日銀法改正と徹底的金融緩和とする安倍発言に内外の投資家が動いているようだ。株価の反転上昇が週末も衰えずに終わった。久しぶりの事。持ち株一つを上がり過ぎとみて処分したが、それ以後も上に向かった。来週の動きがどうなるのか楽しみでもある。
総選挙後の首相は安部とする前提で、次期日銀総裁は小泉政権でメガバンクの不良債権退治で活躍した竹中慶応大教授の名前が挙がっている。所謂上潮派、高橋洋一などと共に金融緩和の不足を指摘し続けてきた人達である。FRBのいかにもタイミングの良い発言や金利調整に比べて何とも地味で出し惜しみとしか思えない日銀のやり方はアメリカからの指示で一緒になってドル安円高を演出しているとしか思えないこともしばしばであった。
国家財政の危機度を見ると、表面的には日本の方が悪いと宣伝されるが、この国の国債が依然として国内の預金でカバーされているのに比べて、米国は日本、中国を筆頭とする海外からの保有に支えられており、経済的関係を無視すると敵対する国に依存する国家財政というおかしな構図が奇妙に見える。日米とも格差の拡大と一部富裕層の富の占有が言われるが、日本の場合はまだまだ少数の外資系や後発企業のワンマン社長の年俸が前例のない高額と言うものを除くと、大企業でも仰天するような社長の年俸ではない。
問題は、何らかの意図で円安を放置し続けた政府日銀のおかげで、日本から工場が海外に移り、ブルーカラーの職業が消失していることだろう。そこにも政府としてのやるべきことは視点を変えるとあるのだ。ここでは農業の事を言いたい。すでに何度か書いてきたように農業はこの国の輸出産業として成り立つはずである。国内の人口減に反して世界でには人口は増加の一途であり、食糧不足が予測されて久しい。従って、穀物価格は高騰しかけている。
農水省と農協による収奪の構図を根底から見直す時であるにもかかわらず、前向きの動きはなく、TPP反対などいってみれば崩壊の序曲を既に通り越した高齢者による小規模農業を前提とする思考回路が固定化している。会社経営による農業の経営、そこに勤務するサラリーマン農業従事者、この仕組みのどこがおかしいのだろう?
この事例にも見える旧態依然とした権益の構図をただひたすら守ろうとする官庁とその所属団体、さらにその上に乗っかる国会議員という時代遅れの守旧派の動き。日本のあらゆる所にはびこるカビの様なものだろう。これらを掃除しない限り格差の是正も、昨日書いた原発の後始末もまともには改善されない気がする。
一方で、技術だけは先端を走ると自認するこの国の生産技術をひっくり返す動きがまたもアメリカから始まっていることにも注目しなければならない。プリンターによるものつくり。既にオバマは小学生に実習をさせていると報道されている。ものつくりの大革命とされるが、日本の得意分野が消滅する危機ともとれるものである。この話はまたの機会に。