衣・考

松本衣デザイン専門学校校長・太田が、衣服とその周辺、デザイン他について感ずること考えることを書きます。

建築の「レイヤー」、ファッションの「レイヤード ルック」

2011-02-18 09:04:49 | 衣・考
ベーシックデザインの講師yさんが建築家ということもあり、

建築と衣服デザインの共通点、異なる点が話題になる。

先日の講評会で気付いたこと;「レイヤー」と「レイヤード ルック」は微妙に異なるものを言っているようだ。

ファッションにおける「レイヤード ルック」とは、

1970年前後のヒッピールックにおそらく端を発し、

ケンゾーがそこへ多色配色を加えることで明快!にして示し、「日本文化」と言わしめた。

とくに、長袖の上に半袖を重ねた着方をさした。

時代は新しくなり

「着方そのものがデザイン」である時代になると

レイヤード ルックなどとは言ってられない「着方の饗宴」となっている。

ジャケットの重ね、スカートの重ね、パンツの重ね、靴下、下着の重ねまで・・・・・

一方、

建築デザイン分野の「レイヤー」という手法は

ガラス越しに見せる、格子越しに見せる、スクリーン越しに、グリーン越しに・・・・というようなことであるらしい。

(ファッションでは「トランスペアレント」と言いいますね)

平安の「重ねの色め」の手法の中に、

襟やそで口を重ねて見せることに加え

布の糸の重なりで新しい色を提案するものも言う、と読んだことがあります。

衣服よりも建築の方に、平安文化からの連なりを感じてしまいます・・・・・・・





学年末!講評会・・・その1.

2011-02-17 09:09:17 | 衣・考


あっという間の1年です。

早くも学年末講評会です。

昨日は1年生のベーシックデザインでした!

感想;1・・・今年の1年生は伸び伸びしている!・・・良くも悪くもです。

     ①良い点は、文字通りで楽しそうに取り組んでいる様子がわかる。作品が楽しい。

     ②悪い点は、「理解」が弱い。課題に応えず「描くことを楽しんでしまっている」者が多い。

      デザインは、相手の要望に「応える」態度がないとビジネスにはなりません。

感想2・・・成長ぶりがすごい!

      これは毎年、どの科目でもそうですが、1年生が最も成長ぶりがわかります。

      手も頭も動いてきて

      着るものがどんどん変化し

      ヘアスタイルが変わり、メークが変わり

      表情、態度全体が明るくすっきりしてくる。

      笑顔になって、声も大きくなって・・・

      こうなってくると・・・・楽しみです!

      本人に自覚はないのでしょうねー・・・・・

      私が最も嬉しかったのは、終了後の「作品展示の協力風景」でした!

      嬉しそうで・・・・声かけ合って・・・

      新学期にはできないことでした・・・・

      実は就職活動の際に、企業側がもっとも重視するのは、こういうところなのです。どんな職場でも・・・

感想3・・・「紙で靴を作る」課題の応えとしては、「色、装飾」ではなく、「立体のとらえ」がほしかったです!

     

音楽とデザイン・・・その3

2011-02-16 08:47:38 | 衣・考
「ゴルトベルグ変奏曲」の構造をデザイン手法にするための

ポイントを書き忘れていました!

3曲ずつのグループになっていて、

その内容は、速度だけで言うと

   1中→2急→3緘

となっているのです。

自分なりの法則をつくって、

そこへ肉付け(あるいは装飾、編曲・・・)していく、

というわけです。

それが更に10グループの連なりになっているのです。

最初から1時間の曲を作るのは大変なことですが

小曲の組み合わせであると考えればできそうな気がしませんか?

これを衣服デザインに置き換えてみると・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
写真は、学生の実験?


音楽とデザイン・・・・・その2

2011-02-15 10:42:50 | 衣・考


私にとって

衣服デザインは職業で

音楽は趣味。

でもそれは常に頭の中、気持ちの中では一体のように思う。

双方ともに「ヨーロッパ」にルーツをもつものが、私の中でのスタートになっている。

で、今

19世紀後半から20世紀初頭が断然興味深い!と思っている。

なぜか?

「デザイン」という言葉が使われ始めた時代であり、

音楽は、「形式の継承」や「ヨーロッパ主義」の枠が緩み始めた時期であると思う。

ヨーロッパが、異国文化に関心を示し始めた時期でもある。

残された衣服デザインにも素晴らしいものがたくさんある。今見ても新鮮である。

・・・・・

というように、

自身の関心のあることと、衣服デザインを結び付けてみると

意外な発見!があったり、

より楽しくデザインの勉強ができます・・・・・

音楽とデザイン・・・・・・

2011-02-14 09:39:08 | 衣・考
カラス見えるかなー?

先日

「ゴルドベルグ変奏曲」を聞いてから、

とくにその解説から

「これはデザインの方法に使えるなー、同じだなー」と

思ったので、「講義」をかいつまんで書いて見ます。

①まず、コンセプトが明確。

②30変奏にするにあたっての「通奏音」(最初から最後まで常に鳴っている音)がある・・・・とてもシンプルなもの

  1-3番目まで、4-6番目まで、7-9番目まで・・・・・というように

 3曲ずつがグループになっている。

③1曲目の印象的なアリアが

  最後に再び登場する。・・・・・これは「物語性」と言ってよいと思う。

ざっと以上のようなポイントである。

「ヨーロッパ文化の特徴」と言ってしまえばそれまでですが

「骨組み」さえあれば、あとは無限にアレンジなどできる、と言えます。

「デザイン」もまったく同じことです。

コンセプトと、「骨組み」です・・・・・

ここにも同じカラスいるのですが?




水俣の無農薬みかん!

2011-02-13 09:27:04 | 衣・考
ももさん!未だどなたなのかは?????

コメントありがとうございます!

そうおっしゃるあなたは、挫折体験がおありだということ?

またコメントお願いします!

・・・・・・・・・・・・・・・

この時期になると

水俣の甘夏を待ち焦がれます!

1月?に注文しておくと、毎年忘れたころ(3月)になって届くのですが

店頭で手に入れたものを

まずはそのまま食べて、

皮をジャムにします。

ストーブの上が空いているのはどうももったいなくて、

なにかと「煮物」を考えては載せます。

中でも、この甘夏ジャムを煮ているのは幸せな時間です。

家中に香りがいっぱい・・・・・色もきれい・・・味見も楽しい・・・・

皮まで食べられるみかんができるようになるまでの

ご苦労と、長い歳月と、続けている人と・・・・・・

信州ではみかんが育つ様子を見ることはなく、

二十歳を過ぎてから「みかんが生っている木」を電車からはじめてみたときは、

美しさに感動しました・・・・・・

「わかった!」はおもしろい!・・・バッハ・ゴルトベルグ変奏曲・・・

2011-02-12 11:08:13 | 衣・考
久々のクラシックコンサートに行きました。

最初の1時間は「お勉強」。本日の曲の解説講義です。

そのあとで、

休憩なしの

チェンバロ演奏、バッハ「ゴルドベルグ変奏曲」1時間半。

30個の変奏曲の連なり。

私は何の情報もなく、ただ「昼のコンサート」という理由で行ったのですが・・・・

で、解説なんていらないのに・・・・と思いつつ・・・・

でもそれがおもしろかったのです!

最大の収穫は、そうか!バッハの時代には録音技術はなかったんだ!

レコードもCDもなかったんだ!

ということです。

この曲誕生の逸話;バッハのパトロンであった侯爵が不眠症になり、眠れない夜に聴く曲を作曲してほしいと依頼してできたとのこと。

         では曲名は侯爵の名前かと思うとそうではなく、「侯爵のお抱えチェンバロ弾き」の名であるという。当時14歳であった。

その話だけでわたしは、ああきてよかった!

と思いました。

だって、その時代が見えてきます、突然!

睡眠薬代わりの作曲依頼(?聴くため?)、

聴くのは「生演奏」

で、その逸話は疑わしいという話も諸々あり・・・・・

学問とはこういうことなのか・・・・・という感想も。

で、作曲とデザインはとても似た法則にのっとっているようだと思うので

続きはまた・・・・

本日の写真は、夜明け前の誰かの足跡・・・・・人と連れ立ってはいなくて、あぜ道を横切っている・・・


PC漬け、ケータイ漬け・・・・・・

2011-02-11 11:34:13 | 衣・考
・・・・と言いますか

ふと気付いてみると、

私までPCなしでは生きていけない!ぐらいになっている事実にびっくり!

ショック!

旅行準備で、

目的地を決めるのに、

きっかけになったエッセイなどプリントしようとして

まずい!と決意して、止めました・・・・・・

ぼんやりとした「想い」みたいなものを

大切にしたい・・・・・

ボーダーレス社会、ボーダーレス ファッション・・・・

2011-02-10 12:49:57 | 衣・考
時代のキーワードの一つとして

「ボーダーレス」がある。

国籍、性別、宗教、貧富などなど、

それぞれの違いでできてしまっている「境界線」を取り外して

考えてみよう、行動してみようという動きである。

ファッションデザインを考えるときには

こういう時代のキーワードが

学生作品のテーマとして採用される。

昨年も、今年もあった。

昨年は「素材のボーダーレス」ということで、

1枚の衣服が、薄い素材から厚い素材へグラデーション変化しているかのような作品、織組織から網組織へ

と変化していくもの、繊維自体が徐々に柔らかいものから堅いものへ(シルクから金属へなど)というふう

なものが提案された。

今年は、他の学生が「オケージョンの・・・」など。



で、本日の写真は、

昨日と同じ本のページより

Manel Torres のデザインです。

皮膚のような?

服でもあり、ヘアデザインまでつながっていて

でもかつらでもなく・・・・

パリからの本(その3)"TEXTILE et MODE"

2011-02-09 08:48:14 | 衣・考
パリ土産の本の話を2冊してしまったので、

ついでにもう1冊。

知ってる人は知ってるはずの

伝統的テクニック、且つ「有名デザイン」。



コメントタイトルは 「ポジショニングとモチーフ」

2008s/sGIVENCHY の作品;

最近、周辺の若者のテキスタイルへの関心の高まりを感ずる。

そのことと、このデザインは関係があるような気がします・・・・・