長い行列に並んだ末に、係のお兄さんが腕にリストバンドを巻きに来てくれました。
このリストバンドの色順に入場ができる仕組み。
目黒川のこの橋を渡って向こう側に回る頃には、香ばしい良い香りが漂ってくる。
いよいよ火おこし開始。
そして入場開始だね。
ワタシが1人で2時間並んだのは、そう TV NEWSでもよく見ていた『目黒のさんま祭り~』
気仙沼の大漁旗が飾られた会場。
ワタシの順番はもうすぐ!
リストバンドとさんま引換券を交換してみたら、やっぱり予想通りワタシの順番は1,000番超えーっ
ちなみに1番最初に並んだ方は前夜の8時だそう!
そんなに早くなくても、朝に2時間並ぶつもりなら5,000尾用意されたさんまにはありつけるんだね。
引換券をもらった人は、さんまの煙が立ち込める「焼き場」で好きな場所に並びます。
炭火をはさんで「焼く人」と「もらう人」が相対する光景。
ずーーーっと向こうまで焼き場が連なる圧巻の風景
もらう人もベンチに座ってわくわくと焼き上がりを待っていますよ。
「どこにしようかなー」
この白髪のおばさまの後にしようか。
ワタシは2番のベンチに並びました。
「焼きおじさん」が手に持っているスプレーに入っているのは水。
大きな火が生まれたらジェットで炭に水をかけるんだって。
すぐにワタシの順番が来たのでベンチに座って焼き上がりを待っていたら、「焼きおじさん」の後ろにいた人が
「誰だかわかりますか?」と聞いてきました。
「ん?」誰のこと?
なーんと、私の前にいる「焼きおじさん」
糸井重里さん(左)と立川志の輔さん(右)だったんですね~
お二人は黙々と、それこそモクモクの煙をゴーグルでカバーしながら一心不乱に焼きに専念されていてこちらには一瞥もなかったので、ワタシも特に何もしなかったけど、なんとワタシは糸井さんの焼いてくれたサンマを食べたんですよ(笑)
焼き場を担当するのは気仙沼の方Onlyだと思っていたら、芸能人も参加する楽しいイベント。
お二人は地元目黒にお住まいなのかなぁ?
紙のお皿にさんまをもらったら列をはずれ、今度は大根おろしとカボスをもらいます。
大分県臼杵市のカボスがこのお祭りの欠かせぬパートナーなんだね。
テント下では係のお姉さんが「こちら空いてますよー」と誘導してくださり、みんな焼き立て熱々のさんまをはふはふいただきます。
(頻繁にテーブルを拭く清潔感もステキなの)
テーブルに座って見えるけど、これ全員しゃがんでるからね(笑)
紙のお皿は熱いから持っていられず、だけど立ったままだと腰が痛くて、結局大半の人がテーブルのふちにしゃがむという…
やっぱりワタシもしゃがんで「いただきまーす」
「ごちそうさまでした」
脂ののった美味しいさんま
あっという間に1尾食べ終え、なんだか胃袋が活気づいてきちゃったなー。
朝ご飯は家を出る前の6時で、今は11時
お腹がすいたわー。
食べ終えたお皿をエコステーションに届け、ゴミを回収してもらいます。
実にクリーンなシステムね。
おっ
モアイ君だっ
そうなの(笑)
モアイ君の会社は6年?ぐらい前からこちらのお祭りにボランティアで参加しているんだそう。
会社の事務所を移転してからのご縁で、今ではすっかりあてにされて毎年エコステーション担当で参加しているんだって。
モアイ君が参加するのは今年初めてで、ワタシとは目黒川で別れ、モアイ君はスタッフの集合場所へ。
そしてワタシは1人で長蛇の列に加わったのです。
「さんま喰ったの?」
「うん、喰った喰った。チョーやばいよ、美味しかったぁ」
「あっそう。良かったね。ハイありがとうございまーす」
笑顔で「ありがとうございまーす」と声を掛けながらきびきびと動くモアイ君。
ワタシは授業参観の母親よろしく、彼の仕事ぶりを遠巻きに眺めましたよ。
ワタシは1人になって探索をします。
焼き場の方はさらに煙モクモク。
今日は風下のマンションは窓が開けられないだろうなぁ
「毎年完売の人気なんだってさ。喰ってきな」とモアイ君から教わり、『さんまのすり身汁』の列に並びましょ。
公園の敷地の中には、さんま以外にも目黒区に住む各「県人会」がお店を出しており、あちこちの郷土料理を食べられるの。
すり身団子が3個とお豆腐の入った『すり身汁』は一杯100円の超破格!
優しい味で美味しいわぁ。
イワシのつみれは作るけど、さんまは贅沢ですり身にしたことがないなぁ。
レシピもくれたし、これから価格も下がる時期だから、今度おうちで再現しなくちゃね。
ほやボーヤ(笑)
隣接の区民センターでは「目黒区まつり」も同時開催されていて、どこも大にぎわいです。
スタッフさんにもさんま引換券が配布されており、モアイ君も休憩時間にさんまを食べました。
ワタシに「喰う?」と聞いてくれるなんて、なんて優しいの(笑)
「いーよ自分の分は大事に食べな」
その後、会議室でお弁当を食べました。
「連れでーす」と一緒に入ったけど、もちろんワタシのお弁当はないよ。
モアイ君が茶巾を1個分けてくれたけどね。
交通整理や誘導係、救護室…スタッフさんはとても大勢いて、交代でお昼休憩なんだね。
厚切りベーコンや焼きサバ、食べたいようでそうでもないかなー。
悩んでる間にもう一回『すり身汁』に並んじゃおう。
なんたって100円だからね(笑)
モアイ君にも会社の人にも「2杯目」と笑われちゃった
『大漁唄込』では保存会の方が櫂を鳴らしながら素敵な民謡を披露してくれました。
カッコいいなぁ。
その他、太鼓のパフォーマンスもありました。
古典落語『目黒のさんま』を題材に、ほんの洒落から始まったという『目黒のさんま祭り』。
20年前に気仙沼から目黒の三田地区に「さんまをふるまわせてください!」と押しかけたのが始まりなんだって。
その後目黒区と気仙沼市は友好都市になり、このお祭りを20年にわたって続けているんだって。
けれど20年の間には気仙沼にもいろいろあって、さんまが獲れずに開催が危ぶまれたことや、東日本大震災もありました。
震災の時には目黒区の皆さんにとても力づけられたと気仙沼の方は言い、このお祭りのファンの方からもたくさんの応援があったそう。
そんないきさつを並んでいる間に配布された冊子で読んでいたら、なんだかジーンとして、このさんま祭りが今ではとても意味のあることなんだと知りました。
この時期、1尾130円も出せばスーパーで手に入るさんまになんで何時間も並ぶのー?とTV NEWSを見ているワタシは思っていました。
今年だってモアイ君のご縁がなければきっと同じに思っていたはず。
けれど気仙沼の方は毎年水揚げのプレッシャーと闘い、「釣れた!間に合った!」と大喜びして寝ずの東京を目指すのです。
5,000尾ものさんまを笑顔で無償提供してくれるのです。
すごいなぁ。
その郷土の誇りと友好の気持ち。
人と人のつながりってお金じゃないんだね。
焼く人がゴーグルで目をガードをするように、モクモクの煙が目にしみて本当に痛かった。
ベンチに一緒に座った隣のお姉さんと「目が痛いねー」と言い合ったほど。
でも、ワタシの目に涙が浮かんだのは煙のせいだけじゃないな。
冗談抜きでさんまを食べながらグスンと涙が出ちゃったよ。
1人泣きながらありがたくいただいたそのさんまは、おうちで焼いた130円のそれとは全然重みが違ったのよね。
来年もご縁があったらまた来たい。
「脂がのってて美味しい~さんま最高!」と言いながら笑顔で平らげるのが気仙沼の心意気に対するお礼なんだなー、きっと
カボスをお土産で買いました。
そして、20周年記念で初めて作ったというスタッフTシャツ。
初参加でもらえたのはラッキーだったね
気仙沼市の皆様、0泊3日の強行軍お疲れさまでした!
気仙沼の…宮城県の益々の復興をお祈りしています。
そして、ごちそうさまでしたー!
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