日本の進路を考える

戦後70年が過ぎてもいまだに自立できない日本を考える。

「生物と無生物のあいだ」

2007年07月18日 | Weblog
ノーベル賞を得たワトソンとクリックは美貌のユダヤ人研究者ロザリン・フランクリンの命を懸けた研究成果を盗み見して構造を思いついたというくだりは、まるでミステリー小説である。彼女はDNAの最も基本的な構造をX線散乱から数学解析し、若くしてX線を浴びすぎて癌で倒れた。その成果を見て二人は,...と追い詰めてある。この話はいくつかの読み物でも紹介されているし、本人たちの弁解もあるらしい。
DNAの仕組み、DNA血液判定をする培養のしくみなど、優しく解説してあり、実に面白い。その大量培養をする仕組みを考案したキャリー・マリスはそのとき恋人を助手席に乗せて夜のデートドライブ中であった。突然のひらめきで彼は道路の横に乗り上げた、それでも彼女はすやすやと眠っていたとある。やはりノーベル賞をもらったその大量製造の原理の話も面白い。
我々の高校の教科書の細胞の解説にはDNAなどまだまったくなかったが、これらの研究は1940年代になされている。あの二重らせん構造が全ての遺伝子の記述であることは今や常識であるが、その仕組みの解説として実に読みやすい書き物だと思った。後半は読了後に再度紹介したい。