野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

野菜の栄養価が低下している?

2010-10-02 14:53:00 | Weblog
 「50年前の野菜と比べて、今の野菜では栄養価が低下している」とよくいわれます。その根拠として、食品成分表について1950年代の値と最新版の値を単純に比較されています。これまで、栄養成分の分析方法が異なるので、数値だけ比較しても無意味だと回答してきましたが、実測することはありませんでした。
 小島彩子ら、2010、栄養学雑誌、68、141-145 において、ビタミンCについて過去の分析法を用いた場合と、現在の方法を用いた場合とで比較されているので、紹介します。当然、分析精度は現在の方法がよいはずです。よく問題にされるホウレンソウについては、過去の方法では、過大評価されるとのことです。
 同じ畑のホウレンソウでも、株ごとに栄養成分の含量は異なります。また同じ株でも、葉の位置によって栄養成分量は異なり、同じ生産者の方が作ったホウレンソウでも、栄養成分は季節によって異なります。また50年前は、夏にホウレンソウは食べられたでしょうか?
 測定方法も、試料のサンプリング方法も異なるデータ(1950年代と最新の食品成分表)を単純に比較して、「栄養成分が増えたor減った」という議論はあまり意味がないものと考えます。