日本の進路を考える

戦後70年が過ぎてもいまだに自立できない日本を考える。

外交

2005年08月31日 | Weblog
司馬遼太郎の、菜の花の沖は高田屋嘉平の起業物語。先日の、NHKそのとき歴史が動いた、ではロシアとの交戦をかろうじて避けたという紹介がなされていた。嘉平は北の海を航海中にロシア軍艦に襲われた。ここからゴローニン事件に巻き込まれてロシア軍に囚われ、リコルドとの交渉の末に自分と函館に囚われていたゴローニン双方を解放した逸話の部分であった。
若いリコルドは嘉平を信頼し、最後にゴローニン艦長を引き取って帰国する際にはウラーウラータイショウ(万歳大将)!と全艦で叫ばせたという。帰国後ロシア海軍で偉くなったリコルドは嘉平にお礼の手紙を書いたが、その手紙の着いた時にはすでに嘉平は世を去っていたと。
その後の現代の逸話がおもしろい。日経新聞にあるとき小さく記事が出た。
嘉平、ゴローニンとリコルドの子孫が淡路島で再開すると。さらに数日後、再開したと。報じた記者もきっと司馬遼太郎のファンだなと感じうれしかった。
これは事実である。ちなみに淡路島は極貧の嘉平の出身地。
この物語で、司馬遼太郎は嘉平の囚われの中での行動を通じて外交とは何かを語っていると思う。弱腰外交の皆さんに読んでいただきたいものだ。

帝国主義

2005年08月31日 | Weblog
単細胞ブッシュが小泉を誉めて、イラクも日本のような平和な民主主義の国にしたいと言ったそうだ。
塩野七生のローマ人の物語を読むと、帝国主義というのが何かというのが、ある程度意図的に、米国のやっていることを想起させるイメージで書いてある。
最初のローマ皇帝アウグスツス、すなわちオクタビアヌスはシーザーの後をついでローマ帝国を完成させた。物語は紀元前800年から始まり、敵味方たくさんの英雄像を地勢とともに語る、非常に面白い読み物である。当時のヨーロッパがフランス、イギリス、ドイツなどいかに未開の地であったか、引き比べてギリシャ文化を引き継ぎ繁栄したローマの先進性がどのくらいすごかったかよくわかる。ハンニバルのアルプス越えとイタリア内での会戦など、それこそ見てきたように書いてありおもしろい。アフリカ北岸、エジプトから現在のスペイン、ポルトガルを含めた地域を縦横に行き来する国々の物語であるが、ローマはそれら諸国を征服して、現在の米軍の駐留のようなことをやっている。さらに同盟国同士の内紛には調停役を勤め、反旗を翻すと武力で懲らしめている。同盟国もランクがあり、自治を任せる形のレベルもある。また東方のペルシアなどとの紛争がおきると自らの力で収めに行く。長い物語であるが、米国のやりたいことが良くわかる、お勧めである。

日本人の宗教観の良さ

2005年08月30日 | Weblog
さて、キリスト教、イスラム教などの一神教と日本人の話題がいくつか出ている。八百万(やおよろず)の神様がいますこの国では、キリストもマホメッドもワンオブゼムの神様であって、クリスマスも村の鎮守のお祝いと同じ感覚で盛大に祝う。このいい加減さは世界に輸出すべき最高の文化であろう。
軍事独裁国家の問題を除くと歴史的にも現時点でも世界の紛争の殆どが宗教戦争であるのは明らか、これらをこの緩やかな日本の宗教で救えないものですかねぇ。
一神教のキリストは去るものは追わずというが、その人は救われない。イスラムも他の宗教への帰依を完全に否定する。キリスト教以前のヨーロッパの国々には日本と同様のいい加減な神様の時代が確実にあった。ワーグナーのオペラはもろにヤマトタケルの世界に近く、人間臭い神様がいろいろな悲喜劇を繰り返す。もちろんギリシャ、ローマの神々は今も星占いや惑星の名称、暦などに色濃く残っている。これらを中世の頃に駆逐してしまった一神教の強さがどうのと考えるほどの宗教学者ではないので、深入りはしたくないが、考え込んでしまう。
一方日本人が、あなたの宗教はと聞かれてなんと答えるか、回答を与えているコラムを読んだ。やはり仏教なのだろうと。仏教の本地垂迹説というのが、八百万も含めてすべてを風呂敷で包んでしまう、日本人の宗教観の基礎だと説明するという話である。
また新たな新興宗教を起こす気はまったくないが、同じ人間お互いに判るはずと言う日本人のお人善し文化はここらを考えると説明できそうな気がする。
逆に言うと、世界のほとんどの人たちは一神教文化であり、なかなかそうは許してくれないということを、外国人と仲良くするときには気にしないとね。

選挙の意味

2005年08月30日 | Weblog
あれだけの時間とエネルギーを費やして、衆議院を通過したものが、あっさりと参議院で否決されたのを、本当に選挙民(国民)の代表としてそれでよかったのかと問うのが今回の解散総選挙と明言してきたのである、それでやればよい。と思うのは軽すぎだろうか?いわば国民投票であるとすれば、その一点で選挙をしてもよさそうに思う。それをいろいろ絡ませないとおかしいというマスコミの言い方や、有識者の批判はちょっと変な感じがする。小泉さんの言い方にすっかり乗せられているのが変なのかしら。

 

許せない混成組織の判断

2005年08月29日 | Weblog
やはり、民主党も民営化には賛成ですと?????
法案の部分問題があるから賛成できないとかいう屁理屈。こういう組織の改革はまずやることからであって、細かい内容まで完全を求めたらできるわけがない。まず決めて走り、その後修正を加えることしかあり得ないのは、自明の理だと思う。まず反対しておいて自民党から民主党への主導権を奪うというのが腹なら、納税者(国民)の負担のことは眼中にないことの証明であろう。その彼らが、国民のためにと叫んでいるのが如何にまやかしか。昨日書いたITシステムの話などは知らない人がほとんどであろうが、ね。。。
ごちゃごちゃの混成部隊では、日本の政治はもう動かないのではないの?エリート小沢が伏兵小泉にやられっぱなしというドキュメンタリー風の比較をやっていたが、そもそも戦後政治のエリートの役目は終わっている。自民党をぶっ壊すという宣言が実際の形としてこうであったのは、そこまで考えていたのかと驚きであったし、ぜひ選挙に勝って日本を動かして頂きたいものである。

票集めのためにはとうとう

2005年08月28日 | Weblog
民主党議員が、郵政民営化賛成と言い出している選挙区が出てきたそうだ。前回の民主旋風に乗って当選したものの、今回の印象の悪さは否めない。有権者の手前、仕方なく書き物にも民営化賛成と書いてあるそうだ。あきれてものも言えないが、衆参両議院ともに本音で議決投票をしてもらう手はないのかね。
この馬鹿馬鹿しい選挙騒ぎもなくてすっきり可決されていたはずと、時間の遅れが気になる一人として残念。
小泉流の自民党ぶっ壊し劇も面白いが、結果として時間がかかりすぎることが気になる。裏側で進んでいるシステムの話など、表にはほとんど見えてこないが、様々な問題が起きている。マスコミにもなかなか分かりにくい話であろうが、結果として納税者に跳ね返ることになるのだろう。民営化5社のITシステムは想像を絶する巨大さである。三菱東京とUFJ統合がシステム問題で延期された。これら二つの金融システムも大きいといわれるが、郵貯は比べ物にならない巨大さであるのは分かるはず。しかも報道されたように、企業としての会計システムは貧弱で、全てスクラッチで作りこむことになるとか。えらいことですよ。今回のような議員さんのいい加減な行動で時間が延びると、全てが税金に跳ね返るのですよ。
それも選挙結果では、元の木阿弥の恐れもあるというのだから、困ったもの。

小沢ではないサイトウキネン

2005年08月26日 | Weblog
ケントナガノのベルリオーズ以来のロシアの指揮者による、チャイコフスキーの胡桃割り人形と5番、よかった。会場には台風11号の接近にも関わらずほとんど満員の聴衆、本年の松本の音楽祭の初日、最高の出来であったと思う。高齢の指揮者であったが、小沢とはまったく違う音色の出来上がりに、うーん違うねぇ、凄いと聞き惚れた。胡桃割り人形の繊細で明るい小品らしい出来に比べて、5番は重厚、ぎらぎら、音量も厚みも、同じオケかと思わんばかりの違いよう、終わるとまさに万雷の拍手に包まれた。
前夜の別所温泉は小鎌倉といわれる北条氏ゆかりの歴史あふれる街の老舗旅館で、これもプロの選ぶ料理100選にランクインした部屋だし食事、二つの大風呂、露天風呂を時間で男女入れかえる硫黄泉の源泉掛け流し、楽しみました。
さらに、信州の蕎麦もうなりながら楽しんで帰り、更に帰宅途中の御殿場でも、新しい蕎麦屋さんに立ち寄り、ここもうまいねと、楽しみました。

その間、娑婆では小沢の陰謀が表に出てきたと解説が盛んである様子。かの田中知事、新党日本党首もオケ会場で数名前に座るのを見かけた。お若いのにちと太りすぎだね。

競うことを大事に

2005年08月22日 | Weblog
藍ちゃんの優勝は、賞金をかけた熾烈な競争の勝利である。児童生徒の教育から競争を無くそうという試みが続いてきた。幼児が児童になってからの教育のほとんどすべての問題が、ここに含まれていると考えている。話題の運動会などもはや笑い事を通り抜けて、背筋が寒くなる。その中から藍ちゃんは育たない。
人にはそれぞれ個性がある、かの悪平等の人たちも同じことを言うが、いっしょにゴールするかけっこでは個性を抹殺しているとは思わないのかしら。
一方で、近年なぜか陸上、水泳、ゴルフ、サッカー、レスリング、もちろん柔道も含めてさまざまなスポーツ競技で日本から世界的なつわものが輩出している。世界の舞台で、国を背負うよりも自己主張で頑張る若者、本番でさらに実力以上の記録を出すもの、この人たちはどうやって育ったのだろう。と思うと、子供の個性を見抜いたご両親やそばにいた指導者の個別の教育に依存しているのがほとんどのように推察される。それは、たいていの著名な選手のことで報道されてきた。
さらには、幼児教育で「オレ様化」せず、自らの意志か周りの指導かは別として、あることに集中して育った個性的な若者が、スポーツだけでなく、勉学、技術にも排出している。数学オリンピック、技能オリンピック、ロボコンなど国際競争での優秀な成績が報道されている。
しかしながら、このようなハイレベルの若者の対比として、「ニート」なる新語で表現される無気力層の増加がある。このかわいそうな人たちは、競争の禁止で勝つことの面白さ負けることの悔しさを知らないままに育ってしまった不幸な人たちではないかと心配している。指導要領に忠実な先生たちが作り出してきた不幸。その指導要領を頭だけで作ってきた、文部省官僚達。
学校教育のカリキュラムから離れて、部活になると突然競争もコンテストとしてフリーである。今朝も俳句の甲子園なるものをやっていた。
推察でしかないが、部活を経験せず競争をしていない若者、体育であれ、音楽、文科系であれ何か自己表現をする場をもてなかった、それこそ個性を育てられなかった若者の不幸という気がしてならない。

なお、幼児教育の話はまた別の機会に。

田中知事よ、お前もか?

2005年08月22日 | Weblog
田中長野県知事の革新政治行動にはかねてより、やるなあと感心してきたのだが、何で郵政民営化反対、しかも一番おかしなまやかしの数字で国民を馬鹿にしてきたローカル政治屋荒井と組するとは、保守反動の政党ですかぁ?わけの分からない動きの裏には、また政治派閥闘争最優先なのだろうか?本気で日本の針路を考えているとはどうも思えない。後ろに小沢がいて衆院選挙の結果のキャスティングボードを握るとか、解説があったが。うーん。分からない。