WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

「君住む街角」

2014年12月06日 | 今日の一枚(G-H)

☆ 今日の一枚 388☆

Holly Cole Trio

Blame It On My Youth

 ホリー・コール・トリオのヒット作、1992年録音の『コーリング・ユー』である。ホリー・コール・トリオは一時期結構聴いた。いつ頃だったろうか。2006年6月17日に「今日の一枚33」としてyestrday & Today がアップされているから、その頃か、そのすこし前あたりの頃だと思ったら、もっと前だった。ほとんどリアルタイムで聴いていたのだ。最近そういうことが多い、時間の前後関係の記憶が不確かになっている。ホリー・コールはトリオがいい。トリオ以外の作品もいくつかもっていが、ボーカル、ベース、ピアノのトリオ編成のものが圧倒的にぬきんでている。そう思う。ピアノのセンシティブなタッチと、ベースの柔らかな音色を背景とした方が、ホリー・コールの歌唱は明らかに陰影感を増し、音楽による世界を構築していると思う。名唱として名高い⑥Colling You もさることながら、⑧「君住む街角」が好きだ。緊迫感漂う前奏から、少しだけアバンギャルドな前ふりをへて、メロディーを大きく崩さずに曲の芯の部分を見事に抽出した歌唱が続く。本当にいい演奏だ。ホリー・コール・トリオの演奏によってこの曲の良さを知った。それを聴いて以後、他の演奏者の「君住む街角」を注意深く聴くようになった。どんな演奏を聴いても私の頭のずっと奥ではホリー・コール・トリオの「君住む街角」が鼻歌のように流れている。

 東北地方もだいぶ寒くなってきた。もうすぐ本格的な冬だ。今日もマイブームの風呂屋に行ってきた。風呂屋で暖まった身体で、夜の景色を眺めながらひとりビールを飲んでいる。聴いているのは、ホリー・コールのこのアルバムだ。