諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

小癒見(こべしみ)はかく語りき

2008-07-13 23:02:18 | 日記・エッセイ・コラム

Ca390070  1.   「 上げ底はよろしからず!! 」

 狐 と 面

 狐が彫物師の仕事場に入り込んで、なかの物をクンクン嗅ぎまるうち、悲劇役者の面を見つけ、手にとってにて言うには、

「  何だこの頭は、脳味噌がないぞ  」

 押し出しは堂々としているが心はからっきし、と言う人にこの話はぴったりだ。( ※注 モルモーとは   我が国で「 ももんがあ 」 のように、ギリシャの乳母は「モルモーがくるぞ」と言って、幼子を脅かした。女性のお化けである。)

     「 イソップ寓話集 」 (中務 哲郎 訳) 岩波文庫 より                              

  ★ 数年前から、 .渡辺淳一先生の本を、書店の平づみコーナーで、よく見かける。、「 失楽園  」は、映画化までされて話題をさらった。更に、「愛の流刑地」は、「アイ・ルケ 」なんて、流行語にもなったほどである。 実生活の方も、お盛んなようで、「噂・真」に女優との道行きの場面を盗撮されている。こうしたことは、プライベートなことで、何をしようと文句を附ける積りは無い。「 鈍感力 」は、其れなりに、読者を獲得してベスト・セラー入りしている様で、文筆家冥利尽きるだろう。続いて、「 熟年革命 」を出されているが、小説をはなれ、エッセーに移った此の辺から、少々おかしいのだ。

  ★ 同書のまえがきで、渡辺先生は、次のような誓いを述べて居られる。

    「 プラチナ世代の誓い 」 (☆ わたしが提唱したいのは、プラチナ世代という呼び方である。 ☆ 実際、プラチナならゴールドほど派手派手ではないし、シルバーほど地味ではない。ケバケバしくもないが、底光りのする世代。・・・略して引用・・・ー) 次に、誓いのスローガンは、以下の通りである。

  われわれは世間体にこだわらず  常に好奇心いっぱいに  好きなものを追いかけ  相手と自分を誉めて  お洒落で素敵な   ワルになることを誓います

  「 年甲斐のない人 」になって欲しい。  ★ この「 誓い 」は、新刊書の帯になっていて、思わず手にして、買ってみようか、と言う気になった。「誓い」の言葉は、確かに、人の気を惹く。   最近、私も、退職以来、「 年甲斐のない人 」だと、家族に言われているので、この限りでは同意する。しかし、問題は、「プラチナ世代」 と言う言葉である。これは、はっきり言って、渡辺先生 の造語ではない。私が、目にしたのは、唐木 一 著 「 かけひきの科学 」ー 情報をいかに使うか ー の中である。この本は、初版が、1997年4月2日であるから、先生に、先立つこと、11年である。これは、明らかに剽窃である。この「プラチナ世代」と言う、造語以上の表現力を持った言葉を、創作出来ず、敢えて使うのであれば、断るべきである。引用する事は、少しも恥ずべきな行為ではないのは、先刻、ご承知だろう。こういっては何だが、「プラチナ世代」は、先生自身が、見つけた言葉ではない。

  ★ 此処からは、私の憶測、もしくは創作ある。この「 熟年革命 」 は、渡辺先生の発案ではない。ある日、編集者が尋ねてくる。「先生、どうですか、最近、熟年も元気なさそうだし、ここらで、何か元気の出るメッセージを、ひとつ書いて頂けませんかね。」 「・・・・・・・・」 「 『プラチナ世代』と言う言葉があるんですが・・。」 編集者は、自分で拾ってきた言葉を説明する。「・・・・・・・・」 暫しの沈黙。渡辺先生が、「プラチナ世代の誓い」を着想するのは、そう時間は要らないだろう。この「誓い」は、結構、いけず図しいところがある編集者との茶飲み話で、出来上がったかもしれない。「アア、イイですねー。先生それ行きましょう。」

  ★  この本は、上げ底である。帯に書かれた「誓い」は、スーパーの売り出しPOPと同じである。中身は、急いで集めたセコハンな情報で、そんな事今更・・・と言ったもの。1200円は、高い買い物。

  ★  本を買わなかった。暫らくしてから、町の図書館に行くと、貸し出し中で、30番待ちであった。何人の人が、「 何だこの本は、   中身が無いぞ。 」 と言ったかナ。

    


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