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改正公共交通活性化再生法に関連する道路運送法施行規則関係の改正内容

2020-10-30 | 書記長社労士 公共交通

 「持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律」が、2020年5月27日に成立した。
この法律の施行に伴い、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律施行規則、道路運送法施行規則、旅客自動車運送事業運輸規則、自動車道事業規則及び旅客自動車運送事業等報告規則、国土交通省関係流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律施行規則及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に関する省令についても、改正される。
そのうち、道路運送法施行規則について、先日、職場から問い合わせもあったので、ここにメモしておこう。

2.道路運送法施行規則関係
(1)地域公共交通会議の協議対象の拡大(運送法施行規則第9条の2関係)
 地域公共交通会議における協議の対象を現行の「一般乗合旅客自動車運送事業」から「一般旅客自動車運送事業」に拡大し、また、自家用有償旅客運送についても種別を問わず協議対象にするため、「市町村運営有償運送」を「自家用有償旅客運送」に改めることとする。

⇒これまでは、バス・デマンドバス(デマンドタクシー)・乗合タクシーが対象だったが、通常の個別輸送であるタクシーも対象として拡大された。
またNPO等が主体となる自家用有償旅客運送も対象となった。

(2)営業区域外旅客運送の禁止規定の例外(運送法施行規則第18条の2関係)
 改正法の施行に伴い、法第20条第2号の「地域の旅客輸送需要に応じた運送サービスの提供を確保することが困難な場合として国土交通省令で定める場合」として、下記の2つの場合を定めることとする。
・過疎地域その他の交通が著しく不便な地域において、当該地域の営業区域内の一般旅客自動車運送事業者では輸送が困難な場合(第1号)
・一時的な輸送需要量の増加に対し、当該地域の営業区域内の一般旅客自動車運送事業者では輸送需要への対応が困難な場合(第2号)


 第20条が以下の下線部部分について改正されることに伴い、「過疎地域その他の交通が著しく不便な地域」と「一時的な輸送需要量の増加」の場合には、例外的に「営業区域外旅客運送」を認めるということ。

(禁止行為)
第二十条 一般旅客自動車運送事業者は、発地及び着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送(路線を定めて行うものを除く。第二号において「営業区域外旅客運送」という。)をしてはならない。
ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一災害の場合その他緊急を要するとき。
二地域の旅客輸送需要に応じた運送サービスの提供を確保することが困難な場合として国土交通省令で定める場合において、地方公共団体、一般旅客自動車運送事業者、住民その他の国土交通省令で定める関係者間において当該地域における旅客輸送を確保するため営業区域外旅客運送が必要であることについて協議が調つた場合であつて、輸送の安全又は旅客の利便の確保に支障を及ぼすおそれがないと国土交通大臣が認めるとき。


(3)福祉有償運送(仮称)の対象の整理(運送法施行規則第49条関係)
 実情に合わせ、福祉有償運送(仮称)の対象の明確化を行うこととする。

(4)自家用有償旅客運送の種別の見直し(運送法施行規則第51条関係)
 現行では、自家用有償旅客運送の種別は実施主体及び運送目的に応じて3類型に整理されているところ、種別を見直し、運送目的に応じて下記の2類型に整理することとする。
① 交通空白地有償運送(仮称)
 市町村又はNPO法人等が主体となって、交通空白地において地域住民又は観光旅客等の運送を行うもの
② 福祉有償運送(仮称)
 市町村又はNPO法人等が主体となって、単独での公共交通機関の利用が困難である身体障害者等を対象に、原則、ドアtoドアの個別輸送を行うもの

⇒実施主体が市町村であるもの、NPO法人等であるものを、交通空白地、福祉の類型の中で一つにされ、運送の対象が法78条二項の改正により、これまで「一の市町村の区域内の住民」に限定されていたものが、「地域住民又は観光旅客その他の当該地域を来訪する者」と拡大されたことによる改正。

(有償運送)
第七十八条 自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
一 (略)
二 市町村(特別区を含む。)、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他国土交通省令で定める者が、次条の規定により地域住民又は観光旅客その他の当該地域を来訪する者の運送その他の国土交通省令で定める旅客の運送(以下「自家用有償旅客運送」という。)を行うとき。
三 (略)

(5)事業者協力型自家用有償旅客運送において、事業者が協力する事項(運送法施行規則第51条の2の2関係)
 法第79条の2第1項第5号で定める事業者協力型自家用有償旅客運送において一般旅客自動車運送事業者の協力を得て行う事項として国土交通省令で定める事項は、整備管理の体制の整備とする。

⇒地域の交通事業者が、自家用有償旅客運送に協力する形で運行する場合、交通事業者に協力して貰うのは、法による「運行管理の体制の整備」に加えて、「整備管理の体制の整備」となる。

(登録の申請)
第七十九条の二 前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一~四(略)
五 自家用有償旅客運送自動車の運行管理の体制の整備その他国土交通省令で定める事項について一般旅客自動車運送事業者の協力を得て行う運送(以下「事業者協力型自家用有償旅客運送」という。)を行おうとするときは、当該一般旅客自動車運送事業者の氏名又は名称及び住所
2 (略)

(6)登録簿の公表(運送法施行規則第51条の5関係)
 登録簿の縦覧方法を、事務所に備え置き、公衆の縦覧に供するとともに、インターネットの利用その他の方法により公表することとする。

(7)関係者間の協議が調つていないとき(運送法施行規則第51条の7関係)
法第79条の4第1項第5号の関係者間において協議が調つていないときとは、次に掲げるいずれにも該当するときとする。
① 自家用有償旅客運送について地域公共交通会議、協議会又は運営協議会において協議が調つていないとき
② 自家用有償旅客運送について改正後の地域公共交通活性化再生法第5条第1項に規定する地域公共交通計画に、実施主体、路線又は区域並びに自家用有償旅客運送の種別及び運送しようとする旅客の範囲が記載されていないとき

⇒その地域について、①一般旅客自動車運送事業者によることが困難、かつ、自家用有償旅客運送が、②地域における必要な旅客輸送を確保するため必要である、ということが、地域公共交通会議、協議会又は運営協議会において、共通認識とならなくてはならないが、なおかつ、地域公共交通計画に「実施主体、路線又は区域並びに自家用有償旅客運送の種別及び運送しようとする旅客の範囲」の記載も必要となる。
ただし、「協議が調う」とは必ずしも、全会一致である必要は無いと、最近、国交省が言い始めていることに注意が必要。

(登録の拒否)
第七十九条の四 国土交通大臣は、第七十九条の二の規定による登録の申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。
一~四(略)
五 申請に係る自家用有償旅客運送に関し、国土交通省令で定めるところにより、地方公共団体、一般旅客自動車運送事業者又はその組織する団体、住民その他の国土交通省令で定める関係者間において、一般旅客自動車運送事業者によることが困難であり、かつ、地域における必要な旅客輸送を確保するため必要であることについて協議が調つていないとき。
六(略)

(8)旅客の名簿の取り扱い(運送法施行規則第51条の25関係)
 自家用有償旅客運送の種別を見直し、運送目的に応じて2類型に整理し、また、改正法により、交通空白地有償運送(仮称)については、観光旅客を含む来訪者も運送対象となることから、地域住民以外の不特定多数の者の利用が見込まれることとなる。
以上のことから、交通空白地有償運送(仮称)については、その運送主体に対して旅客の名簿の作成・設置義務を課さないこととする。なお、市町村が実施主体の場合は福祉有償運送(仮称)の場合においても従来どおり名簿の作成・設置義務を課さないこととする。

⇒交通空白地有償運送については、ま、誰でも好きなように運んでいいよってこと、で、まさになし崩し的。

(9)通知の対象及び内容(運送法施行規則第60条の4及び5関係)
① 通知の対象
 法第91条の2に規定する通知制度の趣旨は、一般乗合旅客自動車運送事業者の新規参入申請について関係地方公共団体に通知し、地域での協議を促進することにあるため、通知の対象は、法第4条第1項の新規事業許可に加え、法第15条第1項の認可申請については路線の新設に係るもの(旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものを除く。)に限定することとする。
② 通知の内容
 通知の内容は申請者に関する事項及び路線図その他路線に関する事項とする。

⇒乗合バスの新規参入によって、それがクリームスキミング(いいとこ取り)のようなことになって、既存のバス事業者の経営を悪化させるようなこととなってはいけないことから、地方公共団体、一般乗合旅客自動車運送事業者、住民その他の関係者で構成される協議会において、地域公共交通利便増進実施計画への影響などを踏まえて議論をし、国へ意見を提出することになるが、その通知の内容を定めた。

(地方公共団体への通知)
第九十一条の二 国土交通大臣は、一般乗合旅客自動車運送事業(路線定期運行に係るものに限る。)について第四条第一項の許可又は第十五条第一項の認可の申請(路線の新設に係るものその他の国土交通省令で定めるものに限る。)があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該申請があつた旨を関係地方公共団体に通知するものとする。
2 前項の規定による通知を受けた関係地方公共団体は、第九条第四項又は第七十九条の四第一項第五号の協議を行う必要があると認めるときは、国土交通省令で定めるところにより、地方公共団体、一般乗合旅客自動車運送事業者、住民その他の国土交通省令で定める関係者で構成される協議会を開催し、及び当該通知に係る申請者に対し協議会への参加を要請することができる。


(10)その他
その他所要の規定の整備を行う。


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