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学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

思い出の仙台ジュンク堂

2022-02-08 17:58:00 | その他
講談社文芸文庫の中村真一郎『雲の行き来』の表紙を眺めていたら、昔のことがふいに思い出されました。

1997年のある日の夕方。まだ宮城県に住んでいた私は、母と2人で地元のニュースを見ながら、夕食をとっていました。そこで流れてきたのが仙台駅前に大型書店出店のニュース。仙台随一の取扱本を要し、書店内には座って本が読めるように椅子も設置、しかもちょっとしたカフェまであるという!本好きな母と私は歓喜したのでした(笑)それがイービーンズに開業したジュンク堂です。

それからというもの、私はずいぶんジュンク堂にお世話になりました。品揃えは素晴らしかったし、各棚に専門の書店員が居て、質問があるといろいろと答えてくれるのです。上のフロアは洋書と岩波書店を取り扱っていて、英語の教材はここでずいぶん買いました。

店内でも特に輝いていたのが、講談社文芸文庫の棚。この文庫は一冊ごとに表紙の色が違うので、集合体になるととてもカラフルなのです。ジュンク堂でも一際目立ち、そこだけ別にスポットが当たっているのではないかと思うほどきらびやかだったように記憶しています。あまりにもそのフロアが好きすぎて、いつしか、友達との待ち合わせ場所は講談社文芸文庫の棚の前に!(笑)

それから、私が仙台を離れてからも、帰省のたびにジュンク堂を利用し、前と変わらない店内の雰囲気に安心したものです。しかし、東日本大震災後はジュンク堂の様子がよくわからず、落ち着いた時にはすでにジュンク堂はそこから撤退していたのでした。

ジュンク堂開業に一緒になって喜んだ母もすでに亡く、書店に通い詰めた日々がずいぶん懐かしく思われます。私の思い出になってくれたジュンク堂に感謝をしたくて、今日はこのブログを書きました。記憶を蘇らせてくれた『雲の行き来』にも感謝ですね。

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蝋梅を見に

2022-01-30 09:25:00 | その他
先日ブログで書いた3つの愉楽のうち、散歩を実践していたら、蝋梅が花を咲かせているを見かけました。

蝋梅は、名前の通り、蝋細工のような黄色の小さい花です。それが可愛らしいですし、近くに寄ると、微かに甘い香りもして、心地が良くなります。寒い時期、まだ周りの花も眠っている中で、この蝋梅を見ると、これからの暖かい季節の到来が待ち遠しくなります。

今日はこれから論文を書いたり、読書をする予定です。いま、読書は今月に岩波新書から出版された須田努さんの『幕末社会』を読んでいますが、面白くてたまらない。今後、この本の感想もご紹介できたら、と考えています。



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3つの愉楽

2022-01-27 08:45:00 | その他
休日の今日、たまっていた新聞を読んでいると、よい記事を見つけました。

日経新聞1月23日の文化欄。歴史学者の樺山紘一さんが、3つの愉楽について書いています。コロナ禍で巣ごもり生活が続くけれど、しかし…で始まり、散歩と遊学、酔夢の楽しさについて、それぞれジャン•ジャック•ルソー、ゲーテ、頼山陽のエピソードからひいて論じています。例えば、散歩は気分次第で長引いたり、短くなったりするもの、鬱々とした気分も吹き飛び、血流が改善して空腹や喉の渇きも覚える、そういえばルソーは…と続くのです。

文章のいたるところに、人生は楽しいものだ、という著者の考えがちらほらと見え、読んだ後の心地よい感じがたまりません。私もブログを書いている身として、こういう文章を書いてみたい。そんなよい記事に出会うことができて、朝から嬉しくなって、さっそくブログを書いてみた次第です(笑)
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私と民藝

2022-01-16 10:12:12 | その他
先日、新聞の訃報欄で、美術史家の水尾比呂志さんが91歳で亡くなられたことを知りました。私は水尾さんと直接の面識はありませんが、水尾さんが編者として担当された岩波文庫の『美の法門』、『柳宗悦民藝紀行』などはよく読みましたし、そのなかの優しく、わかりやすい言葉による解説はとても勉強になりました。心からお悔やみ申し上げます。

若い時分、民藝のある暮らし、というライフスタイルにとても憧れました。柳宗悦の『手仕事の日本』を片手に、ずいぶん色々なところへ出かけたものです。道具は実際に使ってこそ意味がある、と思い、焼物なら、今でも私の茶碗は益子焼、急須は笠間焼、湯呑は備前焼、酒徳利(このごろ酒を飲まないので出番は限られますが)は平清水焼を大事に使っています。また、実際の着物は買えないので、小千谷縮のブックカバーなども買い求めました。私のあこがれは、今から10年ほど前に東京都美術館で見た「アーツ&クラフツ展」で再現されていた三國荘みたいな家。ああいう感じの家が欲しいなあ、と思いましたが、現実的な問題でそうそうに諦めました(笑)

現在、「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」展を東京国立近代美術館で開催しています。そのこともあってか、昨年は新日曜美術館で民藝特集、別冊太陽や芸術新潮でも民藝が取り上げられていましたね。100年前の美術の動きが、未だに息をしている。民藝の影響力を改めて強く感じました。コロナが落ち着いたら、また色々なところへ出かけてみたいものです。
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投資家は現代アートがお好き?

2022-01-12 20:56:12 | その他
今年の1月3日だったでしょうか。日経新聞の記事に、今の若い投資家は現代アートに関心が高い云々の記事が載っていました。

私の周りには「若い投資家」がいないので、どの程度のものかは実感として感じられないのですが、少なくとも日本各地で開催されている芸術祭においては、若い世代の姿を見かけることが多く、それを考えると、さもありなんという気がしています。「若い投資家」はどういう理由があって、現代アートに関心を寄せているのかはわかりませんが、作品そのものに惹かれるため、心が癒されるため、インスピレーションを受けるため、自室やオフィスを飾るため、あるいは投機のためなど、いろいろな目的があるのでしょう。いずれにしろ、美術に関わる仕事をしている私にとって、美術に関心を持つ方が増えてきたことは嬉しい限りです。

思い起こせば、私が学生のころ、現代アートといえば一部の人が好きなだけで、大方は関心のない人が多かった覚えがあります。実際、私が学芸員になったばかりの頃も、現代アートはわけがわからなくて嫌いだ、とおっしゃるお客様もいました。それを思えば、ずいぶん時代は変わったものです。やはり各地の美術館の活動はもちろん、芸術祭の広まりといった社会的な背景が大きいのかもしれませんね。次の段階として、「若い投資家」だけでなく、一般の方々も現代アートを家やオフィスのなかで身近に楽しめる時代が来ることを願っています。
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勝山城跡を見る

2022-01-09 21:09:22 | その他
年初、気持ちをリフレッシュさせたくて、栃木県はさくら市の勝山城跡に行ってきました。過去に何度か来たことのある城跡ですが、何度来てもいいところです。家族には理解されないけれど(笑)

勝山城跡は、戦国時代に宇都宮氏の家臣芳賀氏が治めていたところ。鬼怒川の東に位置していて、現在は公園としてきれいに整備されています。この城跡が好きな理由は、空堀の形が良くわかること。復元された堀とはいえ、当時の雰囲気をよく伝えるもので、とてもよし。また、この公園にはさまざまな野鳥が集まるようで、以前はキツツキもみかけたことがありました。鳥のさえずりを聞きながら、公園を散歩できるなんて、とても贅沢ですよね。さらに、城から北西を見れば、鬼怒川からはるか日光連山も見えます。こんな要素がありますから、きっと城好きでなくとも、気持ちがリフレッシュできるはず!…と確信しています(笑)

1月の澄んだ空気を体のなかに入れ、心身ともにリフレッシュできました!










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『劇場版 呪術廻戦 0』を見る

2022-01-06 21:03:28 | その他
年初、久しぶりに映画を見に出かけました。映画は『劇場版 呪術廻戦 0』。今、話題になっているアニメーションのひとつです。

主人公の乙骨(おつこつ)は、子供のときに親しかった女の子を事故で亡くし、それを機に女の子の強い呪いがかかってしまう。その解放のため、学校に入り、仲間たちと研鑽しつつ、他の呪霊を祓う役割を担うのだが、乙骨の呪いを利用しようと目を付けた相手がいて…というのがストーリー。すでに原作は漫画で読んでいましたが、それでも面白い映画で大満足でした。話自体はおどろおどろしいのですが、ところどころにユーモアが混じるので、話が重たくならずに良し。画面も全体的に綺麗でしたが、秀逸はやはり戦闘シーンで、とにかくキャラが動く。私の隣に座っていた小学生らしい男の子は、あまりの凄さに興奮したのか、クライマックスの戦闘シーンでは身を乗り出して映画を見ていました(笑)

たまには映画もいいものですね。年初から楽しく過ごすことができました。
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謹賀新年

2022-01-03 17:56:10 | その他
すでに年が明けて、3日目となりますが、明けましておめでとうございます。今年のお正月も家族みんなでおせちを食べ、きちんと初詣を済ませ、テレビで箱根駅伝を見て、のんびりと過ごしました。いつもの変わらぬお正月に感謝です。

昨年はコロナ禍のもと、なかなか美術館に足を運ぶことができなかったので、今年こそは色々なところへ行って見たい。そこで、私が行って見たい展覧会をいくつかピックアップしてみました。

○上野リチ・ウィーンからきたデザイン・ファンタジー(京都国立近代美術館、三菱一号館美術館)
○没後50年 鏑木清方展(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館)
○空也上人と六波羅蜜寺(東京国立博物館)
○東北へのまなざし(岩手県立美術館、福島県立美術館、東京ステーションギャラリー)
※順不同

このあたりでしょうか。このなかでも、ぜひ見たいのが「空也上人…」に展示予定の《伝平清盛座像》(鎌倉時代)。鎌倉彫刻のリアリズムで制作された伝平清盛の姿がもう怪しすぎてたまらない感じです(笑)まだ写真で見ただけなのですが、彫刻の持つチカラをすごく感じる!

美術館に行くことができるよう、どうかコロナが落ち着きますように、そして、私の仕事も落ち着きますように(笑)

それでは、今年もよろしくお願いいたします。
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展覧会の絵葉書

2021-12-12 18:10:55 | その他
美術館の仕事を始めて間もない頃、勉強のためにと展覧会に行くたびにカタログを買っていました。帰りの電車の中で、あるいは帰宅してからカタログを開くと、まだ絵を見たときの印象が生々しくて、カタログの中から展覧会が立ち上がってくるかのような素敵な感覚を覚えたものです。

一方で、カタログは一冊のお値段がなかなかのものだし、大きくて重いものが多いので部屋が占領される(家族から批判を受ける)ことが多いのが悩み。そこで、最近は気になる作品があれば、出品目録に印をつけ、その絵がプリントされた絵葉書をグッズ売り場で買い、それを記録として残すようにしています。そうすれば格安だし、場所は取らないし(家族に批判を受けなくて済む)、葉書ケースにでもまとめて入れて置けば1つのコレクションになる。

しかし、もちろん、絵葉書になっていない作品もありますね。そういうときは、ネットで画像を探して保存するか、頭のなかに刷り込ませるしかない。長短所ともにあり、といったところでしょうか。私なりの絵葉書活用術のお話しでした。
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美しいものを見たい

2021-11-29 20:53:53 | その他
このところ、新型コロナウイルス感染症がだいぶ落ち着き、用心はしながらであるものの、ようやく戸外へ出やすくなりました。そこで美術館へ、と言いたいところですが、休日も体調が悪かったり、色々な雑用があったりで、なかなか行くことができません。

そういうわけで、美しいものを見ることに飢えている私なのですが、ふと周りに目を向ければ、秋が深まって紅葉の美しい季節となりました。出勤時やお昼時に垣根から目にする庭園の真っ赤なもみじ、天高く伸びた黄色い銀杏。また、遠くに目を向ければ、連山の嶺に雪が降りたるを見るもまたおかし。身近なところに美しいものがあることに気づきました。

とはいえ、美術館にもやはり行きたいもの。今は柿の木を見ると、斎藤清の作品が思い出されて、無性に福島や会津へ行きたくなる。少しずつ、日常を取り戻して、年内にはぜひ美術館へ出掛けてみたいです!
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