いつもココロに太陽を!

~ Me Hana O Ka La I Ka Pu'uwai ~

アクシデントは育つチャンス

2015-02-01 | Hula
花小金井の老人ホームへ、お芝居を引っさげてボランティアに行きました。
ロビーには≪1月31日に劇団来る!≫と告知のポスターも作られています。

入口を入るとすぐスタッフさんが「全員マスク着用でご移動願います」と、新品のマスクをみんなに手渡ししてくださいました。
フルーの大流行の季節、この念の入れ方が大事よね。
私は大賛成!



前回と同じ系列のホームなので、こちらも空間的ゆとりが十分なんだねー。



ゆったりとした余白の多い室内。
自由に歩くご老人たち。

車椅子の方も多いけど、ご自分の足で歩ける健常な方もたくさんいて、ここを終の棲家と決めて入っていらしたのね
お値段を調べたら、私たち夫婦には絶対に入れないお値段でしたが

最初にいただくのはこちらの昼食。
壁に貼られたWeekly Menuをさっき見たので、今日がシーフードカレーだってことはわかってたよ~ん



ちなみに来週の土曜日は「しっぽくうどん」と「エビのあんかけナンチャラ」。
朝食は和・洋チョイスもできる。
なーんて美味しそうなお食事が毎日供されるんでしょう
そりゃ、同じ老後なら羨ましいですがな。

でも何度も言うけど(笑)、持ち家を処分しても我が家には入れないお値段なんだよ
宝くじが当たらない限り…

シーフードカレーは魚介ダシが濃く、スープはさっぱり。
サラダのきゅうりは軽~くもんであってお口に優しいの。
フルーツヨーグルトははっきりと甘くて、フルーツがごろり
ここでは若者に属す私にも、理想的なお味でした。



今日の女性控室は大浴場になりました。
脱衣所を黄門様ご一行にお渡しし、フラチームは浴室内に。



大きな浴槽もあり、



銘々の鏡もついています。
ここは、自力で入浴できる方のためのお風呂なんだね。

床がカラリ床で、濡れているところがないほど乾いているのも素晴らしい。
床暖房も効いて暖かく、



着替えに時間のかからない私たちは、車座になってお話もできました。

その頃脱衣所では



黄門様(今回は女性です)、パソドのお姉さまたち、歌謡ショーのケイコさん、皆さんお着替えが進んでいましたよ。

そしてこんなコントコーナーも。



さっきから「ダメよーダメダメ」を練習しているのはハルミちゃん。
(馴れ馴れしく呼んでいるけど、初対面です

白い紙に小さくプリントされた未亡人朱美ちゃんの写真を元に、なんとなく似せてメイクをしていたのだけど、
「なんか…なんか違いますねー。なんか足りない気がしますよー」とフラチームが気づき、
「朱美ちゃんってほくろがあったっけ?」
(そのプリントは小さすぎて細部が見えてなかった)

「はい!あっちゃん画像検索!

一番若いあっちゃんがマッハの速さで朱美ちゃんの画像を割り出し、右目の下のほくろも無事私が描いてあげ、前髪ももっと短くしましょうとヅラをずらしてもあげられました



脱衣所にあったこのシンク、排水までのラインがすごく滑らかで、とっても素敵ー
こんなきれいな洗面が欲しいなぁ。



春日局さまのかぶるカツラ(15,000円って書いてあった)



助さんの持つつづら?

小道具が本格的で中身はコメディ、フラも小平市の磯貝さんも出てくる不思議な演目、喜んでもらえるといいなぁ。

…とここで私の携帯のバッテリーがDeadになってしまい、ここから先のお写真がありません。
悪代官も撮りたかったよー

  

お芝居は順調に進み、もうそろそろフラの出番だ。
舞台袖に待機し、トモコさんの長セリフが終わったら私たちだねと思ったら、なんと、座長さんがページを1ページ分飛ばし、「じゃー『腰ミノの舞』から行ってみよー!」とやっちゃった。

『腰ミノの舞』とは私たちのこと。

あらら?トモコさん、あんなに長セリフを覚えたのに、ご披露できずに終わっちゃうの?
でも呼ばれた以上行くしかない。
トモコさんを袖で追い抜きながら「トモコさん飛ばされたね!」と私は言ったの。
トモコさんも「飛ばされたーっ!」と言ってる

舞台には何でもない振りをして笑顔で出て、イントロの流れるのを待ちました。

今日の私は1曲目が前列右。(全部で6人)
2曲目が前後入れ替わっての後列右。

ダララララーンと流れたイントロは前回踊った『Blue Hawaii』。
顔は前を向き、歯を見せたまま私が「違う!」と言ったの。
曲が違うよ~
それを聞いて後列中央のクミちゃんが後ろにいる音響さんに「違います!」と言いました。

後ろでは「ない!ない!」と焦っている音響さんの声。
ダンサーはこういう時、たとえイントロまでしばらく待とうがしっかりと笑顔を前に向けて、「え?」なんてふり向いたりしちゃいけないんだ。
けど、いつまでたっても「ない!ない!」と聞こえてくる。

私の後ろにいたヨーコちゃんに、顔は前を向いたまま「ヨーコちゃん行って来て!」と頼み、ヨーコちゃんが音響さんのパソコンのところまで舞台を抜けたの。

今回踊る曲のタイトルを何度も言うヨーコちゃんの声。
ない!ない!の音響さんの声。

そこに、機転を利かせた浪人役の男優さんが出てきて、「えー、いろいろもめているようですが、実はこの前…」と時節柄のお話を始めて、観客のおじいちゃんおばあちゃんの気をそっちにそらしてくれたのね。

今しかない!とワタシも列を抜け、音響さんの元へ。
結局、おととい取り込んだはずの2曲はみつからず、踊るなら前回と同じ2曲しかない。

そうこうしている間に、さっき飛ばされたトモコさんの長セリフが始まり、フラチームは何もなかったようにいったん袖に引っ込んだの。

トモコさんが終わったら即行かなきゃならない。
踊るのは『Blue Hawaii』ともう1曲。

顔が固まるメンバーたち。
この顔を見てしまったら、もうこの時点で私が前列中央を務めなくてはならないも同然。
レイちゃんに「レイちゃん、左できる?」
レイちゃんは「…がんばる!」と答えました。

ヨーコちゃんに「ヨーコちゃん、右前できる?」
「できない」と答えるヨーコちゃんに「やるしかないんだよ」と私、すごい喝を入れました。

ヨーコちゃんは腹を決め、「頑張る!けど、半歩だけ下がってもいい?」と聞くの(笑)
それは、半歩下がったその眼のハシで、なんとなく私を感じながら踊りたいということなんだよね。

仕方ない。
私だってチョーやばいけど、ヤバイそぶりを見せるのは悔しいし、集中すれば思い出せるはず。
この前一度踊っているんだもの。
「いいよ、半歩後ろでいいから頑張って!」

もう私は絶対に間違えられない。
私こけたらみなこけたで、ボロボロになるわけにはいかないぞ。
結局、私はとても平常心の、さらにいつにない集中っぷりで、笑顔もしっかり出しながら踊ることができました。
いや、「う~次は右手?左手?」と迷いながら、イチかバチかで出した手がことごとく当たったといった方が正しいかな。

フラは1番を2回・2番を2回といった繰り返しがあることも多く、例えば1番の1回目でどこかを間違っても、2回目にとりかえせる…みたいな感じがあるのね。

レイちゃんがブルーハワイの1回目をみんなと左右逆の手でやってしまったのにも気づいた。
だから2回目のその箇所が近づいた時、口角を上げたその口元は変わらないようにしたまま「レイちゃん、左からだよー」と教えてあげることもできた。
レイちゃんも口角を上げたまま「アラッソヨー」と答えていたっけ(笑)

あぁ
なんと楽しいアクシデント。

せっかく用意した衣装と曲が全然合わず、せっかく練習した軽快な曲がご披露できなかったのは残念だったけど、このハプニングこそが非日常よねぇ。
ゾクゾクしちゃうわ。

その昔、ハワイでハラウのショーが毎週行われていて、観光客が足を止める中、屋外ステージで踊る時、
それこそ直前の舞台袖で、クムに「この曲は踊れる?」「I can't」「じゃこれは?」「I can't」と何曲もNGを出し
「じゃー何なら踊れるのよ何を習ってきたのよ」とすごく怒られたことがありました。
だから、ステージなんて出たくねえんだよぅ…曲は前の晩に言ってくれよぅ…と心の中では思いつつ、そうも言えず、ガチガチになったことが。

それからしばらくハワイに行くのが怖くなり、行ってもできるならクムにみつかりたくないと逃げ回りたい心境だったの。

どうやら、あのクムのバチコーーーンの怒りで、心臓に毛が生えました。
もう、どんなに怪しくても「I can't」とは言っちゃいけない。
それがソロなら自分で振りを適当に作ったとしても(笑)踊らなくちゃいけないと腹が決まったんだなぁ。

今回は不幸中の幸いにもこの前踊っている曲だし、集中したら思い出すことができました。
そして、後列の3人はともかく、ヨーコちゃんの心臓に産毛ぐらいは植え込むことができたんじゃないでしょうか(笑)

ターンのタイミングがみんなより遅れたの、一人だけ違う手をしちゃったのとみんな反省していたけど、大丈夫大丈夫。
おばあちゃんたち、きっと見逃してくださるわ(笑)

そして、そんなアクシデントの後のセリフでも3人とも堂々と言えて、やっぱり本番の持つパワーってスゴイって思ったよ。

  

舞台も無事終わり、居酒屋さんでの打ち上げの時(劇団員さんたちはこれが楽しいみたい)、1人ずつ立ってご挨拶する時間があったのだけど、
音響さんがフラチームに平謝りしてくださって…。
フラチーム代表で私の番になった時
「今日は思いがけないアクシデントで驚きましたが、こういう時に臨機応変に対応できるように普段の練習が必要なんだと、気づくことができました。
もっと瞬発力を養いたいなと感じましたし、とても貴重な勉強をさせていただけたと思います。ありがとうございました」
とお礼が言えました。

ゾクゾクしたわーとは言わなかったけど(笑)



真ん中のちいちゃいおばあちゃん、わかる?
この方は、このホームに入居されてるおばあちゃんなの。
(たぶんかなりのお歳です)

これまで劇団では、可能ならばスタッフさんにチョイ役でお芝居に出てもらっていたんだって。
やっぱり知っている顔が劇中にいると、入居者様が喜ぶのよね。

それを今回初の試みで、入居者の中から1人『春日局』の役で出てもらったの。
(たぶんスタッフさんが明るいおばあちゃんを他薦したのかな)

このおばあちゃん、京都からこちらに入所したらしく、楽屋ではちゃきちゃきの関西弁で自分でノリツッコミをされちゃうくらい面白いの。
「緊張するわぁ」「何言うてまんねんて、言うたろかいな?」なんて、誰ともなくおしゃべりしているんだよ。
ケラケラ笑いながら。

それがいざ出番になったら、顔がこわばり、お付き役の男性と一緒にカチカチで舞台に出ていった。

舞台でもセリフはなく、お局様として座っていてくれればいいの。
お付きの人が「ではお局様、民に見つかる前に帰りましょう」と言ったら、手を引かれて退場するだけ。
ところが、最後に「さらばじゃ」と客席に向かって言ったんだよ。

客席のおばあちゃんたちは手をたたいて大笑い。

すごいなぁ

知らない人同士が同居するこんなコミュニティーの中で、陽気な性格を発揮できるなんて、本当にうらやましい。
そして、閉幕後に少女のように高揚されていたのもうれしかった。


あー、長くなりました

現実に戻ればたまった仕事が恐ろしいけど、今日は一日有意義!
最後に握手したお年寄りたちは、リアクションこそ薄かったのに「面白かったわ」「楽しかったよ~」と言ってくださる。
ホントウに?
きっと、本当なんでしょう。
明日には忘れちゃうようなことでも、こういうイベントを積み重ねることがスタッフさんの命題らしいから、
その一翼を担えたんだとしたら、それは有意義なことなのです。