山形と鶏にこだわるヘルシー麺ダイニング
神保町駅から歩いて4分ほど。明大通り沿い、駿河台下交差点そばで2012年7月から営業する「麺ダイニングととこ」へ。店主の菅原由紀子さんの故郷・山形の食材を使った料理や地酒を楽しめる人気店だ。菅原さんのご両親が山形で営んでいた食堂を再現し、さらに無添加でヘルシーな食材を厳選。体に優しいラーメンと料理を提供している。
お店の創業は2012年7月。店名の「ととこ」とは山形弁で「鶏の子供」のこと。菅原氏は鶏卵業を営む祖父の家で食べた、祖父が自前の作物だけで飼育した鶏肉の味が忘れられず、鶏にはひと際強いコダワリを持っている。お店で使用するのは、添加物や抗生物質不使用で自然循環型農業で育てられた山形・米沢郷牧場の鶏だ。
これを炭火炙り鶏、鶏ぎょうざ、鶏パーコー、焼鶏丼、串焼き、塩麹唐揚といった鶏料理はもちろん、ラーメンのスープにも使用する。麺メニューは「ととこしょう油ラーメン」、「つったい(冷たい)ラーメン」を主軸に、「すっぱ辛い酸ラーメン」「黒ごまいっぱーいの担々麺」「まっかなトマトの酸ラーメン」など個性的な一杯をラインナップ。
そして、山椒や桂皮、八角、ジャスミン茶、ラーメンスープで煮込んだ「薬膳玉子」をはじめ、山形の自家製だし、りんご酢、ゆず皮、アーモンドチップ、おろししょうが、小松菜、ニラ、ワカメ、キャベツといった体に優しい追加トッピングも用意。おかわり自由の「麦ごはん」が付いたセットや定食メニューも充実している。
また、山形の高畠ワインや月山地ビールを始め、日本酒は六歌仙、初孫、千代寿大虎、出羽桜、月山など、焼酎も菊勇、雪原、きららといった山形の酒がズラリ。ツマミにも玉こんにゃく、ハタハタ炙り、いも煮、米沢牛のビーフジャーキーといった山形の名物や、山形の山菜やキノコを使った料理なども揃う。居酒屋使いもバッチリだ。
今回は「ととこしょう油ラーメン」を特製(1100円)で注文した。訪れた日は「薬膳玉子」か山形はえぬきの「麦ごはん」のいずれかを無料サービスしてくれるとのことで、薬膳玉子をお願いした。スープには米沢郷牧場の鶏の丸鶏とモミジ、そして大量の野菜を炊いて、2～3日かけ旨味を抽出。そこに山形のマルセイ醤油をベースにしたカエシを重ねている。
無化調で優しい味のスープで、ガツンとしたラーメンが欲しい若者には物足りないだろうが、疲れた30代の胃には染みる味だ。一方の麺には国産の全粒粉を使っており、熟成させて一番良い状態で提供しているという。しなやかな中細麺で香りも良く旨い。肉類は炭火炙った鶏モモ肉が3枚と、ネギの入った鶏ツミレが2つ。いずれも絶品だ。
特製は他に香りと食感の良い小松菜、少し酸味ある筍、厚手の海苔が3枚、ワカメ、ネギ、鳴門がトッピングされる。八角香る薬膳玉子も、塩味は強すぎず優しい味だ。あっという間にスープまで完食。啜り終わって罪悪感が全くない一杯である。それでいて具沢山で物足りなさも無い。次回はお酒とツマミをやってから「つったいラーメン」を啜ってみよう。
<店舗データ>
【店名】 麺ダイニング ととこ
【住所】 東京都千代田区神田小川町3-10-9
【最寄】 東京メトロ・都営地下鉄「神保町駅」徒歩4分
