WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

純粋な音

2014年12月16日 | 今日の一枚(A-B)

☆今日の一枚 391☆

荒川知子とファミリー・アンサンブル

みんな しあわせ

 先日の日曜日の午後、数年前に会長を務めた障害者支援団体が主催する講演会&コンサートに行ってきた。「荒川知子とファミリー・アンサンブル」である。ダウン症の障害のある娘の成長について父親が語り、その後娘のリコーダーを中心に、フルートの父とピアノを奏でる母による演奏を聴くという趣向である。父親の語る娘の成長の物語は共感を禁じ得ないものであり、改めて考えさせられることも多かった。けれど、その後のコンサートはさらに印象深く、感慨深いものだった。

 上手いとか下手とかではない。障害を克服して頑張っていることへの「応援」などでももちろんない。何というのだろう。音が純粋なのだ。純粋で素直なリコーダーの音色がまっすぐに届いてくる。うまく吹いてやろうとか、聴衆に感動を与えようとかいった小賢しさがまったく感じられない。そこには、自己表現などという皮相な概念すら存在しないかもしれない。そういった過剰なものを一切捨象した、音楽を奏でることの原初的な喜びだけがまっすぐに届いてくる。自分の薄汚れた心を思い知らされ、洗い流されていくことを感じざるを得なような演奏だった。

 コンサート後、CDと彼女が作業所で作っているというクッキーの販売をしていたが、急いで駆けつけたせいで持ち合わせがなく、購入できなかった。残念である。CDについては、amazonを見たらたまたま在庫があったので、早速、注文した次第である。

 参考までに、「荒川知子とファミリーアンサンブル」のwebページをリンクしておく。まだ見ていないが、youtubeにも動画があるようだ。