とみ田出身店主の絶品つけソバ
京成本線・国府台駅から旧松戸街道を北へ歩いて2分ほど。2022年9月17日にオープンした「つけソバ いしい」へ。ご主人の石井浩之氏は、つけめんの名店「中華蕎麦とみ田」の松戸本店で富田店主を支えた人物だ。独立後、日本蕎麦屋で修業をしながら野菜も自家栽培。満を持して、市川と松戸をつなぐ道沿いに出店した。
店内はカウンター6席のみ。店内に待ち席が6席あり、7人目以降は先に食券を買って軒先に並ぶシステムだ。ご主人のワンオペで、券売機にも「店主一人での営業、麺は太麺のため、空席時でもご提供まで最短で約十五分位お時間を頂いております」とある。行列している際の時間読みの参考にするとよいだろう。
麺メニューは「つけソバ」一本勝負で、チャーシューや味玉、メンマ、生卵、のり、辛粉、薬味ねぎ、そして季節の柑橘を追加可能だ。麺量は茹でる前の計量で小150g、並250g、中350g、大450g。コチラのお店は自家製麺で、麺がとても旨いという前評判を聞いていたので、今回は「味玉つけソバ」の大(1150円)を注文した。
着丼までは待つこと20分ほど。珍しいことに、麺とつけ汁と一緒に蕎麦猪口に入った「蕎麦つゆ」も提供される。今回は初訪問なので「つけソバの愉しみ方」という説明書きに沿って食べ進めていこう。まずは麺のみを1~2本食べ、麺そのものの味と食感を楽しむ。麺は松戸・高橋製粉の厳選小麦を使った自家製の太麺だ。
ツルっとした喉越しとモッチリした食感で、小麦の香りも良く絶品だ。次に麺2~3本を蕎麦つゆにつけて頂く。つゆは寝かせたカエシに数種類の厚削節から引いた出汁を合わせた自家製とのこと。太い中華麺を蕎麦つゆにつけて啜るのは初めてだが、小麦の甘みと香りを引き立ててくれる旨い食べ方だ。麺2~3本では止められない。
そしていよいよ「つけ汁」へ。鶏、豚、煮干、野菜を2日間じっくり炊いたという粘度の高いスープだ。塩味が少々強めだが、動物系出汁のコクと煮干しの香ばしさ、仄かな苦みと酸味が重なり旨い。麺との相性も抜群だ。チャーシューは豚肩ロースの煮豚と吊るし焼きが3枚ずつは入っているだろうか。煮豚はバーナーで炙ってからの提供だ。
そして吊るし焼きは肉の旨味が凝縮され、どちらも絶品である。味玉は黄身がトロリと溶け出し旨い。ほか、歯応えのあるメンマ、ナルト、海苔、刻みネギがトッピングされる。件の「愉しみ方」に沿って、途中で卓上の雪塩や柑橘果汁を麺に少し振り掛けてみる。塩は麺の甘みを、柑橘はコシをそれぞれブーストしてくれる。
さらに卓上にはニンニクと一味もあるのでお好みで。そして最後はシメのスープ割り。動物魚介の「コクスープ」と煮干乾物の「スッキリスープ」の2種があり、柚子の有無も選べるので、スッキリの柚子入りでサッパリと完食した。1000円とちょっとでこの食体験が出来るのはありがたい。並ぶ価値ある一杯だ。また啜りに来よう。
<店舗データ>
【店名】 つけソバ いしい
【住所】 千葉県市川市市川3-27-20
【最寄】 京成本線「国府台駅」徒歩2分