NHK朝ドラ「虎に翼」の主人公トラちゃんが今で言うところの司法試験に合格しました。
トラちゃん、おめでとう!!
このドラマを観てると、なんだか自分の受けた歯科医師国家試験を思い出しちゃいました。
遅刻すると6年間の努力が水の泡になっちゃうので国試対策委員(学生)が準備したビジネスホテルに前泊して仕立てたバスにみんな乗り込んで会場入りするなんてこともありました。
名古屋会場に中部地区の3つの大学の受験生集まります。同じ学校の学生が隣にならないように、順番織り交ぜで会場で一個飛ばしの席に着きます。ですから隣の席は空席で、その隣は他校生なので「見せて!」なんてインチキはできない配置でした。
確か、2日連続での日程で、合計280問を解いて、60点とか70点とか基準点が有って基準を超えれば合格するといった感じでした。
たぶん3千数百人が受けて3000人ぐらいが合格する感じです。
私の一つ前の受験番号の他校生は低血糖になる持病があったらしく試験中に手を上げて試験官に「低血糖になるので飴をなめてもいいですか?」と許可をもらっていました。国試の合格発表で気になって合格者の受験番号を見ましたがその受験生の番号はありませんでした。
私の父の時代は歯科医師不足で歯科医師増産が国家戦略でしたので、春と秋の年2回、国試が有ったそうですが、今は春の年1回なので、不合格になると丸っと1年後の再受験になります。
その代わりと言ってはなんですが、当時の国試は記述式と実技と口頭試問が有ったそうです。これはこれで難易度は高そうです。
私たちの頃は共通一次試験(古っ!)みたいなマーク方式の筆記試験のみでした。(まあ、もちろん誤答の選択肢は練りに練られてますから引っかからないような正しい知識が要りますけどね)
試験範囲は専門課程で学んだ全てです。
今でも本棚に当時の教科書が並んでいます。
こんな膨大な量、どうやったって凡人の僕の頭に入り切りません。
そんな時にお世話になったのがコレ!!
その名も「全科の要点」
もちろん6年間しっかり勉強した上で使わないと国試で実力を発揮できないのだが、エッセンス(要点)が1冊に纏まっているので知識の整理に大変役立つのです。該当科目がすぐに開けれるようにインデックスがたくさん張り付けてあります。
努力の証って感じがして、これらの書籍はなんだか処分できないままに本棚に置いています。(30年も前の医学書は今時参考になりませんけどね)
私の頃の国試は資格試験って感じで、基準点に達したら合格を頂けた印象ですが、今時は選抜試験と言った方がよい感じです。
昔は3000人ぐらいが合格していましたが、今は2000人ぐらいに絞られています。歯学部への入学定員は昔とさほど変わっていないので、いくら頑張っても上位2000人で切られてしまうのです。
受験生の3分の一が落ちてしまう恐ろしい試験です。
「国試合格率66%」では私立大学は良い学生が集まりません。
誰だって「国試合格率90%」を謳う大学を選びます。
ところがこれには数字のマジックが有ります。
まず、学部内留年です。
この恐ろしい選抜国試に勝てそうもない学生を6年生にしないのです。
それから卒業試験で成績が悪いと卒業させずに6年生をもう一回。
さらには国試出願まで行っても直前模試でA判定が取れないと国試を受けさせない作戦です。
学校によって、6年生全員受けさせるか、数字だけを取りに行くために国試辞退させるか、いろいろな戦法を取っています。
つまり、国試を受けさせない作戦で、良い数字を出しています。
40名以上の学生は卒業したのに国試を受けさせてもらっていないと推察されます。
そんな観点で、この資料を見ると6年生をほぼ全員受験させている大学が良心的に見えて来ます。(まあ、そんなところは学部内留年が多いのでしょう)
3000人合格時代と同じ入り口(入学定員)なのに国試合格者が2000人に絞られているミスマッチを改善しないと、毎年1000人の国試浪人生が誕生します。
法学部を出て司法試験がダメでも一般企業に勤めれますが、歯学部は潰しが利かないのです。