学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

月について

2009-11-30 17:15:28 | その他
ええ、月は綺麗ですね。満月、半月はもとより、雲のヴェールを通して見るのもさらなり。夜空を眺めていましたら、月について何か書きたくなりましたので、筆を取って、ひとつふたつ。

月とあるものを組み合わせてみると、とても面白い趣向が生まれます。月と松で男性的な威厳のイメージ。月とイチョウで女性の華麗な美しさのイメージ、月と桜で妖艶、月と薄で儚さなど、これらの趣向は、あくまで私の個人的なイメージですけれども、こうした月の楽しみ方もありますね。

日本の美術において、月がいつ頃描かれるようになったのか。あくまで私の持っている画集からではありますが、13世紀頃の曼荼羅から多く見られるようです。これ以降は、蒔絵、屏風、浮世絵、あるいは戦国武将の兜の前立てなどにもデザインされて幅広く登場します。

文芸では、いわずもがな『竹取物語』(10世紀頃)がありますね。『枕草子』の「月のころはさらなり」の一文もありますし、『更級日記』にも月に対する一文が見られます。(おそらく『源氏物語』にもあるのでしょう)

私が生まれるずっと昔の人たちも、今と変わらぬ月を眺めていたと思うと、何だか不思議な心持がします。現在と過去をつなぐような月。改めて良いものだな、と思います。今日はそんな月について思ったことを書いてみました。
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