Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

卒業生を送る

2005-02-04 | Education for 3,4年
 まもなく卒業される学生諸君に、ささやかな言葉を送ることで新たな門出を祝したい。諸君がこれまで学ばれたことをもう一度振り返りながら、その意味を自分なり整理することで、これからの生活がさらに充実したものになることを祈りたいと思う。
 さて、諸君はこれまで何をどのように学んでこられたであろうか。近いところでは、卒業論文のための研究と執筆をとおして、各自が学ばれたことを少し振り返っていただきたい。
 教師も含めた第3者の評価とは別に、自分がそこから何を学んだか、である。たとえ成績評価をよかったとしても、諸君自身がそこから何を学んだかは別な問題であろう。教師に言われるままにデータを収集・分析し、原稿にまで事細かに手を入れられなければなかったとすれば、それは何を意味していたであろうか。すでにある論文をそのままなぞり研究をまとめたとすれば、たとえ評価が良かったとしても、それはあなたにとってどのような意義があったのであろうか。剽窃することや傀儡としての研究は自律的な学習とは言えまい。
 教師や他の研究からあなたが何を学び、そこから何を考えたのか。そしてどのような困難に直面し、それをいかにして克服しようとしたのか。たとえそれがうまく行かず不十分であろうと、学問・研究の見えない重要な部分を学ぶ機会がそこにはあったはずである。
 もちろん、1ヶ月や2ヶ月でこれらを片付けようとすれば、不十分な結果しか得られないことは、謙虚に受け入れなければならない。そのようなことも含めて、各自が何を大学での学習・研究をとおして考えのか、それこそが諸君のこころの糧となるものと信じている。
 4年間は長いようで、このようなことを学ぶには短かすぎるかもしれない。これからは、さらに思いどおりには行かない壁が現れるかもしれない。他の人々との共同作業や、あなた方自身の新たな学習が必要となるであろう。大学で学ぶことは、そのような作業が、知的な楽しみを生み出すことであり、またそのようにしてわれわれは「知識」を積み重ねてきたということを知ることである。
 これからも、あなた方の生活のなかで、生きた知識を学び、そして伝えてほしいと思う。諸君のこれからの人生が、そのような意味で味わい深いものとなることを期待して、送る言葉としたい。
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