背脂の名店・元楽は「ぶためし」も絶品
都営浅草線・蔵前駅のA2出口から歩いて2分ほど。国道6号の一本東を走る御蔵前通り沿いで1995年から営業する「蔵前元楽総本店」へ。コチラは元々、老舗玩具メーカー「増田屋コーポレーション」の社員食堂で、社長の斉藤晴正氏が学生時代に好きだったラーメンを再現し提供したところ評判がよく、店舗として独立させたそうだ。
現在はここ蔵前総本店のほか、銀座、新橋にも支店を展開。かつては虎ノ門、亀戸、神田に出店していたことも。さて総本店だが店内はカウンターに26席。コロナ禍に対策として厚い木の板で仕切り消毒液のタンクも設置。ほか空気清浄機や排気管、消毒マットを設置するなど、本格的な対策の数々は当時、メディアで話題になったほどである。
麺メニューだが、コチラでは環七ラーメンブームの系譜を思わせる背脂チャッチャ系の一杯を提供。醤油味の「元ラーメン」と塩味の「楽ラーメン」の2種を筆頭に、油そば、夏は冷やしで冬は温の「つけめん」、それに猛暑限定で梅と柑橘が香る「夏細涼麺」も提供している。それぞれチャーシュー、味玉、メンマ多め、ネギ多めを追加可能だ。
そして飯モノには登録商標を取っている「ぶためし」がある。卓上の醤油ダレと香りのよい搾りたてゴマ油を回し掛けて食べる自慢の逸品だ。フルサイズの単品でも、麺と「小ぶためし」のセットでも注文可能なのが嬉しいところ。今回はイイトコ取りで「特製元ラーメン 小ぶためしセット(1200円)」を注文することに。
待つこと10分ほどで麺と小ぶためしが同時に到着。スープは豚ゲンコツに鶏や野菜を加えて3日間炊いているという。色は茶濁しているがカエシの塩味や甘味は強くなく、ほんのり効いているという程度。その分、スープのコクや旨味が前面に出ている。さらに振りかけられた背脂がコクと甘味を増してくれ、クセになる味わいだ。
そこに合わせるのは地元・駒形軒製麺所の中太ストレート麺。麺肌ツルツルでコシもあり、背脂たっぷりのスープに負けておらず旨い。チャーシューはホロホロのバラロール肉が1枚。脂身を適度に削いであるので赤身の旨味を十分に楽しめる。ほか黄身ホクホクの味玉が半分と甘めの味付けのメンマ、刻みネギがトッピングされる。
卓上には胡椒、ニンニク、豆板醤があるのでお好みで。一方の「小ぶためし」は「小」でも中々のサイズだ。角切り肉、ネギ、海苔に甘味を抑えた醤油ダレと香ばしいゴマ油が絡み絶品。レンゲでスープ上澄みの背脂を掬い飯へかけると旨さ倍増。麺も飯もあっという間に完食した。訪れる際はぜひ「ぶためし」も一緒にどうぞ。
<店舗データ>
【店名】 蔵前元楽総本店
【住所】 東京都台東区蔵前2-12-3
【最寄】 都営浅草線「蔵前駅」A2出口徒歩2分