富山の白えび
富山は、全国にその名を轟かす素晴らしい海産品の宝庫です。
わたしは、なかでも富山湾で獲れる「白えび」が一番好きなんです。
まるで宝石の様に繊細で気品のある味覚は、他の海老類では及ばない独壇場。
四月頃から秋口まで漁獲があるけど、初物が出回る春先が特に美味であると言われてます。
白えび ( シラエビ, 白蝦 )
- Pasiphaea japonica Omori,1976 -
毎年、五月の連休前後に、うちの周辺にも少ないですが流通があり、毎年、その到着を心待ちにしています。
かなり高価な海老である上に、味わうには避けて通れない殻剥きという大変な労力を要する作業が待っています。
それであっても、どうしても味わいたいのが「白えび」なんです。
美味しい物を味わうには、苦労は厭わないわたしですが、覚悟を決めて白えびをゲットしました。
小さな白えびを剥き身にするには、手作業で丹念に時間をかけるしかありません。
とても小さい上に、殻と身の身離れの悪さが災いして、慎重な作業が必要です。
手慣れた寿司職人でも、小さな軍艦の寿司ネタ1貫(2個)に乗せる分量で、30分とか40分かかると言われてます。
とんでもない時間を費やして味わうのが、白えびの白えびたる由縁。
とはいえ辛い作業すぎますよね......
鶲さんは、頑張りましたよ。
手先が不器用である上に、かなりアバウトな性格を克服して、しこしこ丁寧に、慎重に一心不乱に殻剥きに精をだしたわ。
キッチンで立って作業では無く、机に向かい椅子に腰かけ、手桶で手を湿らせながら、一尾、そして一尾と、慎重に.....。
出来上がった、白えびの剥身お刺身の小さな塊。
丁度、軍艦二個分くらいの分量でしょうか。
これに要した時間は、なんと、50分 !
途中で癇癪を起して、それまで造ったものをガブリと食べてしまいたい衝動を抑えながら頑張ったわ。
ネットをサーチしてみると、皆さん頑張ってますね~。
三時間かかったとか、半日作業なんて人もいて、感心させられます。
ほんとうに美味しい白えびを味わうには、時間をかける以外無いんですね。。
殻ごと口に含んで、ぐちょぐちょ噛んで、ペッ! と殻を吐き出すような食べ方では白えびの魅力の1/10も味わえないのです。
白えびを入手したら、もう、あとは、一心不乱に剥き続ける事あるのみであります !
取り敢えず小皿に盛り写真撮影。
その後、直ぐに食べるのが惜しくて、暫し、じっと見とれていました。
そして、正座して柏手を打って平伏。
そんな儀式のあと、聖なる白えびは、厳かにわたしの口の中に収まったのであります。
ちょっと大袈裟だけど、そんな心境で味わいました。
それはもう、美味しい事、美味しい事 !
わたしの文章力では、伝えきれません。
今年も、白えびを堪能できて、とっても幸せでした。
御馳走様。m(_ _)m