「音のない世界」に生きる店主のコダワリの一杯
西日暮里駅を出て道灌山通りを谷中方面に歩いて5分ほど。大きな寸胴が目印の「麺屋 義」へ。ご主人の毛塚和義氏は、ラーメン評論家・石神秀幸氏が主宰する「食の道場」で学び、2016年8月に開業。なお、毛塚氏は聴覚に障害があり、従業員の方も同じく聾者が多いため、店内のコミュニケーションは手話で行われている。
メニューは醤油と塩の2種の「義ラーメン」が主軸。ほか、期間限定で「冷やし義ラーメン」「脂そば」「冷やし中華」をはじめ、焼アゴ、牡蠣、海老、のどぐろ、カボチャ、梅など様々な食材をフィーチャーしたラーメンも生み出してきた。今回はオーソドックスに「義ラーメン」の醤油を、全部乗せにあたる特製でオーダーした。
スープは大山鶏、美桜鶏、アゴ、日高昆布、淡路島産のタマネギなどを炊き上げた清湯。そこに濃口、薄口、生醤油をブレンドしたカエシをきかせてある。鶏の旨味とカエシの甘みが相まって旨い。一方の麺は浅草開化楼の中細ストレート。北海道産の小麦「ゆめちから」に、小麦外皮粉「ふすま」を練りこんだコダワリの品である。
チャーシューは豚バラ肉と低温調理のローストポークの2種で、どちらも良い味。途中で盛られた魚粉と揚げネギをスープに溶かし食べ進めて行く。香ばしさが丼に広がり旨さ倍増。あっという間の完食だった。なお、手話で「美味しい」は、笑顔で左手の掌で頬を軽く2~3回たたいて表現する。空の丼と一緒にカウンターにお返ししよう。
<店舗データ>
【店名】 麺屋 義(よし)
【住所】 東京都台東区谷中3-24-1
【最寄】 JR山手線「西日暮里駅」徒歩5分