から相談してくるはずです。
しかし、顧客と良好な関係を築くには時間がかかります。それまでは、顧客から問題や課題を聴きだすことが大変難しい場合がほとんどです。その場合は、業界情報・同業他社の情報などの外部情報を活用し、想定してみるとよいでしょう。
私も新規開拓の顧客では、人間関係の構築に時間を要し、問題や課題を聞き出すことができませんでした。最初のプレゼンの機会をいただいたときは、業界の課題となっている点とそのソリューションをプレゼンしました。その結果、「さすがによく研究している」との評価を得て、更に、上のマネージメントへプレゼンする機会を得ることができました。もちろん、プレゼンの最中も、こちらから質問し、顧客の本当の課題や問題を聞き出すようにしました。
すでに取引のある顧客の場合、現場に入っている担当者が顧客の担当者と良好な人間関係を築き、そこから情報を得ることもできます。むしろ、現場に近い担当者経由の情報入手を積極的に活用すべきと考えます。
しかし、顧客自身も問題に気づいていない場合や業務プロセスの問題の場合は、事実となる情報を集め、現状とあるべき姿を明確にし、問題を抽出し、解決すべき問題が何かを絞り込む必要があります。近年、ソリューション営業がうまくいかなくなっている背景には、顧客自身が問題・課題・ニーズに気づいていない点にあります。顧客にニーズを聴く営業ではなく、顧客にニーズを教える営業になる必要があるのです。
以下は、「問題・課題・ニーズ分析」シートの記入例です。
しばらく間が空いてしまったので、事例をもう一度、説明します。
某外資系金融機関V社のビル設備管理業務委託契約(5年契約)の現行業者との契約終了に伴う、業者見直しの事例です。現行業者がA社、そこに割って入ろうとしている業者がS社で、そのS社の『理詰めの営業』活用事例です。
今回の記入例は、以前、作成した営業ステップの4月10日前後のものとしましょう・・・・
2018年3月9日:顧客V社から打診
2018年3月16日:顧客V社と打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)
2018年3月23日:参加表明
2018年4月1日:RFP(Request For Proposal)をV社から入手
2018年4月10日:RFP検討・必要書類の洗い出し
S社はV社から設備管理の仕事はもらっていませんでしたが、スポットの仕事や見積もりへの参加(明らかに当て馬)は行ってきました。そのときの情報収集や3月16日の打ち合わせで顧客の問題・課題を整理することができました。
以下は、3月16日のV社担当者と打ち合わせの要約。
A社の現場リーダーが1年前に代わってから、見積もりや調査を頼んでもフォローされていないことが多くなり、また、トラブルが発生した時の対応が悪く、報告もタイムリーに行われない。営業に言っても一向に改善が見られないため、A社とは10年の付き合いであるが、ベンダーの見直しを行うことにした。手狭になったため3年後に移転する方針が決まっており、移転先で設備管理を任せられるベンダーを探しておきたい。これからの3年間は、次のベンダーの試用期間と考えている。RFPはA社、S社ともう一社に依頼する予定。
これらの情報をもとに問題・課題・ニーズまとめたものが以下のシートです。
設備管理業務は顧客が設置した設備の保守管理を行うもので、現場のリーダーやスタッフの能力が差別化の決め手となります。しかし、その能力をあらかじめ証明することは容易ではありません。やはり同業他社での実績、資格などをもとに候補者を決め、面接を行って顧客に選んでいただくことが提案(ソリューション)となります。
当面は「管理能力のある」「コミュニケーション能力」のある実績を積んだリーダーおよびスタッフを用意し、顧客の問題を解決するとともに、3年間その能力を実証していきます。そして3年後の移転先のビル設備管理も受注という営業戦略になります。
ビル移転時には、ビル管理や関連する総務のソフトサービス(庶務・清掃・受付け・警備など)もRFPになるので、それらも併せ受注、というシナリオ(営業戦略)になる!!
ソフトサービスの現行ベンダーや評判も調査しよう。
急に眼の前がばら色になってきましたね。それが営業!!
でも待てよ。V社担当者は、RFPに参加する他のベンダーにも同様な話をするはず。だとすると他社も似たような提案になり、結局、価格競争に!!何か差別化できる提案が必要だ!!!
ばら色だった目の前が、少し薄曇りになってきました。
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画面右下の「カテゴリー」を整理しました。関連資料の探索にご活用ください。
読んでいただきたい順番は、
「生産財のマーケティングと営業」:B2B営業の本当の攻めどころが分かります。
「『理詰めの営業』そのコンセプト」から「自社を客観的に分析する」までの各論:自分なりの営業手法を確立できます。
「会議設計」から「質問設計」:営業ステップを前進させる「会議の仕切り方」をマスターできます。
「スチーブ・ジョブスの営業」~「だからどうなの」:コラム系の記事は息抜きに!
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さて、『理詰めの営業』に戻ります。「え、戻る?」
昨年の10月3日にサービス業への『理詰めの営業』の適用事例を始めました。適用業種はビル管理業。ビルの空調や電気の管理、清掃、警備などを扱う業種で、会社務めの方には理解しやすい業種です。
『理詰めの営業』のコンセプト(10月3日)から始め、「営業ステップの定義」(10月11日)、「顧客基礎情報の収集・分析」(10月25日)と進めてきました。
営業ステップの最初に「顧客V社と打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)」があったため、11月1日から『会議設計』に進み、本年の3月7日まで解説しました。
そしてようやく『理詰めの営業』の流れに戻り、「顧客基礎情報分析」の次の「問題・課題・ニーズ分析」となった次第です。
「問題・課題・ニーズ分析」シートは、顧客の投資の背景となる問題・課題・ニーズを整理・分析するツールです。顧客の抱えている問題や課題が複数ある場合は、顧客の中での優先順位を想定し、ソリューションを準備します。
顧客と良好な関係が築けている場合は、顧客から問題や課題を聞き出すことは容易でしょう。信頼されていれば、むしろ顧客の方から相談してくるはずです。
しかし、顧客と良好な関係を築くには時間がかかります。それまでは、顧客から問題や課題を聴きだすことが大変難しい場合がほとんどです。その場合は、業界情報・同業他社の情報などの外部情報を活用し、想定してみるとよいでしょう。
私も新規開拓の顧客では、人間関係の構築に時間を要し、問題や課題を聞き出すことができませんでした。最初のプレゼンの機会をいただいたときは、業界の課題となっている点とそのソリューションをプレゼンしました。その結果、「さすがによく研究している」との評価を得て、更に、上のマネージメントへプレゼンする機会を得ることができました。もちろん、プレゼンの最中も、こちらから質問し、顧客の本当の課題や問題を聞き出すようにしました。
すでに取引のある顧客の場合、現場に入っている担当者が顧客の担当者と良好な人間関係を築き、そこから情報を得ることもできます。むしろ、現場に近い担当者経由の情報入手を積極的に活用すべきと考えます。
しかし、顧客自身も問題に気づいていない場合や業務プロセスの問題の場合は、事実となる情報を集め、現状とあるべき姿を明確にし、問題を抽出し、解決すべき問題が何かを絞り込む必要があります。近年、ソリューション営業がうまくいかなくなっている背景には、顧客自身が問題・課題・ニーズに気づいていない点にあります。顧客にニーズを聴く営業ではなく、顧客にニーズを教える営業になる必要があるのです。
以下は、「問題・課題・ニーズ分析」シートの記入例です。
しばらく間が空いてしまったので、事例をもう一度、説明します。
某外資系金融機関V社のビル設備管理業務委託契約(5年契約)の現行業者との契約終了に伴う、業者見直しの事例です。現行業者がA社、そこに割って入ろうとしている業者がS社で、そのS社の『理詰めの営業』活用事例です。
今回の記入例は、以前、作成した営業ステップの4月10日前後のものとしましょう・・・・
2018年3月9日:顧客V社から打診
2018年3月16日:顧客V社と打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)
2018年3月23日:参加表明
2018年4月1日:RFP(Request For Proposal)をV社から入手
2018年4月10日:RFP検討・必要書類の洗い出し
S社はV社から設備管理の仕事はもらっていませんでしたが、スポットの仕事や見積もりへの参加(明らかに当て馬)は行ってきました。そのときの情報収集や3月16日の打ち合わせで顧客の問題・課題を整理することができました。
以下は、3月16日のV社担当者と打ち合わせの要約。
A社の現場リーダーが1年前に代わってから、見積もりや調査を頼んでもフォローされていないことが多くなり、また、トラブルが発生した時の対応が悪く、報告もタイムリーに行われない。営業に言っても一向に改善が見られないため、A社とは10年の付き合いであるが、ベンダーの見直しを行うことにした。手狭になったため3年後に移転する方針が決まっており、移転先で設備管理を任せられるベンダーを探しておきたい。これからの3年間は、次のベンダーの試用期間と考えている。RFPはA社、S社ともう一社に依頼する予定。
これらの情報をもとに問題・課題・ニーズまとめたものが以下のシートです。
設備管理業務は顧客が設置した設備の保守管理を行うもので、現場のリーダーやスタッフの能力が差別化の決め手となります。しかし、その能力をあらかじめ証明することは容易ではありません。やはり同業他社での実績、資格などをもとに候補者を決め、面接を行って顧客に選んでいただくことが提案(ソリューション)となります。
当面は「管理能力のある」「コミュニケーション能力」のある実績を積んだリーダーおよびスタッフを用意し、顧客の問題を解決するとともに、3年間その能力を実証していきます。そして3年後の移転先のビル設備管理も受注という営業戦略になります。
ビル移転時には、ビル管理や関連する総務のソフトサービス(庶務・清掃・受付け・警備など)もRFPになるので、それらも併せ受注、というシナリオ(営業戦略)になる!!
ソフトサービスの現行ベンダーや評判も調査しよう。
急に眼の前がばら色になってきましたね。それが営業!!
でも待てよ。V社担当者は、RFPに参加する他のベンダーにも同様な話をするはず。だとすると他社も似たような提案になり、結局、価格競争に!!何か差別化できる提案が必要だ!!!
ばら色だった目の前が、少し薄曇りになってきました。